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訪問介護事業所において、従業員であるホームヘルパー自身が家族の介護に直面した際、休業取得や労働時間調整の申し出に対して事業所がどう適法に対応し、人員基準を満たし続けるかが現場で止まりやすい論点です。
本稿では、厚生労働省の各種助成金要領や育児・介護休業法の法令条文、および公式の質疑応答集といった一次情報を根拠に、実務上の適切な対処法を提示します。
急な介護休業の申し出に際して、サービス提供責任者はどのようにシフトを調整すべきでしょうか。また、助成金を活用する際、労働時間の記録はどのように残せば行政の審査を通過できるのでしょうか。
この記事でわかること

ホームヘルパーが働き続けられる環境を整えることは、事業所を守る第一の近道です。ここでは訪問介護に特有の課題と、経営者が知っておくべき法律の基本について整理してお伝えします。
訪問介護事業所を運営するにあたり、もっとも深刻な経営課題のひとつが人材の確保と定着です。とくに近年、訪問介護員(以下、ホームヘルパー)自身の高齢化が進んでおり、ホームヘルパー自身が配偶者や親の介護に直面する機会が急増しています。利用者宅へ直接赴き、身体介護や生活援助を提供する訪問介護の現場では、ホームヘルパー一人ひとりの技術や利用者との信頼関係がサービスの質に直結します。そのため、熟練したホームヘルパーが家族の介護を理由に離職してしまうことは、事業所にとって計り知れない損失となります。
介護離職が事業所に与える影響は、単に人員がひとり減るという事態にとどまりません。指定訪問介護の事業運営においては、人員に関する基準が厳密に定められており、常勤換算方法で一定の要件を満たし続ける必要があります。もし主力となるホームヘルパーが急に退職してしまえば、残された従業員やサービス提供責任者(以下、サ責)への負担が一気に集中します。その結果として、サ責自身も過労で倒れてしまったり、連鎖的な退職を引き起こしたりする危険性があります。
社会保険労務士などの専門家の声によれば、「訪問介護の現場では、直行直帰の働き方が主流であるため、従業員が抱える個人的な悩みが事業所側に伝わりにくい傾向がある」と指摘されています。近年は、介護分野の職員の賃上げなどの新たな動きが出ており、社会規模で注目を受けているトピックでもあります。一方で、介護事業の経営陣や管理者が従業員の家庭の事情に気づけないまま、ある日突然「親の介護があるので辞めます」と退職届を突きつけられる事態は珍しくはありません。こんな事例をできる限り防ぐためにも、日頃から介護離職防止に向けた対策を講じておくことが不可欠です。
従業員の介護離職を防ぐためには、国の法律に基づいた適切な制度を事業所内に整備することが求められます。介護を行う従業員を守るための法律として「育児・介護休業法」が存在しており、経営者はこの法律の要件を満たす就業規則を定めて運用しなければなりません。
事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する三年の以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその対象家族を介護することを容易にするための措置を講じなければならない。
この条文は、事業主に対して短時間勤務や始業時刻の変更などの選択肢を設け、労働者が介護と仕事を両立できる環境を整えることを義務付けています。訪問介護事業所においても例外ではなく、ホームヘルパーから申し出があった場合には、法令に沿った対応が必須です。具体的には、対象となる家族ひとりにつき、通算して93日までの介護休業を3回に分けて取得できる制度や、年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)の介護休暇を取得できる制度を整備する必要があります。
法改正にともない、従業員に対する制度の個別周知や意向確認が義務化されるなど、事業所に求められる取り組みは年々厳格化しています。経営者は「うちの事業所は規模が小さいから関係ない」と考えるのではなく、むしろ小規模な訪問介護事業所だからこそ、法令を遵守し、従業員が安心して働ける環境を整えることが、地域での信頼獲得や新規採用の強化につながるという視点を持つことが重要です。
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従業員が介護と仕事を無理なく両立できるよう、日々の業務にどう折り合いをつけるか。訪問介護ならではの働き方に合わせた、柔軟な制度設計のコツを解説します。
従業員から「家族の介護が必要になった」と相談を受けた際、事業所が最初に行うべき取り組みが「介護支援プラン」の策定です。これは、従業員がどのような介護状況にあり、どのような働き方を希望しているのかを個別に聞き取り、事業所としてどのように支援していくかをまとめた計画書のことです。
訪問介護の場合、ホームヘルパーは日中の特定の時間帯に利用者宅へ訪問する働き方が基本となります。そのため、一般企業の事務職のように「毎日1時間の短時間勤務にする」という一律の対応だけでは、現場のシフト調整がうまくいかないことがあります。そこで、ホームヘルパーの要望に合わせて「午前中だけ勤務する」「週に3日、特定の曜日だけ訪問に出る」といった、柔軟な働き方を導入することが効果的です。
経営判断のヒントとして、優秀なヘルパーを一人失い、新規採用と育成にかかる多額の費用や時間を考慮すれば、短期間の休業や時短勤務を事業所として全面的に許容し、一時的なシフト調整の苦労を引き受けてでも定着を図るほうが、中長期的な事業所の利益に大きく貢献します。「休まれると現場が回らない」と難色を示すのではなく、チーム全体で支援する体制を構築することが、結果として強固な組織づくりにつながります。
訪問介護事業所において、介護離職防止の制度を適切に運用し、かつ行政の監査にも耐えうる体制を構築するためには、正確な労働時間の管理が不可欠です。ホームヘルパーの多くは事業所に出勤せず、自宅から直接利用者宅へ向かい、サービス提供後にそのまま帰宅する「直行直帰」の働き方をしています。そのため、事業所の管理者が日々の正確な出退勤時刻や労働時間を把握することが非常に難しいという実情があります。これは、”シャドーワーク”という表現が使われる要因の一つでもあり、労働環境面での改善に配慮が求められます。
行政に指摘されにくい証拠の残し方として、出退勤の記録において、手書きの出勤簿や口頭での自己申告に頼るのではなく、スマートフォンの全地球測位システム機能を活用したクラウド型の訪問介護ソフトを導入し、サービス実施記録と労働時間の客観的な一致をいつでも提示できる状態にしておくことが極めて有効です。手書きの記録では、移動時間や待機時間が曖昧になりがちですが、デジタルで正確な記録を残すことで、労働基準法に則った適切な労務管理が実現します。
また、後述する助成金を申請する際にも、正確な勤怠記録は必須の証拠書類となります。日々の記録業務を自動化するシステムを活用すれば、サ責の負担を大幅に削減できるだけでなく、行政からいつ確認を求められても迅速に根拠資料を提出できるようになります。

国からの資金援助をうまく活用できれば、事業所の金銭的な負担を減らしつつ、従業員を手厚く支援できます。要件や注意点をしっかり押さえて、確実な受給を目指しましょう。
国は、従業員の仕事と介護の両立を支援する事業主に対して「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」という助成金(仕事と家庭の両立を支援する事業主に国から支給されるお金のこと)を用意しています。訪問介護事業所がこの助成金を活用することで、従業員が介護休業を取得した際の代替要員の確保にかかる費用や、制度導入にかかる負担を軽減することができます。
この助成金を受給するためには、あらかじめ就業規則に介護休業などの制度を明記し、労働基準監督署へ届け出ていることが大前提となります。そのうえで、対象となる従業員と面談を行い、介護支援プランを作成して、一定日数以上の介護休業を取得させるなどの要件を満たす必要があります。
| 支援の種類 | 主な要件 | 中小企業の受給額(例) |
| 介護休業支援 | 介護支援プランに基づき、合計5日以上の介護休業を取得し、職場復帰すること | 休業取得時:約30万円、職場復帰時:約30万円 |
| 介護両立支援制度 | 介護支援プランに基づき、所定労働時間の短縮措置などの制度を合計20日以上利用すること | 約30万円 |
上記は両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の主な要件と受給額の目安を示した表です。
支給額や細かな要件は年度によって変更されることがあるため、申請を検討する際は、必ず厚生労働省の公式案内といった一次情報を確認してください。
助成金の申請にあたっては、要件の解釈に迷う場面が多くあります。ここでは、厚生労働省が公開している質疑応答集から、訪問介護事業所でとくに注意すべき点を取り上げます。
まず、従業員が急な介護に直面し、出勤して面談する時間が取れない場合についてです。厚生労働省の質疑応答では、対面による面談が難しい場合は、電話や電子メールなどの通信手段を用いた相談や調整を行い、その内容を詳細に記録していれば助成金の対象となることが明記されています。訪問介護の現場では、急な体調不良や家族の緊急事態で出勤できないホームヘルパーも多いため、この取り扱いを知っておくことは非常に有益です。
次に、出退勤管理の記録方法についてです。訪問介護では直行直帰が多くタイムカードが存在しない事業所もありますが、厚生労働省の質疑応答によれば、出勤簿への押印と残業時間の記録だけでは、各出勤日の正確な出退勤時間が確認できないため助成金の対象外となります。そのため、業務日報やスマートフォンの勤怠管理ツールを用いて、日々の正確な始業時刻と終業時刻を1分単位で記録しておく必要があります。
行政から指摘されやすいパターンとして、介護休業の取得日数を「労働日」ではなく「暦日(休日を含めたカレンダー上の日数)」で数えてしまい、規定の休業日数に達していない状態で助成金の申請や労務手続きを進めてしまう事例が多発しています。休業日数の要件は「所定労働日に対する休業日数」で計算されるため、シフト表と照らし合わせて正確にカウントすることが求められます。
専門家の声介護離職防止支援コースは「制度を作るだけ」では支給されません。審査で重視されるのは、面談記録・勤怠・制度利用実績が客観的に残っているかです。
特に訪問介護では直行直帰が多く、勤怠管理の不備で不支給になるケースが多いため、申請前から記録体制を整えておくことが成功の鍵になります。
制度を作るだけでは不十分で、それを気兼ねなく利用できる職場の雰囲気作りが欠かせません。管理者から従業員への教育や声かけなど、今日からできる一歩を紹介します。
どれほど立派な介護休業制度や短時間勤務制度を就業規則に定めても、現場の従業員がその存在を知らなかったり、「休むと他の人に迷惑がかかるから申し出にくい」と感じていたりしては全く意味がありません。介護離職を防止するためには、制度の存在を周知し、利用しやすい風土を醸成するための研修を定期的に実施することが重要です。
とくに、シフト作成や業務の振り分けを直接担当するサ責や管理者に対する教育は必須です。従業員から介護に関する相談を受けた際、管理者が「いま忙しい時期だから休まれると困る」といった否定的な言葉をかけてしまうと、従業員はそれ以上相談できなくなり、ひとりで抱え込んだ末に突然の離職を選んでしまいます。管理者は、介護に直面した従業員の心理的負担を理解し、まずは共感と支援の姿勢を示すための傾聴の技術を身につける必要があります。
すべてのホームヘルパーに対しても、年に1回程度は事業所内の会議や研修の場を利用して、介護休業制度の概要や相談窓口の連絡先を周知する機会を設けましょう。その際、紙の資料を配布するだけでなく、日常的に使用している業務連絡用のシステムを通じて案内を配信することで、確実に情報を届けることができます。



訪問介護の現場は常に人手不足であり、ひとりが休めば誰かがその穴を埋めなければならないという厳しい現実があります。
しかし、だからこそ経営者は、一時的な業績の低下やスケジュールの混乱を恐れるのではなく、「困ったときはお互い様」という文化を根付かせるための投資を行うべきです。
従業員が「この事業所は自分の人生のピンチを助けてくれた」と感じれば、その恩義は高い定着率とサービス品質の向上という形で、必ず事業所に還元されます。
事業所の運営を長く安定させるためには、自治体からの指導に堂々と対応できる準備が必要です。現場で起こりがちな落とし穴と、それを防ぐ記録のコツをお伝えします。
訪問介護事業所において、介護離職防止の取り組みを進めるうえで最大のボトルネックとなりやすいのが、サ責の業務負担の増大です。ホームヘルパーが急な介護休暇を取得した場合、代わりのヘルパーを探して利用者のスケジュールを調整し、ケアマネジャーや家族へ連絡する一連の業務は、すべてサ責の肩にのしかかります。
運営指導で起きやすい現場の一コマとして、以下のような事例があります。「サ責がヘルパーの直行直帰の記録を口頭報告のみで済ませており、実地での運営指導の際に『この日のサービス提供時間と労働時間の突合ができない』と担当官から厳しく追及され、長時間のヒアリングに発展してしまった」。このような事態は、日々の労務管理が属人的になっており、客観的な記録が残されていないことに起因します。
サ責を事務作業の負担から解放し、本来の業務であるホームヘルパーの支援や利用者への対応に専念させるためには、訪問介護に特化した記録システムの導入が不可欠です。シフト管理、実績入力、勤怠管理が連動したシステムを活用することで、誰がいつ、どの利用者のもとで何時間働いたのかという証拠が自動的に蓄積されます。これにより、行政の運営指導に対しても自信を持って記録を提示できるだけでなく、残業時間の正確な把握や、有給休暇の管理といった労務管理全般の適正化にもつながります。
ホームヘルパーの介護離職を防ぐための両立支援は、事業所のコンプライアンスを高め、従業員満足度を向上させるための絶好の機会です。制度の導入と適切なITツールの活用を両輪として進めることで、どんな環境の変化にも揺るがない、強く優しい訪問介護事業所を築き上げてください。
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はい、訪問介護事業所も「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」の対象になります。
ただし、就業規則に介護休業や短時間勤務制度を整備し、介護離職防止のための個別の周知・意向確認を実施したうえで、介護支援プランを作成し制度利用実績を作ることが受給要件となります。
助成金の対象となるためには、介護休業・介護休暇・短時間勤務などの制度を就業規則に明記する必要があります。
特に「介護離職防止のための雇用環境整備 就業規則」として、制度の内容・申出方法・利用条件を具体的に規定しておくことが重要です。規定例を参考に整備しておくことで、運営指導や助成金申請でも有利になります。
最初の一歩は「介護離職防止のための個別の周知・意向確認」と「管理職研修」の実施です。
制度があっても職員が知らなければ利用されないため、全職員への周知・相談窓口の明確化・管理職への対応研修をセットで実施することが、実効性のある介護離職防止支援につながります。
本稿では、訪問介護事業所における介護離職防止の重要性と、その具体的な対策について解説しました。内容を以下の通り整理します。
介護という予測の難しいライフイベントに直面し、不安を抱えながら働くヘルパーさんを支えることは、経営者にとっても大変なご苦労がともなうこととお察しいたします。日々の複雑なシフト調整や、煩雑な記録業務に追われるサ責の方々の負担を少しでも軽くし、誰もが安心して長く働き続けられる職場環境をつくるために、ぜひプロケアDXの導入をご検討ください。
「運営指導が怖い…」 「加算を取りたいけど、どうやっていいかわからない…」など
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