感染症対策委員会とは?サービス別の開催頻度・研修・議事録を解説
感染症対策委員会では、定期的に会議を開くだけでなく、決めた対策を職員に伝え、研修や訓練につなげることが必要です。本記事では、介護保険の訪問介護・訪問看護・通所介護を中心に、指定介護老人福祉施設との違いを、運営基準と厚生労働省の解釈通知に沿って整理します。
委員会の開催頻度と、研修・訓練の回数は別々に確認します。「在宅か施設か」だけで一律に判断せず、自事業所のサービス種別に対応する基準・通知と指定権者の案内を確認してください。医療保険の訪問看護や障害福祉サービスの基準は、本記事の比較表の対象に含めていません。
著者の経歴は、片山海斗のプロフィールをご覧ください。
この記事でわかること
- 感染症対策委員会は何をする会議なの?
- サービス別に、委員会・研修・訓練をどの頻度で行い、何を記録するの?
- 研修・訓練(想定訓練・机上訓練)を委員会とどうつなげるの?
この順に押さえると、年度途中でも運用を立て直しやすく、次の運営指導でも慌てにくくなります。
本記事を参考に、必要な取組と実施予定、記録の保管先を整理しましょう。
感染症対策委員会とは|介護施設・事業所での位置づけと義務化の背景
感染症対策委員会は、感染症の「予防」と「まん延防止」を事業所として継続的に検討する会議です。まず定義を押さえると、委員会で決める範囲と、現場に求める行動がぶれにくくなるので、まずはここを抑えましょう。
委員会で扱う範囲は? 感染症の予防とまん延防止

委員会で扱うのは、平時の備えから発生時の対応までです。話題が広いほど形骸化しやすいので、「平時に決めること」と「発生時に動くこと」を分けて考えると運用が続きやすくなります。
厚生労働省の介護現場における感染対策の手引きでは、感染対策委員会は定期開催し、流行時期などに応じて随時開催する必要がある、とされています。
似た言葉との違いに注意!|感染対策担当者 指針 マニュアル
言葉が似ていても役割が違います。役割を混ぜると「誰が決め、誰が実行し、何を残すか」が曖昧になり、運営指導で説明が長引きがちです。
- 感染症対策委員会:方針・計画・見直しを決め、現場へ周知する場
- 感染対策担当者:日々の点検や情報集約を担い、委員会に上げる役
- 指針:事業所としての基本ルール(全体像)
- マニュアル:現場が迷わず動くための手順書(場面別)
- 研修:感染対策の知識と指針に沿った対応を学ぶ機会。実施内容を研修記録に残す
- 訓練:感染症の発生を想定し、連絡や役割分担、ケアの対応を確かめる機会
厚生労働省の通知でも、指針や研修・訓練の考え方を含めて、居宅サービス解釈通知(2021年改正・関係部分)で整理されています。
編集部による原典確認:委員会、担当者、指針、研修、訓練は、それぞれの目的と実施状況を確認する必要があります。ただし、どれか一つが不足すれば一律に介護報酬の返還になる、という扱いではありません。運営基準上の義務と、減算・加算の算定要件を分けて確認し、不備の内容、サービス種別、算定状況に応じて指定権者へ確認してください。例えば、業務継続計画未策定減算では、研修・訓練の実施は運営基準上求められる一方、減算要件とは分けて説明されています(令和6年度介護報酬改定Q&A Vol.1・問164)。必要な取組や記録の整理については、事業所の運営相談もご利用いただけます。
訪問介護・訪問看護では、利用者宅での対応と連絡体制を具体化する
介護保険の訪問介護と訪問看護にも、感染症の予防・まん延防止のための委員会、指針、研修・訓練が求められます。訪問看護では、指定居宅サービス基準第74条により、訪問介護の衛生管理等に関する第31条が準用されます。
訪問介護では管理者・サービス提供責任者・訪問介護員等、訪問看護では管理者・看護職等の役割を、各事業所の体制に合わせて決めます。利用者宅で感染症が疑われた場合に、誰に報告し、誰が医療機関や家族等との連絡を担うかを指針に記載し、職員へ共有しましょう。
委員会は対面のほか、リアルタイムで画像を介して話し合えるテレビ電話装置等を利用できます。書類の回覧だけで委員会の開催に代えられるとは本記事では扱いません。実施方法に迷う場合は、自事業所の指定権者に確認してください(指定居宅サービス基準第31条・第74条、居宅サービス解釈通知・衛生管理等)。
感染症対策委員会のメリット・デメリットとは?
感染症対策委員会は、介護事業所における感染症発生の予防と、発生時の迅速な対応体制を整えるために設置される仕組みです。
運営基準でも設置や開催が求められる重要な取り組みですが、事業所運営の観点では、体制整備のメリットがある一方で、運用に伴う負担や課題も存在します。
ここでは、介護事業者の視点から感染症対策委員会のメリットとデメリットを整理します。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 感染症発生時の対応体制を組織的に整備できる 職員の感染症対策意識が高まり事故・クラスター予防につながる 運営指導で求められる体制整備を満たしやすくなる 施設全体で情報共有が進み対応のばらつきを防げる | 委員会開催や議事録作成など事務負担が発生する 職員の時間確保や参加調整が必要になる 実効性のある運用を継続するための管理が必要 小規模事業所では委員会メンバーの確保が難しい場合がある |
感染症対策委員会のメリット
感染症対策委員会には、上記の比較表で挙げたようなメリットがあります。特に感染症発生時の対応体制を組織的に整備できる点は、介護事業所にとって重要なポイントです。感染症は一度発生すると施設全体に広がる可能性があるため、事前に対応方針や役割分担を整理しておくことが、被害の拡大防止につながります。
また、委員会を通じて定期的に情報共有や研修を行うことで、職員の感染症対策に対する意識が高まりやすいという効果も期待できます。日常的な手指衛生や標準予防策の徹底など、基本的な感染対策を職員全体で確認する機会になるため、結果としてクラスター発生の予防につながるケースもあります。
さらに、感染症対策委員会の設置や開催は、多くの介護サービスで運営基準において求められている事項です。そのため、委員会を適切に運用しておくことは、運営指導への対応という意味でも重要な体制整備となります。議事録や研修記録を残しておくことで、事業所として感染症対策に取り組んでいることを示しやすくなります。
感染症対策委員会のデメリット
一方で、事業者にとってはメリットだけでなくデメリットもあります。
まず挙げられるのが、委員会開催や議事録作成などの事務負担が発生する点です。定期的な委員会開催に加え、議事録の作成や研修の実施、マニュアルの見直しなどを行う必要があるため、事務担当者や管理者の負担が増えることがあります。
また、職員の時間確保や参加調整が必要になる点も運用上の課題となる場合があります。特にシフト制で運営している介護事業所では、全員が同じ時間に集まることが難しいため、委員会の開催方法や参加体制を工夫する必要があります。
さらに、委員会は形式的に開催するだけでは十分とは言えません。実際に感染症対策として機能させるためには、現場で活用できるマニュアルの整備や職員への周知など、継続的な取り組みが求められます。そのため、委員会を実効性のある形で運用していくための管理体制も重要になります。
このように、感染症対策委員会は介護事業所の安全管理において重要な役割を担う仕組みですが、実務面では一定の運用負担も伴います。制度の趣旨を理解したうえで、現場で活用できる形で継続的に運用していくことが求められます。
感染症対策委員会の開催頻度と法的根拠|感染症委員会はどこまで必要か
「委員会を開いている」と説明するためには、開催だけでなく、決めたことが職員に伝わっている状態が必要です。
根拠の条文・通知を押さえておくと、書類づくりの迷いが減ります。
この章では基準省令と解釈通知を分けて確認します。
運営基準では「感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会」と表現されることが多く、現場では感染症対策委員会として運用するケースが一般的です。
サービス別に、委員会と研修・訓練の頻度を確認する
指定訪問介護・指定訪問看護・指定通所介護では、委員会をおおむね6月に1回以上開催し、結果を職員へ周知することが求められます。指定介護老人福祉施設では、委員会はおおむね3月に1回以上です。研修・訓練の具体的な回数は、省令の「定期的に実施」という規定に加え、解釈通知で確認します。
| 対象サービス | 委員会 | 感染対策の研修 | 感染症発生時の訓練 |
|---|---|---|---|
| 指定訪問介護 | おおむね6月に1回以上 | 年1回以上 | 年1回以上 |
| 指定訪問看護(介護保険) | おおむね6月に1回以上 | 年1回以上 | 年1回以上 |
| 指定通所介護 | おおむね6月に1回以上 | 年1回以上 | 年1回以上 |
| 指定介護老人福祉施設 | おおむね3月に1回以上 | 年2回以上 | 年2回以上 |
表は上記4サービスの比較です。指定介護老人福祉施設の委員会・指針・研修には食中毒対策も含まれます。委員会は流行状況等を踏まえ、必要に応じて随時開催します。年間回数だけでなく開催間隔も管理します。他のサービスへ、この表をそのまま当てはめないでください。
出典:指定居宅サービス基準第31条・第74条・第104条、指定介護老人福祉施設基準第27条、居宅サービス解釈通知(2021改正新欄)、介護老人福祉施設解釈通知(2021改正新欄)。頻度は松江市の令和7年度サービス別一覧とも照合しています。
周知する対象は委員会の結果です。議事録に決定事項・担当者・期限・周知方法を記録し、欠席者にも伝わる方法を決めましょう。押印は、ここで挙げた省令・通知が一律に指定する唯一の周知方法ではありません。
ビデオ通話での開催の注意点 個人情報と記録
本記事で扱うサービスでは、テレビ電話装置等を用いた委員会の開催が認められています。居宅サービスの解釈通知では、リアルタイムで画像を介したコミュニケーションができる機器とされ、個人情報の取扱い等の関連ガイダンスを守ることが求められています。利用者情報を共有する範囲、参加者、資料の保管方法を事前に決めておきましょう(居宅サービス解釈通知・PDF7頁、介護老人福祉施設解釈通知・PDF13頁)。
ビデオ通話で開催する場合は、次の線で記録があると安心です。
- 参加者が本人であることを確認した方法
- 画面共有した資料の保管先
- 議事録の確定手順(担当→確認者→確定日)
感染対策委員会のメンバー 構成と役割|誰を入れるべきか
委員会が機能するかは、議題よりも「誰が当事者として集まるか」で決まることが多いです。事業所の規模に合わせつつ、現場の動きが見える職種を入れるのが近道です。
事業所の体制に合わせて、感染対策の知識と現場の情報を集める
訪問介護等の解釈通知では、感染対策の知識を持つ人を含む幅広い職種で委員会を構成し、外部の専門家にも参画を求めることが望ましいとされています。管理者、現場の担当者など、対策を決めて実行につなげられるメンバーを、自事業所の人員体制に合わせて選びます。
指定介護老人福祉施設では、施設長、事務長、医師、看護職員、介護職員、栄養士・管理栄養士、生活相談員などが職種の例として示されています。この施設の例を、すべての訪問系事業所に同じ職種の配置が必要という意味で用いないようにしましょう(居宅サービス解釈通知・PDF7頁、介護老人福祉施設解釈通知・PDF13頁)。
感染対策担当者と、連絡・情報集約の役割を決める
感染対策担当者を決め、委員会の構成員の責任と役割分担を明確にします。2024年改正の居宅サービス解釈通知では、担当者としての職務に支障がない場合、事業所内の複数の担当や、他事業所・施設等の担当との兼務が可能とされています。兼務先の業務に日常的に従事して利用者や事業所の状況を把握しているなど、職務を果たせる人を選ぶことが条件です。
同通知の注記では感染対策担当者は看護師が望ましいとされていますが、これは看護師に限るという条件とは異なります。日々の情報集約、職員への周知、連絡先の更新など、実際に担う業務を具体化してください(居宅サービス解釈通知・PDF7頁)。
協力医療機関や保健所とつながる 連携の実務
感染症の疑いが出たときは、事業所内だけで完結しません。あらかじめ相談先と情報共有の線を引いておくと、発生時の初動が速くなります。
指針では、感染症が疑われたときの事業所内の報告先と、医療機関・保健所・指定権者等への連絡体制を整理します。連絡先、連絡する担当者、伝える情報を事前に確認し、利用者の状況と対応経過を説明できるようにしておきましょう。施設向けの協力医療機関連携や加算の要件は、感染対策委員会そのものの一般的な運営要件とは分けて確認します(居宅サービス解釈通知・指針の項)。
プロケアDXで、委員会・訓練の準備と記録管理を支援
プロケアDXでは、委員会・訓練の実施予定や記録の管理を支援しています。サービス種別に応じた実施内容と職員への周知を確認しながら、準備や記録の整理に活用できます。機能と支援内容は、委員会・訓練の機能紹介をご覧ください。
研修・委員会・書類の準備を、もっと進めやすく


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感染症対策委員会の内容とは?決めること・議題・指針の範囲
委員会の議題は「その場の話題」だけだと、記録が薄くなりがちです。年間で決めるべきテーマを先に置くと、議事録が自然に厚くなります。
指針に入れたい中身 平時と発生時を切り分ける
通知では、感染症が発生又はまん延しないよう講ずべき措置として、指針の整備、委員会、研修、訓練がまとまりで示されています(居宅サービス解釈通知(2021年改正・関係部分))。指針は、マニュアルの索引になるように「全体の地図」として作るのがコツです。
指針に盛り込みやすい項目の例
- 連絡体制(管理者・協力医療機関・保健所・指定権者など)
- 標準予防策(手指衛生、個人防護具、環境整備)
- 発生時のゾーニング、動線、物品の持ち込み・持ち出し
- 職員の健康管理、出勤判断の基準
- 面会や送迎、通所での感染対策
- 行政への報告や相談のタイミング
報告様式や連絡先は自治体により取扱いが異なる可能性があります。指定権者の手引きも確認してください。
マニュアルは現場の動きで作る 嘔吐物処理など場面別にする
手引きでは、感染対策委員会の活動として「指針・マニュアル等の作成・見直し」「訓練(想定訓練)」「職員研修」などが挙げられています(介護現場における感染対策の手引き)。
嘔吐物処理、排泄物処理、送迎車の消毒、居室の隔離など、生活場面で迷う手順を先に言語化すると、発生時に指示が短くなります。委員会では、現場の担当者から“実際に困った場面”を持ち寄り、手順書を育てていくのが現実的です。
業務継続計画と一緒に回す 研修と訓練を同時開催する
感染症の業務継続計画(BCP)に関する研修・訓練と、感染症の予防・まん延防止のための研修・訓練は、一体的に実施することが認められています。また、2024年改正の居宅サービス解釈通知では、感染症のBCPと感染症予防の指針について、それぞれに必要な項目を適切に設定する場合は、一体的に策定することも認められています。まとめて実施・作成する場合も、感染予防と業務継続の両方の内容を扱ったことが分かるように整理しましょう(居宅サービス解釈通知・業務継続計画の策定等、2024年改正新欄・PDF6頁)。
事業所内での準備が気になる場合は、まず介護事業所の業務継続計画の考え方も合わせて確認しておくと、委員会の議題が組み立てやすくなります。
また、指針や議事録のひな形づくりが重いときは、プロケアDXで質問に答える形で指針や手順書を整え、委員会の議題や更新予定も合わせて管理する方法もあります。専門家に相談しながら進められるので、要件の抜けが不安なときでも軌道に乗せやすいです。
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感染対策委員会の研修と訓練|実施頻度と運営方法
委員会だけでは現場は動きません。研修と訓練を「委員会で決め、現場で実施し、委員会で振り返る」と往復させると、形だけになりにくくなります。
研修の回数と新規採用時の扱いは、サービス別に確認する
感染対策の研修は、知識を学び、事業所の指針に沿った衛生管理とケアを職員に共有するために行います。訪問介護・介護保険の訪問看護・通所介護では年1回以上、指定介護老人福祉施設では年2回以上が示されています。研修の実施内容を記録し、対象者や参加状況も後から確認できるように整理しましょう。
新規採用時は、訪問介護・通所介護等では感染対策研修の実施が望ましいとされ、指定介護老人福祉施設では必ず実施することが重要とされています。年次の研修とは別に、新しく入職した職員が事業所の連絡体制と対応手順を把握できる機会を設けましょう(居宅サービス解釈通知・研修及び訓練の項、介護老人福祉施設解釈通知・PDF14頁)。
訓練で、感染症発生時の連絡と役割分担を確かめる
感染症が発生した場面を想定する訓練も、訪問介護・介護保険の訪問看護・通所介護では年1回以上、指定介護老人福祉施設では年2回以上行います。指針と研修内容に沿って、報告・連絡、職員の役割分担、感染対策をしながらケアを行う手順などを確認します。
解釈通知では、机上訓練を含めて実施方法は問わない一方、机上と実地を適切に組み合わせることが適切とされています。机上訓練を一律に不可と考えるのではなく、事業所の課題に応じて方法を選び、実施内容と振り返りを残しましょう(居宅サービス解釈通知・PDF10~11頁、介護老人福祉施設解釈通知・PDF14頁)。
訓練の題材は、委員会で決めた「発生時の初動」を確かめるものが向いています。
- 発熱者が出たときの連絡順と記録
- 嘔吐が発生したときの隔離・動線・物品
- 通所で同日に複数名の症状が出たときの送迎・家族連絡
- 職員欠勤が重なったときの応援体制とケアの優先順位
研修や訓練の記録には、実施日、対象者・参加者、内容、使用資料、確認できた課題と見直し事項を整理すると、次回の改善につなげやすくなります。高齢者施設等感染対策向上加算などを算定する場合は、その加算固有の研修・参加要件を別途確認してください。
感染症対策委員会の議事録の書き方|記録の残し方と保存期間
議事録は、会議の記録であると同時に「現場が動いた根拠」になります。運営指導では、議事録単体よりも、周知・研修・訓練までつながっているかが見られやすいです。
議事録で押さえる要素 決定事項と周知の道筋
議事録には、最低限この要素があると説明が通りやすいです。
- 開催日時、場所、方法(対面・遠隔)
- 出席者、欠席者
- 議題と検討の要点
- 決定事項(いつから何を変えるか)
- 担当者と期限
- 周知方法(掲示、回覧、朝礼、研修で共有など)
- 次回の確認項目
手引きでも、委員会の決定事項は確実に周知徹底を図る必要があり、掲示の工夫例などが示されています(介護現場における感染対策の手引き)。
残すと強い証拠 指針 研修記録 訓練記録を束ねる
委員会は単体で完結させず、関連記録を束ねると強いです。たとえば次のように揃えると、どこを見せればよいかが明確になります。
| 何を決めるか | 残す記録の例 | 運営指導での説明ポイント |
|---|---|---|
| 年間の感染対策方針 | 指針、年間計画 | 「誰が」「いつ」「何を」する計画になっているか |
| 日常の衛生管理 | 点検表、物品管理 | 現場で実施できる形になっているか |
| 研修 | 研修資料、参加者、実施記録 | 内容が指針に沿っているか |
| 訓練 | シナリオ、役割分担、振り返り | 想定、役割分担、実施内容、振り返りと改善点を確認できるか |
| 発生時対応 | 経過記録、連絡票、改善点 | 再発防止まで落ちているか |
この表は、感染症対策委員会で決める事項と、残すと説明が通りやすい記録を対応づけたものです。
記録が散らばりやすい場合は、議事録・指針・研修・訓練の保管先を一覧にし、指定権者の確認資料と対応づけておきましょう。書類や実施状況の整理を相談したい場合は、運営指導対策の支援内容もご確認ください。
保存期間と保管先を、指定権者の取扱いに沿って決める
議事録、周知記録、研修・訓練記録は、実施状況をまとめて確認できるように保管します。保存期間は、サービス種別の基準と指定権者の条例・指導資料で、対象となる記録の範囲を確認してください。利用者ごとのサービス提供記録に関する保存規定を、そのまますべての委員会資料に当てはめないよう注意しましょう。
また、議事録の作成や研修記録の管理が属人化しているなら、プロケアDXで議事録のひな形、研修資料と受講記録、訓練の記録をまとめ、運営指導で見せる順番まで整えておくと、確認対応が短くなります。
研修・委員会・書類の準備を、もっと進めやすく


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運営指導で指摘されやすい感染症対策の落とし穴
感染症対策は「やっているつもり」でも、記録が薄いと説明が難しくなります。よくあるつまずきを先に知っておくと、後戻りの手間が減ります。
指摘されやすいパターン 形だけの委員会になっている
よくあるミスは「委員会を開いた記録はあるが、決定事項が現場の行動に落ちていない」状態です。
原因:議題が毎回同じで、担当と期限が決まらない/周知の方法が議事録に残らない。
防ぎ方:議事録に「決めたこと」「誰が」「いつまでに」「どこへ周知」を必ず残し、次回は実施状況を確認する議題を置きます。
例えば、直近の議事録が1年以上前のままで、研修記録も別々のファイルに保管されていると、必要な頻度を満たしているか、職員への周知まで行ったかを確認しにくくなります。開催日、研修・訓練日、記録の保管先を年間計画にまとめると、不足と次の予定を把握しやすくなります。
指摘されにくい証拠の残し方 ひもづけと更新履歴を残す
実施状況を説明し、職員が同じ対応を取れるようにするために、次のように記録を整理しましょう。
- 指針と議事録に、改定日と改定理由を残す
- 研修資料の表紙に、対象者・実施日・担当者を入れる
- 訓練は「シナリオ→実施→振り返り→改善」の一枚を残す
- 物品(手袋、マスク、消毒、ガウン等)は在庫表で更新日を残す
未実施の事項を確認し、実施計画を立てる
まず、委員会・研修・訓練の実施日と記録を照合し、足りない事項を確認します。今から実施する取組と、過去の不備への対応を分け、必要に応じて指定権者へ相談してください。未開催の会議や未実施の研修について、実施したかのように過去の日付で記録を作らないようにします。立て直しは、次の順に進めると整理しやすくなります。
- 自サービスの運営基準と指定権者の手引きで、委員会・研修・訓練の要件を確認
- 感染対策担当者と委員会メンバーを決め、年間の議題を置く
- 指針とマニュアルを現場の動きに合わせて更新
- 研修と訓練を計画し、実施記録まで作る
- 委員会で振り返り、改善点を次回の議題に入れる
「法令に沿った形に戻したいが、どこから手を付けるべきか迷う」というときは、介護事業所の法令遵守の考え方も参考になります。

感染症対策委員会の年間計画と継続運営の仕組み
感染症対策は、担当者の頑張りに寄りかかると続きません。人が入れ替わっても回る仕組みにすると、結果的にコストが下がります。
会議体を増やしすぎない 他の委員会と一体運営も検討する
訪問介護等の解釈通知では、感染対策委員会を他の会議体と一体的に設置・運営することが認められています。指定介護老人福祉施設では、他の委員会から独立した設置・運営が基本ですが、関係する職種や取扱事項等の関係が深い他の会議体がある場合は、一体的な設置・運営も認められます。これは、2021年改正通知の新しい規定で確認できます(居宅サービス解釈通知・PDF7頁、介護老人福祉施設解釈通知・PDF13頁の新欄)。
一体運営を行う場合も、それぞれの委員会で扱うべき事項、必要な開催頻度、職員への周知を省略できるわけではありません。議題と決定事項を区別して記録し、各取組の実施状況を確認できる形にしましょう。
経営判断としては、会議体を増やすより「議事録と研修・訓練をひもづけた一つの運用」に寄せる方が、職員の負担が読みやすくなります。虐待防止や身体拘束など、他の必須取組も同時期に動くため、虐待防止の取組義務化のような別テーマとも年間計画で並べておくと、抜けが減ります。

仕組み化の選択肢 書類と運用を一緒に整える
委員会の議事録、指針、研修・訓練記録は、保管するだけでなく、更新の予定と担当者を決めておくことが大切です。年間計画に開催・実施日と見直し時期を入れ、担当者が変わっても引き継げるようにしましょう。
もし「委員会は必要だと分かっているが、担当者が回らない」という状態なら、プロケアDXで指針・議事録・研修・訓練を一体で管理し、専門家に相談しながら見直しの循環を作るのも一案です。運営指導の観点で何を優先して整えるべきかも、状況に合わせて決められます。
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感染症対策委員会に関するよくある質問(Q&A)
感染症対策委員会は、介護事業所で必ず設置しないといけませんか?
本記事で扱う介護保険の訪問介護・訪問看護・通所介護・指定介護老人福祉施設では、感染症対策の委員会を開催することが求められます。他のサービスには個別の規定があるため、自事業所のサービス種別と人員体制に対応する基準を確認してください。
開催頻度はどれくらいですか?
訪問介護・介護保険の訪問看護・通所介護はおおむね6月に1回以上、指定介護老人福祉施設はおおむね3月に1回以上です。流行状況や事業所の状況を踏まえ、必要に応じて随時開催します。
委員会を開いたら、職員への共有まで必要ですか?
はい。本記事で扱うサービスでは、委員会の結果を職員へ周知することも求められます。欠席者への伝達方法を含め、何をどのように共有したかを確認できるようにしましょう。
委員会以外に、感染症対策として必要な取組は何ですか?
感染症の予防・まん延防止のための指針の整備と、定期的な研修・訓練が必要です。担当者や役割分担も明確にします。指定介護老人福祉施設の委員会・指針・研修には、食中毒対策も含まれます。
研修や訓練は、何回実施すればよいですか?
省令の定期実施という規定に加え、解釈通知で具体回数を確認します。訪問介護・介護保険の訪問看護・通所介護は研修・訓練とも年1回以上、指定介護老人福祉施設はともに年2回以上です。新規採用時の研修の扱いもサービス別に確認します。
委員会はオンラインで開催してもいいですか?
はい。本記事で扱うサービスではテレビ電話装置等を利用できます。リアルタイムで画像を介してやり取りできる方法を用い、個人情報の取扱い等に注意します。書面回覧だけで開催に代えられると一律に判断しないでください。
食中毒も、感染症対策委員会で扱いますか?
対象の書き方はサービスの基準によって異なります。指定介護老人福祉施設の第27条は、委員会・指針・研修の対象に感染症と食中毒を含めています。訪問介護や通所介護の感染症対策に関する条項とは区別して確認してください。食事を提供する事業所で必要な食品衛生の対応が不要になるという意味ではありません。
まとめ
- 感染症対策委員会は、感染症の予防とまん延防止を「決めて、周知して、振り返る」ための会議体
- 運営基準では定期開催と周知が求められ、開催した証拠だけでなく周知・研修・訓練までのつながりが見られやすい
- 議事録は決定事項と担当・期限・周知方法まで残すと、運営指導で説明が短くなる
- 研修・訓練はサービス別の頻度を確認し、指針に沿った連絡と役割分担を確かめる。訓練は机上と実地を適切に組み合わせる
- 指針や記録が散らばると、当日の確認対応が長引くので、束ねて保管するのが安全
「自事業所の要件に合っているか」「今の記録で説明が通るか」を一度プロの目で点検しておくと、次の確認でも落ち着いて対応できます。感染症対策委員会の運用や、指針・議事録・研修記録の整え方を相談しながら進めたい場合は、プロケアDXも選択肢に入れてみてください。現場の実態に合わせて、無理のない形に整える支援ができます。
確認した主な一次資料
制度に関する確認日:2026年10月29日。法令の義務、解釈通知の取扱い、実務上の工夫を分けて記載しています。今後の改正や自治体ごとの取扱いは、指定権者の最新情報も確認してください。
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準:第31条、第74条、第104条
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準:第27条
- 居宅サービス解釈通知・2021年改正新旧対照表:衛生管理等、研修・訓練
- 居宅サービス解釈通知・2024年改正新旧対照表:担当者の兼務、委員会、テレビ電話等
- 介護老人福祉施設解釈通知・2021年改正新旧対照表:衛生管理等(PDF13~14頁の新欄)
- 介護現場における感染対策の手引き 第3版:2023年9月、介護現場の実務
研修・委員会・書類の準備を、もっと進めやすく


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