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【令和7年度】介護賃上げ補助金|職場環境改善支援事業を徹底解説

令和7年度(2025)介護賃上げ補助金|職場環境改善支援事業を徹底解説(監修:片山海斗)

令和7年度補正予算で実施される「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」は、令和8年度介護報酬改定を待たずに人材流出を防ぐための“緊急の賃上げ支援”です。対象期間は令和7年12月〜令和8年5月。交付率(サービス種別ごとの割合)を使って補助額が決まるため、要件と実務の全体像を先に押さえることが成功の近道です。

この記事でわかること

  • 対象要件と、上乗せを受ける条件(生産性向上・協働化/職場環境改善)
  • 補助額の考え方(基準月・交付率)と、使い道の注意点
  • 申請〜実績報告で失敗しないチェックポイント(運営指導対策も)
目次

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業とは?

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業の概要と、事業者にとってのメリットやデメリットについて紹介します。

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業とは?

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業とは、介護現場で働く職員の賃金を引き上げるとともに、職場環境の改善を支えるための国の支援事業です。背景には、介護職の人材不足・賃金格差の解消・現場の労働環境改善の必要性があり、即効性のある支援を行うことが目的とされています。

本事業は、都道府県が窓口となり、介護サービス事業所等へ補助金を交付する制度です(正式には「令和7年度介護保険事業費補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援)」。処遇改善加算とは別枠)。支援は大きく3層です(厚労省:介護保険最新情報 Vol.1454
・①介護従事者への幅広い賃上げ支援
・②生産性向上・協働化に取り組む事業者の上乗せ
・③職場環境改善に取り組む事業者の支援(人件費充当も可)

専門家の声

処遇改善とは”別枠”ですので注意してください。
毎年、補助金の交付漏れが大変多く、機会損失している事業所が多数見受けられます。

※「最大1.9万円」という話は“賃上げ相当額のイメージ”で、全事業所・全職員に自動で配られるものではありません。
計画→実行→実績報告がセットです。
公式資料: 厚労省:介護保険最新情報 Vol.1454(PDF)

職場環境改善支援事業のメリットとデメリット

本補助金は、介護現場の人材確保や職場環境の改善を目的とした支援制度ですが、事業者にとってはメリットだけでなく注意すべきポイントもあります。

制度の特徴を理解したうえで活用することで、資金面の支援だけでなく、職場の安定運営にもつなげることが可能です。

メリットデメリット
・介護職員の賃上げを国の財源で実施できる
・看護職、リハ職、事務職など幅広い職種に配分できる
・職場環境改善(ICT・業務改善等)にも活用できる
・人材定着や採用面でのアピール材料になる
・計画書、実績報告など事務手続きが発生する
・補助期間が限定されており継続財源ではない
・職員への説明や配分ルールの整理が必要
・実績報告や証拠書類の整備が求められる

メリット:賃上げを国の補助で実施できる

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業の最大のメリットは、賃上げに必要な財源を補助金として確保できる点です。

通常、介護事業所が賃上げを行う場合は、介護報酬の範囲内で人件費を捻出する必要があります。しかし本制度では、基準月の介護報酬額に一定の交付率を掛けて補助額が算出される仕組みとなっており、一定期間の賃金改善を国の財源で実施できます。

このため、

  • 既存職員の離職防止
  • 採用時の待遇改善

といった人材確保の施策を実行しやすくなる点は、事業者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

メリット:幅広い職種に配分できる柔軟性

この補助金は、介護職員だけに限定されない点も特徴です。

厚生労働省のQ&Aでは、

  • 看護職
  • リハビリ職
  • ケアマネジャー
  • 調理員
  • 事務職員

など、事業所運営を支える幅広い職種への配分が認められています。

さらに、法人内の複数事業所で補助金を合算して運用することも可能とされており、事業者の判断で柔軟な配分が行える点は、従来の処遇改善制度と比べても運用しやすいポイントです。

デメリット:手続き・実績報告などの事務負担

一方で、事業者側には一定の事務負担が発生します。

補助金を受給するには、

  1. 計画書の提出
  2. 職員への周知
  3. 賃上げの実施
  4. 実績報告

といった手続きが必要となります。

また、実績報告では賃金改善の根拠となる資料(賃金台帳、給与明細、就業規則など)の整備が求められるため、書類管理が不十分な場合は事務負担が大きくなる可能性があります。

そのため、補助金の活用を検討する際は、給与規程や職員への説明資料などを早めに整備しておくことが重要です。

デメリット:補助期間が限定されている点に注意

もう一つの注意点は、この制度が恒久的な制度ではなく期間限定の支援であることです。

今回の支援は、介護報酬改定を待たずに賃上げを行うための「緊急措置」として実施されており、対象期間は令和7年12月〜令和8年5月とされています。

そのため、補助金終了後も同水準の賃金を維持するのか、

  • 処遇改善加算とのバランス
  • 将来の人件費負担

などを踏まえ、法人としての人件費戦略を検討しておくことが重要になります。

介護職員の賃上げはいくら?補助金(交付額)の計算方法

補助額は「基準月の介護総報酬 × 交付率」です。
基準月は原則的に「令和7年12月」。
交付率は“6か月分として設定”されているため、計算結果が6か月分の補助額イメージになります。

例:訪問介護事業所で基本報酬(加算を引いた純粋な国保連請求)が1,000,000円の場合

令和7年(2025年)12月報酬=1,000,000円
1,000,000円に補助額の26.4%を計算すると、介護職員の賃上げに該当する補助額は264,000円です。

介護職員の賃上げ対象は?対象事業所の早見表

介護職員の賃上げ対象は、基本的に介護保険法に基づくサービス(在宅介護・施設介護系)です。
ただし、居宅療養管理指導/福祉用具貸与・販売(予防含む)などは対象外ですので注意が必要です。

訪問・通所系サービス

スクロールできます
サービス区分最大(①+②+③)
訪問介護15.6%6.0%4.8%26.4%
夜間対応型訪問介護13.2%4.2%3.0%20.4%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護13.2%4.2%3.0%20.4%
(介護予防)訪問入浴介護13.2%4.2%3.0%20.4%
通所介護12.6%3.6%3.0%19.2%
地域密着型通所介護16.8%4.2%3.6%24.6%
(介護予防)通所リハビリテーション11.4%3.0%2.4%16.8%
(介護予防)認知症対応型通所介護21.6%7.2%6.0%34.8%

入所系サービス

スクロールできます
サービス区分最大(①+②+③)
(介護予防)特定施設入居者生活介護13.2%4.2%3.6%21.0%
地域密着型特定施設入居者生活介護13.2%4.2%3.6%21.0%
(介護予防)小規模多機能型居宅介護13.8%5.4%4.8%24.0%
看護小規模多機能型居宅介護11.4%3.6%3.0%18.0%
(介護予防)認知症対応型共同生活介護15.0%6.6%5.4%27.0%
介護福祉施設サービス14.4%4.8%4.2%23.4%
地域密着型介護老人福祉施設14.4%4.8%4.2%23.4%
(介護予防)短期入所生活介護14.4%4.8%4.2%23.4%
介護保健施設サービス10.2%3.0%2.4%15.6%
(介護予防)短期入所療養介護(老健)10.2%3.0%2.4%15.6%
介護医療院サービス7.8%1.8%1.2%10.8%
(介護予防)短期入所療養介護(病院等・医療院)7.8%1.8%1.2%10.8%

誰の賃金を上げる?

原則の支援(①)で算出される補助額は「介護従事者」を対象に賃金改善する設計です。
上乗せ分(②③で増える部分)は「介護職員への配分が基本」ですが、事業所判断で他職種も対象可能

処遇改善加算の全体像は別記事で解説しています↓

専門家の声

「配分で揉める事業所ほど、説明が後手です。“誰に・何の賃金項目で・いつ反映するか”を職員へ先に共有するとトラブルが激減します。」

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算定要件を整理。実際に算定できる?

算定要件は、処遇改善加算を算定していること生産性向上を満たしていること職場環境改善を実施していることの3つです。

①処遇改善加算を算定していること

基準月(2025年12月)に処遇改善加算を算定していることが原則です。
ただし、申請時点で算定している、または算定を誓約すれば、申請審査上は満たしたものとして扱われます
(実績報告で報告が必要なので注意)

厚労省からの引用

基準月において、処遇改善加算を算定していること。ただし、基準月において処遇改善加算を取得していない場合であっても、申請時に処遇改善加算を算定している又は処遇改善加算の算定を誓約した場合は、本補助金の申請要件の審査に当たっては、基準月から処遇改善加算を算定しているものとして取り扱う。なお、処遇改善加算の算定を誓約した場合は、介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業実績報告書(以下「実績報告書」という。)において処遇改善加算の算定について報告することとする。

②生産性向上・協働化

生産性向上・協働化とは、用語をかみ砕くと「紙・FAX・属人化を減らし、現場を回しやすくする取組」です。
・訪問・通所系(表1):ケアプランデータ連携システム加入(または誓約)等
・施設・居住系など(表2):生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱの算定(または誓約)等
ケアプランデータ連携システム: ケアプランデータ連携システム(公式)など

厚労省からの引用

生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していること。ただし、基準月において、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していない場合であっても、申請時に生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定している又は生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡの算定を誓約した場合は、本補助金の申請要件の審査に当たっては、基準月から生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定しているものとして取り扱うこととする。なお、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡの算定を誓約した場合は、実績報告書において生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡの算定について報告することとする。

※ケアプランデータ連携システムに加入する要件を満たすことでも補助金申請は可能ですが、現実的ではないので省略。

③上乗せ:職場環境改善

現場課題の見える化/業務改善の体制づくり/役割分担の明確化(介護助手活用等)のいずれかを計画または実施します。

厚労省からの引用

職場環境改善等に向けて、以下の(ア)~(ウ)のいずれかの取組の実施を計画又は既に実施していること。ただし、②の要件を満たしている場合は、③の要件を満たしているものとして取り扱うこととする。また、令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業による補助金の交付を受けている介護サービス事業所等については、職場環境改善等に向た取組を既に実施していることとみなし、当該要件を満たしているものとして取り扱うこととする。
(ア)介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化
(イ)業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活動等)
(ウ)業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担の取組

※そもそも処遇改善を算定するには「職場環境改善」を満たす必要があります。

介護職員の賃上げ補助金の使い道とNG例

介護職員の賃上げ補助金は、賃金改善:基本給・手当・賞与等に充当できます。
対象期間中に、前年同時期より平均賃金水準を下げないこと、著しく偏った配分をしないことがポイントです

職場環境改善等:介護助手等の募集経費や研修費、会議費、専門家派遣費などが中心です。一方、PC・タブレット・介護ロボット等の“機器購入費”は対象外になりやすいので要注意です。

介護職員の賃上げ補助金の申請とスケジュール

介護職員の賃上げ補助金の申請先は都道府県です。国様式が示されていますが、都道府県で追加様式や締切が設定される場合があります。流れは次の通りです。

  • 要件確認
  • 計画書提出(職員周知)
  • 交付
  • 賃金・環境改善(令和7年12月〜令和8年5月)
  • 実績報告
  • 資料保管(原則2年。求めがあれば提出)

自治体の案内例(スケジュールや様式の参考):岡山県:支援事業の案内ページ

失敗しない運用のコツ

補助金は“書類の整合性”が命です。賃金台帳、給与明細、就業規則、議事録(委員会)、研修記録などを最初から整理しておくと、実績報告と運営指導が楽になります。

補助金について、
「算定要件を満たせず運営指導での返還が怖い」
「算定要件を専門家に無料で確認したい」
場合は、無料で相談が可能ですのでお問い合わせしてください。

専門家の声

「実績報告で詰まるのは、“賃上げした事実”ではなく“根拠の提示”です。給与明細だけでなく、賃金規程(就業規則)と、職員へ周知した記録まで揃えると、運営指導でも説明が通りやすくなります。」

よくある質問(Q&A)

介護職員の賃上げ補助金は、PCやタブレット購入に使える?

原則難しいです。職場環境改善等経費は募集経費・研修費等が中心で、機器購入費用への充当は不可とされています(Vol.1454/参考Q&A: 厚労省Q&A(参考:介護人材確保・職場環境等改善事業))。

介護職員の賃上げ補助金は、基準月に処遇改善加算が未取得でも申請できる?

申請時点で算定している、または算定を誓約すれば、申請審査上は満たしたものとして扱われます(Vol.1454)。誓約した場合は実績報告での報告が必要です。

複数県に事業所がある場合、介護職員の賃上げ補助金の申請はまとめられる?

原則、所在する都道府県ごとに申請します。提出様式や締切が県で異なるため、県単位で整理しましょう。

どこまで準備すれば運営指導でも安心?

計画書と実績報告の根拠になる「賃金台帳・就業規則・周知記録・研修記録・議事録」を揃えるのが第一歩です。不安があれば介護の専門家が対応する運営指導対策で一度点検するのが安全です。

まとめ:補助金を定着戦略に

この補助金は、単発の原資ではなく「採用・定着につながる仕組みづくり」に転換できる制度です。早めに要件を整理し、計画と証拠をセットで進めましょう。

目次