【専門家監修】有料老人ホームの登録制とは?2027年12月開始予定・対象と登録基準

有料老人ホームの登録制について、「運営しているホームも対象になるのか」「いつから、何を準備すればよいのか」と気になっている方もいるでしょう。
登録制は、対象となるホームが契約・人員配置・設備・運営などの基準を満たして登録を受ける制度です。2027年12月に始まる予定で、対象かどうかは施設の種類だけでなく、受け入れる方の状態などによって決まります。厚生労働省・第10回検討会資料1(18・22ページ)
この記事では、介護業界の専門家片山海斗氏の監修のもと、住宅型・介護付き有料老人ホーム、有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の運営者に向けて、登録の対象や開始予定時期、準備しておきたい書類を解説します。
※本記事は全国共通の制度をもとに、2026年11月4日時点の情報をまとめています。
成立した法律の内容と、今後の「予定」「基準案」を区別して記載しています。具体的な申請方法や期限は、今後の国・自治体の案内を確認してください。
| 確認したいこと | 2026年11月4日時点の内容 |
|---|---|
| いつから? | 2027年12月に開始予定。届出等の条件を満たす既存ホームの移行期間は1年間とする予定。開始時期と経過措置を見る |
| どの施設が対象? | 住宅型・介護付き・有料老人ホームに該当するサ高住のうち、入居対象者などの条件を満たすホーム。対象施設の考え方を見る |
| 何を準備する? | 契約書・重要事項説明書・勤務表・設備・会計資料を確認。正式な申請様式や期限は今後の案内で確認。準備する書類を見る |
出典:第10回検討会・資料1(14・18・22ページ)をもとに編集部作成。日程や基準の詳細は今後変更される場合があります。
有料老人ホームの登録制とは?
有料老人ホームの登録制とは、対象となるホームについて、入居契約や職員の配置、設備、運営方法などが基準を満たしているかを確認し、行政に登録する制度です。登録はホームごとに行い、5年ごとに更新します。対象かどうかは、受け入れる方の状態などが、国が定める条件に当てはまるかによって判断されます。
今回の制度改正には、入居者を守り、サービスの質を確保する目的があります。登録基準のほか、契約前の説明に関する規定も設けられます。さらに、事実と著しく異なる広告や、実際よりも著しく優良・有利だと誤解させる広告も禁止されます。ホームが提供するサービスや費用を、入居者が理解したうえで選べるようにするためです。公布通知(第6・3~4)
専門家の声有料老人ホームとサ高住の違いをおさらい
有料老人ホームには、介護付き・住宅型・健康型の3類型があります。サ高住は別の登録制度に基づく住まいですが、食事の提供などのサービス内容によっては、有料老人ホームにも該当します。健康型有料老人ホームとサ高住は、同じ意味ではありません。
厚生労働省「有料老人ホームに対する指導監督マニュアル」1ページ
この制度を設ける「社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)」は、2026年6月25日に公布されました。
「公布」とは、成立した法律を広く知らせることです。法律が実際に適用されることを「施行」といいます。
今回の登録制では、公布と施行の日付が異なりますので留意して下さい。厚生労働省の公布通知(冒頭、第10・1(3))
いわゆる囲い込みに対する規制だと思ってOK
有料老人ホームの登録制には、いわゆる「囲い込み」を防ぐための規制を強める目的があります。ただし、囲い込み対策だけの制度ではありません。職員体制や設備、契約などの基準を通じて、入居者の安全とサービスの質を確保することも目的です。
囲い込みの問題として挙げられているのは、入居者が介護サービスの事業所を自由に選べないことや、本人に必要な範囲を超えてサービスが提供されることです。
例えば、家賃や管理費を低く設定して入居者を集め、その収入の不足を補うために、併設する訪問介護などを必要以上に利用させる運営が問題として指摘されています。厚生労働省の検討会でも、こうした経営のあり方が課題として取り上げられています。
2026年10月9日に示された登録基準案では、系列事業所の利用を入居条件にすることや、担当ケアマネジャーの変更を強要すること、系列事業所を利用する場合だけ家賃を安くすることなどを、不当な条件として挙げています。第10回検討会・資料1、7ページ
ただし、同じ法人のサービスを利用すること自体が、直ちに問題になるわけではありません。入居者の選択が尊重され、本人の状態に応じたサービスが提供されているかが大切です。厚生労働省「検討会とりまとめ」38ページ
ここが変わる!これまでの届出制との違い
新しい登録制では、対象となるホームが登録基準を満たしていることが必要になります。
これまでの届出を済ませている場合も、新しい制度で必要な手続きを確認しましょう。
| 確認事項 | 現在の届出制 | 新しい登録制(2027年12月施行予定) |
|---|---|---|
| 制度改正 | 老人福祉法に基づく届出などを行い、行政の指導や監督を受ける。 | 対象となるホームが申請し、登録基準を満たしているかなどの確認を受ける |
| 法令遵守 | 法令や自治体の指導指針などに沿った対応が必要 | 契約の基準や、自治体が条例で定める設備・運営の基準などを満たすことが登録の条件になる |
| 更新 | 老人福祉法の届出には、新制度のような5年ごとの登録更新はない | 5年ごとの登録更新が必要 |
出典:公布通知(第6・3~4)、有料老人ホームの設置運営標準指導指針(冒頭・第1項)をもとに編集部作成。
サ高住には届出の特例などがあり、必要な手続きは施設によって異なります。
現在の制度でも、契約内容の説明や、入居者がサービスを選ぶ権利を尊重した運営が必要です。



簡単にいうと、対象となるホームでは、届出だけでなく、基準を満たして登録を受ける手続きが必要になる予定です。現在も法令や指導指針への対応は必要ですが、新制度では自治体が条例で定める設備・運営基準などへの適合が登録の条件になります。
経営者としては、契約書や重要事項説明書を整えるだけでなく、実際の人員配置やサービス提供の内容も確認しておきましょう。
有料老人ホームの登録制はいつから始まる?
厚生労働省が2026年10月9日に示した資料では、登録制は2027年12月に始まる予定です。すでに運営しているホームについては、新制度へ移行するための期間を1年間とし、2028年12月に終了する予定が示されています。第10回検討会・資料1「登録制の施行に向けた対応について(まとめ)」22ページ
すでに運営しているホームが新制度へ移行するために、一定の準備期間を設ける対応が「経過措置」です。
現在はまだ確定していないので2028年12月を、そのまま自施設の申請締切と考えないようにしましょう。また、経過措置の対象には、施行前の届出やサ高住の登録などの条件があります。第262回介護給付費分科会・資料2、21ページ(改正法附則第25条)
| 時期・期間 | 制度の状況 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 2026年6月25日 | 法律が公布された日 | 制度の対象と、準備する内容 |
| 2027年12月 | 登録制の開始予定 | 正式な開始日、申請受付の時期、必要書類 |
| 制度の開始から1年間 | すでに運営しているホームの移行期間として提示 | 自施設に必要な手続きと申請期限 |
| 2028年12月 | 移行期間の終了予定 | 自治体が案内する具体的な期限 |
上の表は、厚生労働省の資料をもとに編集部が整理したものです。法律では、登録制の開始日を、法律の公布から2年以内に政令で定めることとしています。政令は、法律の内容を具体化するために国が定める規定です。公布通知(第10・1(3)、PDF通算27ページ)
なお、ホームが登録へ移行するための期間と、職員の配置などを新しい基準(運営基準・設備基準・人員基準)に合わせるための期間は、別に定められることがあります。「すべて1年間で対応すればよい」とまとめず、項目ごとに期限を確認しましょう。
登録の対象になる施設は?住宅型・介護付き・サ高住の扱い
登録の対象は、住宅型有料老人ホームだけではありません。介護付き有料老人ホームや、有料老人ホームに該当するサ高住も、受け入れる方の状態などが国の定める条件に当てはまる場合は対象となります。施設名だけで一律に判断しないようにしましょう。
中程度から重度の介護を必要とする方に加え、認知症や医療への対応が必要な一定の要介護者を受け入れるホームも、対象とする方向が示されています。具体的には、要介護者で「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅢ以上の方や、一定の医療ニーズがある要介護者です。第10回検討会・資料1、18ページ
「認知症高齢者の日常生活自立度」は、認知症による症状や行動などが日常生活にどの程度影響しているかを表す区分です。「Ⅲ以上」は「要介護3以上」という意味ではありません。
どのような医療への対応が必要な方を対象にするかなど、詳しい条件は今後の規定を確認しましょう。
| 施設の種類 | 登録制について確認すること |
|---|---|
| 住宅型有料老人ホーム | 受け入れる方の状態などが条件に当てはまる場合は、登録の対象となる |
| 介護付き有料老人ホーム | 介護保険の指定を受けていても、新しい登録の対象か確認する。申請手続きを簡単にする方法が検討されている |
| 有料老人ホームに該当する サ高住 | サ高住としての登録とは別に、新しい登録の対象か確認する。申請手続きを簡単にする方法が検討されている |
出典:第10回検討会・資料1、14・18ページをもとに編集部作成。



介護付きホームなどが受ける「特定施設入居者生活介護」の指定と、今回の登録制は別の制度です。
また、サ高住として登録済みでも、それだけで新しい登録が不要になるわけではありません。
入居者紹介事業者への手数料はどう変わる?
登録基準案では、ホームが入居者紹介事業者へ支払う手数料の設定についても見直しが示されています。介護度や医療の必要度などに応じて、不適切なサービス利用を助長すると受け取られるような手数料を設定しないことが求められています。
入居者紹介事業者を利用する場合は、入居希望者の介護度や医療の必要度等の個人の状況や属性に応じて手数料を設定するといった、社会保障費の不適切な費消を助長するとの誤解を与えるような手数料の設定等を行わないこと



弊社のクライアントでも入居者紹介事業者に対して1名あたり高額な費用が掛かっており、私自身も本来介護職員に対する待遇改善や緊迫した経営課題解決に向けての投資予算として計上すべきであると考えていましたが、今回、ホーム側の紹介手数料の設定等についても、基準案で明確に示されました。
また、紹介事業者の「優良事業者認定制度」などの取組も示されています。ホームの登録基準とは別の仕組みであり、紹介事業者にホームと同じ登録義務を課すという意味ではありません。第10回検討会・資料1、10・20ページ
登録基準はどう変わる?契約・人員・設備・運営の基準案
登録基準とは、ホームが登録を受けるために満たす必要がある条件です。
法律では、書面などで入居契約を結ぶこと、不当な契約条件を付けないこと、運営に関する重要事項を定めることなどが規定されています。自治体が条例で定める設備・運営の基準を満たすことも必要です。公布通知・第6の4(4)~(5)
本記事では、2026年10月9日に示された基準案から、主な内容を紹介します。現在の指導指針と共通する内容も含まれています。以下の人員・設備・運営の詳細は基準案であり、最終的な政省令や自治体の条例によって確認が必要です。
| 法律で定められた事項 | 基準案・今後確認する事項 |
|---|---|
| 対象ホームの登録、5年ごとの更新、契約に関する条件など | 対象者の詳しい条件、人員・設備・運営の具体的基準、経過措置、自治体の申請様式・受付日・期限 |
※上表は公布通知と2026年10月9日の検討会資料をもとに編集部作成。改正法に規定されていても、すでに施行されているという意味ではありません。
契約基準案|系列事業所の利用を入居条件にしない
基準案では、次のような不当な条件を付けないことが示されています。
有料老人ホームと併設・隣接、もしくは同一・関連法人や提携関係等のある介護サービス事業所や居宅介護支援事業所、医療機関や訪問看護事業所、薬局の利用等を契約条件とすること。
かかりつけ医や担当ケアマネジャーの変更を強要すること。
これらの介護サービス事業所等を利用する場合に家賃の軽減等の優遇措置を行うこと。
入居契約では、入居者が利用する介護サービスなどを自由に選べるかが確認のポイントになります。
基準案では、ホームと関係のある事業所の利用を入居条件にすることや、その事業所を利用する場合だけ家賃を安くすることなどを、不当な条件として挙げています。
ただし、地域で利用できる事業所が限られ、その事業所を利用せざるを得ない場合においては不当な条件とはしないとされています。



入居契約書や料金表、入居相談で使う資料に「同じ法人の訪問介護を使うと家賃が安くなる」といった条件がないか、早めに確認してください。書類に書かれていなくても、実際の入居説明やサービス提供で利用先を限定していないかを確認することが大切です。
今後、特定事業所への集中に関する減算などにも見直しが及ぶ可能性があると個人的には考えています。ただし、これは現時点で決まった改正内容ではなく、私自身の見解です。
人員基準案|日中の常駐と夜間・緊急時の対応
人員基準案では、提供するサービスに応じた職員体制を確保し、原則として夜間を除き、ホーム職員が常駐することが示されています。夜間・緊急時は、職員配置またはオンコールによる対応が示されています。
| 職種・場面 | 基準案の主な内容 |
|---|---|
| 管理者・生活相談員 | 1名以上を配置。業務に支障がなければ、施設内や他施設の職務との兼務が可能 |
| 介護職員・看護職員 | 提供する介護等の内容に応じ、安定したサービス提供や入居者の健康管理に必要な体制を確保 |
| 夜間・緊急時 | 職員配置またはオンコールで対応。必要な場合に職員や連携先が出勤でき、ホームの責任で速やかに対応できる体制を確保 |
| 食事・機能訓練を提供する場合 | 食事は栄養士・管理栄養士の関与のもと、入居者の状態に応じた栄養管理を行える体制を確保。機能訓練指導員は訓練内容に応じて確保 |
出典:第10回検討会・資料1、8ページをもとに編集部作成。夜間・緊急時の体制には、一定の経過措置を設ける方針です。
職員体制の基準案には、管理者や生活相談員の配置、提供する介護などに応じた職員の確保、夜間や緊急時への対応が含まれています。一人の職員が複数の業務を担当する「兼務」についても、認められる条件が示されています。
夜間などの対応方法として挙げられている「オンコール」は、連絡を受けて必要な対応を行う体制のことです。今回の案では、電話を受けるだけでなく、状況を確認し、必要なときに職員などが速やかに出勤できることが求められています。
なお、この基準案だけを理由に、介護付きホームなどに現在適用されている介護保険の人員基準を変更することはできません。自施設の指定基準と、新しい登録基準をそれぞれ確認しましょう。



勤務表と夜間の連絡手順を見比べ、「誰が連絡を受けるか」「誰がホームへ向かうか」「担当者が対応できないときは誰が代わるか」を整理しましょう。併設する事業所の職員が対応する場合は、ホームの業務を担当できる時間と役割も確認しておくと、制度への対応や日々の業務を円滑に進めやすくなると考えます。
併設する訪問介護事業所の職員がホームの業務も担当する場合は、訪問介護の人員基準と兼務の考え方も確認しましょう。ホームでの業務と訪問介護での業務を分け、勤務時間や配置を確認する際に役立ちます。
設備基準案|居室13㎡以上の原則と特例
●建築基準法に基づく、用途・規模等に応じた規制に適合していること(一定規模以上等の場合、耐火建築物又は準耐火建築物等)
●消防法に基づく用途等に応じた規制に適合していること
●個室、13㎡以上
●要介護者等が居住する区域の廊下は入居者が車いす等で安全かつ円滑に移動することが可能な廊下幅
*指導指針及びサ高住との均衡を踏まえ策定
●浴室 ※適当な規模及び数
●便所 ※適当な規模及び数 (緊急通報装置等)
●食堂等 ※提供するサービス内容に応じる 等※その他特例要件あり
設備の基準案では、居室は原則として個室とし、入居者1人当たり13㎡以上とする内容が示されています。ただし、既存の建物を活用したホームなどには特例があり、サ高住は高齢者住まい法の基準による扱いも示されています。既存建物の特例にも、代替措置や入居者への説明などの条件があります。改修の判断は、自施設への適用を確認してから行いましょう。第10回検討会・資料1、9ページ
運営基準案|虐待防止・感染症対策・BCPなど
●入居者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立つとともに、入居者の個人としての尊厳及び安全性等を確保しつつ福祉の向上を図ること
●職員の研修
定期的に研修を実施すること(高齢者の心身の特性、実施するサービスのあり方及び内容等)
●虐待防止・身体的拘束等の適正化の措置
●事故発生時の対応
●業務継続計画の策定
●非常災害対策への備え
●個人情報の取扱い、秘密保持
●衛生管理・感染症対策
●協力医療機関を定めること
(相談及び診療対応について努力義務)
※一定の経過措置を設ける
●看取りまで行うホームにおける看取り指針の整備
●地域住民又はその自発的な活動等との連携及び協力を行う等の地域との交流に係る努力義務
出典:登録基準と現行の標準指導指針等との比較(運営に関する基準)、第10回検討会・資料1、10ページをもとに主な項目を整理。協力医療機関の相談・診療対応の確保や地域交流など、努力義務とされる事項もあります。
運営の基準案では、入居者の希望や状態に合ったサービスを選べるようにすることも重視されています。
必要なサービスを考え、利用につなげる支援を「ケアマネジメント」といいます。ホーム側の都合だけでサービスを決めず、入居者の立場で支援できる体制を整えるためのルールが検討されています。



基準案には、虐待防止や感染症対策、BCP(業務継続計画)などが含まれています。併設する訪問介護や通所介護の書類がある場合も、ホームの職員体制や建物に合う内容かを確認しましょう。重要事項説明書や運営規程に反映する内容も、正式な基準と照らして整理しておくと進めやすくなります。
会計の基準案|ホームと関連事業の収支を分けて管理する
また、ホームの事業と介護サービスの事業について、収入や支出を分けて管理することも確認する内容の一つです。登録基準案では、ホーム事業と介護サービス事業等の会計を区分することが示されています。サービス選択の尊重や会計の区分は、現在の標準指導指針にも記載されています。第10回検討会・資料1、10ページ、標準指導指針・第9~10項
ただし、登録済みのサ高住には、標準指導指針の「経営」に関する第10項を適用しない扱いがあります。標準指導指針・第2項(10)施設の種類による違いも確認しましょう。書類を確認するときは、実際の説明や会計処理が、書類に書かれた内容と合っているかも見ておきましょう。今のルールで見直す必要があることと、新しい基準が決まってから対応することを分けると、準備を進めやすくなります。



会計の区分では、売上だけでなく、それぞれの事業に直接対応する経費も分けて把握することが大切です。複数の事業に共通する経費は、適用する会計基準や実際の使い方に合った配分方法を、会計担当者や税理士と確認しましょう。
売上比率で分ける方法も考えられますが、すべての経費に一律に当てはめるものではありません。どの基準で分けたかを記録しておくと、事業ごとの収支を説明しやすくなります。
登録施設介護支援との連携|情報共有とケアマネジャーの独立性
登録基準案では、登録施設介護支援等を行う事業者から求められた場合に、ケアプランの作成などに必要な情報を提供することが示されています。誰が入居者の状態やサービスの利用状況をまとめ、担当者へ伝えるかを決めておきましょう。
あわせて、入居契約とケアマネジメント契約をそれぞれ独立して結び、ケアマネジャーがホームの都合に左右されずに支援できる体制を整える方針です。契約やケアプラン作成の手順書、入居希望者への説明、施設長・管理者の研修、相談担当者の設置などが挙げられています。情報共有と、契約・ケアマネジャーの独立性の確保は、別々に確認する事項です。第10回検討会・資料1、10ページ
登録制と登録施設介護支援の違いは、後半の「登録施設介護支援との違い」で解説します。
登録に向けて準備しておきたい書類
登録に向けては、入居契約書や重要事項説明書、事業計画書などをそろえ、現在の運営内容と合っているかを確認することから始めましょう。
改正法では、登録申請書に次の書類などを添付することが定められています。
- 誓約書:過去の不正行為など、登録を受けられない事由に該当しないことを誓約する書面
- 事業計画書:ホームの事業計画について、国が定める事項を記載する書類
- 入居契約に係る約款:入居にあたっての契約条件をまとめたもの
このほか、厚生労働省令で定める書類も必要になります。
申請書には、入居対象者の状態や提供する介護等の内容、介護サービス事業者と連携する場合の連携内容などを記載します。
また、2026年10月9日の検討会資料では、重要事項説明書、入居契約とケアマネジメントの独立性を確保するための書類、決算書・財務諸表なども提出を求める方針が示されています。特定施設やサ高住については手続きの簡素化も示されているため、具体的な様式や提出範囲は、今後の申請案内に沿って確認しましょう。
今ある書類は、どこを見直せばよい?
まずは、入居者への説明、契約内容、実際のサービス提供に違いがないかを確認します。例えば、料金表を変更していても、重要事項説明書や入居相談で使う資料に以前の料金が残っていることがあります。関連する書類を並べて確認すると、修正が必要な箇所を見つけやすくなります。
以下は、今から取り組める書類確認の例です。正式な申請時の提出書類一覧とは異なります。
| 確認する分野 | 書類の例 | 見直すポイント |
|---|---|---|
| 入居対象者・サービス内容 | 募集パンフレット、重要事項説明書、入居条件をまとめた資料 | 受け入れる方の状態や、提供するサービスの説明が一致しているか |
| 契約・料金 | 入居契約書、重要事項説明書、料金表 | 入居条件、料金、サービスの選び方について、書類と実際の説明に違いがないか |
| 人員配置・夜間対応 | 勤務表、職員の役割分担、夜間の連絡手順 | 誰が勤務し、誰が緊急連絡を受け、必要な場合に誰が対応するか |
| 設備 | 平面図、設備一覧、建築・消防関係の資料 | 図面に記載された用途・広さ・設備と、現在の使い方が合っているか |
| 日々の運営 | 各種指針、BCP、研修・委員会の記録 | 書類に定めた担当者や対応方法が、現在の体制で実行できる内容になっているか |
| 事業計画・会計 | 事業計画書、決算書、事業ごとの会計資料 | ホームと関連事業の収入・支出を区分し、共通する費用の配分方法を説明できるか |
※編集部作成。各施設のサービス内容や運営状況に応じて確認してください。



実務のポイント
書類ごとに担当者を決め、修正が必要な箇所、対応する人、対応予定日をまとめておくと、管理者だけに作業が集中することを防ぎやすくなります。また、職員の採用や夜間対応の変更、設備の改修が必要になる場合は、書類の修正だけでは対応できません。正式な基準と自施設への適用を確認したうえで、必要な費用と準備期間も検討しましょう。
併設する訪問介護事業所については、訪問介護の運営指導で確認する書類と準備の進め方も参考になります。ホームの登録準備と、訪問介護事業所の人員・運営基準への対応は、担当者と確認する書類を分けて進めると整理しやすくなります。
書類を見直すなかで、どこから確認すればよいか迷う場合は、書類・運営に関する無料個別相談会で、専門スタッフと確認したい点を整理できます。
「登録施設介護支援」との違いは?
有料老人ホームの登録制は、ホームが基準を満たして登録を受ける制度です。一方、登録施設介護支援は、入居者のケアプラン作成や介護サービスの調整などを担う、新しい介護保険サービスです。
ケアプランは、本人の状態や希望に合わせて、利用する介護サービスなどをまとめた計画です。登録施設介護支援では、その作成に加え、サービス事業者との連絡調整や、地域活動への参加を支える役割も設けられます。要支援者には「登録施設介護予防支援」が設けられます。第272回介護給付費分科会・資料2、12~13ページ。
注意したいのは、二つの制度で対象が異なることです。2026年10月28日の基準案では、登録施設介護支援等の対象となるホームから、介護保険の「特定施設」を除いています。介護付きホームが新しい登録制の対象になったとしても、それによって登録施設介護支援の対象になるわけではありません。同資料、34ページ。
開始時期にも違いがあります。登録施設介護支援等は、法律の公布から3年以内に政令で定める日に始まることとされ、審議会資料では、既存ホームの登録制への移行期間が終了する時期を想定しています。ホームの登録制と同時に始まるものとして準備しないようにしましょう。公布通知・第10の1(4)、第272回介護給付費分科会・資料2、33ページ。
実務では、ホーム側の登録申請と、ケアプランを担当する事業者との連携準備を分けて考えます。入居者の状態やサービスの利用状況について、誰が情報をまとめ、担当のケアマネジャーへ伝えるのかを整理しておくと、その後の体制づくりを進めやすくなります。
まとめ|登録に向けて、契約・人員・設備・会計を見直しましょう
有料老人ホームの登録制は、対象となるホームについて、契約や人員配置、設備、運営などの基準への適合を確認する制度です。2026年11月4日時点では、2027年12月の開始が予定されています。第10回検討会・資料1、22ページ。
経営者・管理者が今から取り組めるのは、自施設の入居対象者と運営状況を整理し、契約書類や勤務表、設備・会計の資料を見直すことです。書類の修正で対応できることと、採用や設備への投資が必要になることを分けておくと、準備の優先順位を決めやすくなります。
制度改正への準備を始めるにあたり、今ある書類や日々の運営について相談したい方は、書類・運営に関する30分の無料個別相談会をご利用ください。オンラインで、見直しを進めるうえで確認したい点を専門スタッフと整理できます。





