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介護現場では、日々多くの「会議」が行われています。
当然、法的に必要なものから、組織として必要なものまで、様々な目的があります。
しかし、中には、目的などが曖昧なものもあり、惰性で続けられているものも多く見かけます。
業務の効率化が叫ばれる中で、意外と会議の在り方や効率化が置いてけぼりになっていることがあります。
今回は、「介護施設における会議の在り方・やり方」について、徹底解説したいと思います。
・朝夕の申し送り
・経営会議
・運営会議
・フロア会議
・リーダー、主任会議
・他部署との連携会議
・管理職会議
・医務、リハビリ、栄養調理等の専門職別会議
・サービス担当者会議
・入退所検討会議
・各種委員会の会議(行事、リスクマネジメント、感染予防など) など…
介護施設で行われている会議をざっと上げただけでも、上記のようなものがあります。
当然、施設によって、会議の名前や内容に違いはありますが、概ね同じようなものが並んでいるのではないでしょうか。
会議は必要であり、さまざまな職種や立場のメンバーがチームとなり、協働していく中で、重要な役割を果たしていることは間違いありません。
しかし、それと同時に、「会議」というものは、働く人の時間(コスト)を費やしているものだということも認識も持たなけれなりません。
この認識が薄いと、だらだらと報告を聞くだけのものや、誰も何も発言しないような会議が横行し、ただ、時間を奪っている状態になっているということもあります。
ある特別養護老人ホームで行われた調査によれば、
職員が、1日(日勤)で、申し送りなどの「会議・ミーティング」に費やした時間は、平均して50分弱だったとの調査結果があります。
私も、特養・老健・グループホーム・有料老人ホームなど、多くの介護施設で勤務してきました。
申し送りだけでカウントすると、1日30~60分程度(朝の申し送り、遅出への申し送り、夜勤者への申し送り、各10~15分程度) は、確実に費やしていました。
その他、必要に応じて、医務など他部署への申し送りも行っていました。
申し送り以外に、上記に示したさまざまな会議への参加を考えると、リーダーや主任などの役職者は、もっと多くの時間を会議に費やしていると考えられます。
仮に、毎日60分、会議・ミーティングに時間を費やしていたとしたら、勤務時間を8時間(480分)とした時、
勤務時間の12.5%を会議に費やしていると言えます。
本来ならば、利用者へのサービスに費やされる時間を、あえて会議の時間として設定しているということになりすが、それが、サービスの向上や運営上の課題解決のためといった目的を果たしていれば、問題ないでしょう。
しかし、会議の目的が不明確であったり、効率的に運営されていなければ、とても貴重な時間や人的資源をロスしていることになります。
例えば、年収400万円の職員が10人で2時間の会議を行ったとします。
年収400万円の職員を時給に換算すると、約2,000円。
2,000円(時給)× 10人 × 2時間 = 40,000円
40,000円のコストを掛けるだけの価値のある会議となっているか?
会議を行う場合、こうしたコストパフォーマンスの視点を持つこともとても大切です。
①会議を行う目的があいまい
②会議に出席すべきメンバーが吟味されていない
③予定された時間に始まらない
④議案がない
⑤前回の会議の議事録が確認されていない
⑥一方通行の会議や、発言する人が限られたものになっている
⑦配布資料を読み上げるだけの報告会
⑧出席メンバーの当事者意識が低い
⑨遅刻や途中離席・退席が頻発
⑩議長、司会者が落としどころを持って会議を運営していない
⑪せっかく結論が出ても、現場に速やかに周知されず、なかなか実践に移せない
上記のような会議で、3つ以上当てはまるものがあれば、改善するか、廃止にするか検討されることをおススメ致します。
正直、介護現場では、かなり「あるある」ではないでしょうか。
中でも、
③予定された時間に始まらない
⑨遅刻や途中離席・退席が頻発
が起こっている事業所は、メンバーが会議の必要性を感じていないことがほとんどです。
目的や意図をしっかり周知することが重要となります。
会議の本来の目的は、「意志決定をすること」です。
しかし、介護現場で行わている会議には、大きく分けると以下の3つの目的があります。
①問題解決・意思決定が目的(経営会議、リーダー・主任会議、管理職会議、専門職会議など…)
②情報伝達が目的(朝礼、申し送り、事故カンファレンスなど…)
③関係部署との調整が目的(他部署との連携会議、運営会議など…)
ただ、きっちりと整理できるものではなく、1つの会議の中で、報告連絡事項があったり、関係部署の調整を行ったり、問題解決へ向けた議論をしたり、アイディアを出し合ったり、意思決定をしたりしています。
限られた時間の中で、会議運営を行うと、1つの会議の中に色々なものを詰め込みがちになってしまいます。結果、逆に効率が悪くなってしまっている場合もあります。
再度、目的に沿ったメンバー構成になっているか検討し、必要性に応じて、入れ替えをはかることで、効果的で効率的な会議運営ができるようになることもあります。
会議を行うにあたり、「5W1H」で考えると、目的や議案がはっきりし、会議の落としどころが見えてきます。また、例え会議の成果が上がげられなくても、原因を探るのが容易になります。
目的の明確化を行います。
この会議は「どういう理由で存在しているのか」「どう理由で開催するのか」を明らかにして、事前に参加メンバーに知らせておくことで、意見を持ちより安くなります。
議案の設定を行います。
議案内容を明確にし、事前にメンバーに知らせておくと、準備に時間がかけられ、参加意識が高まります。議案が多い場合は、重要度や緊急度を考慮し、優先順位を考え、高いものから行うようにします。時間が限られているので、時間内に終わらせることができるように進行役が時間配分考えておくことが大切です。
出席メンバーの人選はとても重要です。
以下のような人を選ぶと、会議がより活性化され、生産性のあるものになります。
✓能力があり、役割を強く自覚できる人
✓ 意思決定ができる権限を持った人
✓ 会議の決定に対しアクションを起こす必要のある人
開催場所を決めます。
事業所のハード面の問題もあると思いますが、可能な限り落ち着いて会議ができる(隔離された)スペースを確保することが大切です。
環境は本当に大切であり、生産性にも大きく影響します。
利用者がおられるリビングなどで会議がされているケースはよくありますが、やはり集中ができず、意識も利用者へ飛びがちになります。状況によっては、外部のミーティングスペースを借りるという選択肢も必要です。
開催日時を決めます。
時間に関しては、色々なジレンマがありますが、現場では、利用者サービスが優先されるので、施設の特徴に合わせた時間設定が必要になります。
時間は、可能な限り短時間で終了できるように工夫するようにします。できれば1時間、長くても1時間半以内に終了するようにしましょう。時間が長くなることで生産性はどんどん低下することを理解しておきましょう。
どのようにして結論に導くかを考え、準備しておくことも重要です。
・会議の流れ、落としどころを考えておく
場当たり的な話では、期待するような成果はでません。シナリオと結論の落としどころを考え、状況に応じて、軌道修正していくことができるようにしておきましょう。
・経営理念や組織目標にベクトルを合わせる
会議の結論を出すときは、それが経営理念に沿ったものか、組織目標を踏まえたものかをよく吟味しなければなりません。理念や組織目標から外れそうな時は、しっかり修正していくことも大切です。
・必ず1つだけでも何かを決定する
忙しい時間を割いて会議を開催し、何も決まらなかったでは、だれもがうんざりし、会議出席のモチベーションにも影響します。次へのアクションを1つだけでも決めるようにしましょう。
以上のように、5W1Hを用いて、会議を進めていくことで、進行する側も会議を進めやすくなりますし、参加する側も目的意識を持って参加でるようになります。
現在行っている会議を、この5W1Hに当てはめて考えてみることで、より会議の効率化が図れるでしょう。
近年、業務の効率化を図るために、介護記録やコミュニケーションツールのICT・IOT化が進んでいます。そのような機器を使うことで、会議の時間を削減したり、会議自体を廃止することも可能となります。
具体的には、介護記録のICT化で申し送り時間の削減をしたり、インカムの導入により、全体への情報共有やコミュニケーションがスムーズとなり情報共有のミーティングを無くすこともできます。また、チャットなどを活用することで、各部署間の情報共有の会議が必要なくなったりします。
介護施設のICT・IOT化について詳しくは別のコラムで詳しく解説しています。
⇒【徹底解説】これからの介護施設経営に求められる「介護業務のICT化」補助金情報
最近、一般企業などでも多くなっているのが、スタンディング会議です。
文字通り、座って行うのではなく、「立って行う会議」になります。
人は座ってしまうと、心理的に落ち着く作用があり、つい会議が長くなりがちになるそうです。
スタンディング会議のメリットには、以下ようなものがあります。
・時短効果がある
・集中力が上がる
・距離感が近いので、コミュニケーションがとりやすくなる
・別のこと考えている人が減る(内職など)
・健康にいい など…
大人数が集まる会議では、ごちゃごちゃしてしまい不向きです。会議やミーティングの内容に合わせて行ってみてください。スタンディングテーブルなども発売されています。
今回は、介護現場における「会議の在り方・やり方」について解説致しました。
最近は「会議」が、悪者扱いされるような風潮もありますが、決して「会議」自体が悪いわけではなく、「無駄な会議」をいかに減らしていけるか、どうすれば「効率のよい会議運営」ができるかということを常に考えていくことが大切です。
介護現場では、本当に多くの会議が行われており、形骸化した形だけの会議や、何か問題があった時に作られた対策会議などが、惰性で続けられていることが多くあります。
年に1回は、現在の会議の存在自体を見直し、統廃合を検討することが望ましいですし、メンバー選定も見直すことで、結果、業務の効率化が図れ、「会議」の価値が上がることに繋がります。
これからの介護業界は、人手不足の更なる深刻化により、今まで以上に業務を効率化し、サービスの質の維持・向上が求められます。
会議の見直しは比較的手を付けやすいところになりますので、ぜひこれを機に行ってみて下さい。
「介護施設での離職者が絶えない…」 「介護施設の利用者様を増やしたい…」など
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