【記入例あり】個別研修計画の立て方をわかりやすく解説|目標例も紹介
個別研修計画は、人材育成の仕組みであり、運営指導(実地指導)対策としても重要な書類です。
「個別研修計画って、そもそも何を書けばいいのかわからない」「運営指導で見られると聞いて不安…」
そんな方に、本記事では「そのまま使える」個別研修計画の立て方と目標例を、詳しく解説します。
この記事でわかること
- 個別研修計画とは何か、なぜ必要なのか
- 運営指導で評価される個別研修計画の作り方と目標例
- 失敗しないための実務ポイント
個別研修計画とは?

職員ごとに必要な研修内容や育成目標を整理した教育計画
個別研修計画とは、職員一人ひとりの経験・役割・能力・課題、さらには本人の目標や希望に応じて策定する研修計画のことです。
特に訪問介護では、個別研修計画の策定が特定事業所加算の算定要件の一つとされており、厚生労働省が示す各種基準省令や運営指導マニュアルにおいても、「計画的な研修の実施」および「職員の資質向上」が求められています。
つまり個別研修計画は、
- 法令遵守(コンプライアンス)
- サービス品質の向上
- 職員の定着・育成
この3つを同時に満たすための重要書類です。
全体研修との個別研修計画の違い
| 項目 | 全体研修 | 個別研修計画 |
|---|---|---|
| 対象 | 全職員 | 個人ごと |
| 内容 | 共通ルール | 役割・課題別 |
| 運営指導 | 補足的 | 重視されやすい |
専門家の声実地指導の現場では、「全体研修はやっているが、個別はない」という事業所が非常に多いです。
しかし、指導側が見ているのは“育成の仕組みがあるか”。
個別研修計画があるかどうかで評価が大きく変わります。
個別研修計画のメリット・デメリット
まず、個別研修計画は単に研修予定を並べるものではなく、職員育成や組織運営にどのような影響を与えるかという視点で理解しておくことも重要です。
介護事業所が個別研修計画を整備することで、職員教育の質や運営管理にさまざまなメリットが生まれる一方、運用面での負担が生じるケースもあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 職員ごとに必要な研修を整理できる 計画的な人材育成につながる 運営指導で教育体制を説明しやすくなる 職員のスキルやキャリア形成を支援できる | 計画作成や管理に手間がかかる 現場が忙しいと計画どおり実施できないことがある 定期的な見直しや更新が必要になる 形式的な書類になってしまう可能性がある |
個別研修計画のメリット
個別研修計画には、上記の比較表で挙げたようなメリットがあります。特に大きいのは、職員育成を計画的に進められる点です。
介護事業所では、経験年数や職種、担当業務によって必要な知識やスキルが大きく異なります。個別研修計画を作成することで、職員ごとに必要な研修内容を整理できるため、「とりあえず全員同じ研修を受ける」といった非効率な教育体制を防ぐことにつながります。結果として、現場で必要とされるスキルを段階的に身につけやすくなります。
また、運営指導への対応がしやすくなる点も事業者にとって重要なメリットです。介護事業所では、法定研修の実施状況や職員教育の体制について確認されることがありますが、個別研修計画が整備されていれば「計画的に研修を実施しているか」を客観的に示す資料として活用できます。研修記録とあわせて管理することで、教育体制を説明しやすくなります。
さらに、職員の定着やモチベーション向上につながる可能性がある点も見逃せません。自分に必要なスキルや成長目標が明確になることで、職員自身が将来のキャリアをイメージしやすくなります。結果として、組織としての人材育成の方向性を共有しやすくなるという効果も期待できます。
個別研修計画のデメリット
一方で、事業者にとってはメリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。特に多くの事業所が感じやすいのは、計画作成や管理の手間が増えることです。
個別研修計画は、単に研修名を並べるだけではなく、職員の経験年数や業務内容、将来的な役割などを踏まえて作成する必要があります。そのため、管理者や教育担当者にとっては一定の時間と労力が必要となります。職員数が多い事業所では、計画作成や更新作業が負担になるケースも少なくありません。
また、計画を作っただけでは実効性が担保されない点にも注意が必要です。実際の現場では、業務の忙しさや人員不足によって、予定していた研修が実施できないこともあります。その結果、計画と実態が乖離してしまうと、形式的な書類になってしまう可能性があります。
さらに、個別研修計画を適切に運用するためには、定期的な見直しや評価の仕組みも必要になります。職員の成長や配置変更に応じて計画を更新しなければ、現場の実情に合わなくなるためです。こうした継続的な管理体制を整えることが、実務上の課題となる場合もあります。




なぜ個別研修計画が必要なのか?
介護事業の経営において、個別研修計画は「あれば望ましい書類」ではありません。
運営指導(実地指導)で、事業所の運営体制そのものを判断される重要な資料です。
運営指導の現場では、「研修を実施しているか」ではなく、「人材育成を計画的・継続的に行っているか」が確認されます。
つまり、
- 職員の能力を把握したうえで研修を設計しているか
- 研修内容が法令・基準と結びついているか
- 研修の結果、現場がどう改善されたのか
これらを書面で説明できるかどうかが問われているのです。
全体研修だけでは、「誰に、なぜ、この研修が必要なのか」を説明することはできません。
個別研修計画がなければ、経営者として人材育成を管理しているとは評価されにくいのが実状です。
実際に、運営指導で文書指摘を受ける事業所の多くは、
- 個別研修計画が未整備
- 計画と実施内容が一致していない
- 毎年同じ内容で更新されていない
といった課題を抱えています。
個別研修計画は、加算返還や改善指導といった経営リスクを未然に防ぐための防衛資料であり、同時に、職員定着・サービス品質向上につながる攻めの経営ツールでもあります。
経営者として重要なのは、「研修をやっているか」ではなく、「第三者に説明できる形で、人材育成を管理しているか」。
その答えを示すのが、個別研修計画なのです。


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個別研修計画の基本構成と記入例とは?


個別研修計画は、単に項目を埋めれば良い書類ではありません。
運営指導で「なぜこの内容なのか」を説明できる構成になっているかが重要です。
① 職員氏名・職種・役割
記入の目的
- 「誰のための研修か」を明確にするため
- 職員の立場・責任範囲を示すため
記入ポイント
- 氏名
- 職種(介護職、看護職、生活相談員など)
- 役割(一般職、リーダー、管理者 等)
運営指導でのチェックポイント
- 職種と研修内容が合っているか
- 管理者・責任者に相応しい研修内容か
② 経験年数・保有資格
記入の目的
- 研修レベルの妥当性を示すため
記入ポイント
- 経験年数(介護経験・当事業所での年数)
- 保有資格(初任者研修、実務者研修、介護福祉士 等)
運営指導でのチェックポイント
- 新人に高度な研修を課していないか
- 有資格者に基礎研修ばかりになっていないか
③ 現状の課題(アセスメント)
記入の目的
- 研修計画の根拠を示す最重要項目
NGな書き方
- 意識が低い
- ミスが多い
OKな書き方
- 記録基準の理解不足により、記載漏れが発生している
- 事故発生時の報告手順が統一されていない
運営指導でのチェックポイント
- 課題と研修内容がつながっているか
- 主観的な表現になっていないか
④ 個別研修計画の目標(到達目標)
記入の目的
- 研修の成果を明確にするため
目標設定の原則
- 行動レベルで書く
- 達成・未達が判断できる
NG例
- 意識向上を図る
OK例
- 事業所の記録基準に沿って、必要事項を漏れなく記載できる
運営指導でのチェックポイント
- 目標が抽象的でないか
- 評価可能か
⑤ 個別研修計画の内容
記入の目的
- 目標達成のための具体策を示す
記入ポイント
- 何を学ぶのか
- どの資料・マニュアルを使うのか
運営指導でのチェックポイント
- 内容が具体的か
- 目標とズレていないか
⑥ 個別研修計画の実施方法
記入の目的
- 実施可能性を示すため
主な研修方法
- OJT(現場にて指導する方法)
- 内部研修
- 外部研修
- eラーニング(インターネットを利用した研修)
運営指導でのチェックポイント
- 実態と合っているか
- 外部研修任せになっていないか
⑦ 実施時期・頻度
記入の目的
- 計画性を示すため
運営指導でのチェックポイント
- 実施時期が曖昧でないか
- 毎年更新されているか
⑧ 評価方法・確認者
記入の目的
- 研修の実効性を示すため
記入ポイント
- 誰が評価するか
- どのように確認するか
運営指導でのチェックポイント
- 評価方法が書かれているか
- 責任者が明確か
⑨ 見直し・更新履歴
記入の目的
- 継続的改善を示すため
運営指導でのチェックポイント
- 日付が更新されているか
- 前回からの変更点が説明できるか
個別研修計画の基本構成【記入項目一覧表】
以下は、運営指導で実際に確認される視点を踏まえた「個別研修計画の基本構成一覧」です。
| 記入項目 | 何を書くか | 運営指導で見られるポイント |
|---|---|---|
| 職員情報 | 氏名・職種・役割 | 研修内容と職種が合っているか |
| 経験・資格 | 経験年数・保有資格 | レベルに合った研修か |
| 現状の課題 | 業務上の具体的課題 | 主観的表現になっていないか |
| 研修目標 | 到達すべき状態 | 行動レベルで書かれているか |
| 研修内容 | 学習内容・テーマ | 目標と一致しているか |
| 研修方法 | OJT・外部研修等 | 実施可能か |
| 実施時期 | 実施期間・頻度 | 計画性があるか |
| 評価方法 | 確認方法・評価者 | 実施確認ができるか |
| 見直し | 更新時期・履歴 | 継続改善されているか |
これらの項目が一貫性をもって整理されているかどうかが、運営指導での評価を左右します。
【記入例あり】個別研修計画の目標例とは?


個別研修計画において、最も重要で、かつ運営指導で必ず見られるのが「研修目標」です。
なぜなら研修目標は、「この事業所が職員に何を求め、どこまで管理しているか」を示す項目だからです。
運営指導では、「研修を行っているか」ではなく、「研修によって、職員が何をできるようになる想定なのか」が確認されます。
そのため、目標は次のような書き方が求められます。
- 抽象的ではなく、行動レベルで書かれていること
- 第三者が読んでも、達成・未達が判断できること
- 現場の実態や法令・基準と結びついていること
逆に、「意識向上を図る」「理解を深める」といった表現だけでは、運営指導では評価されにくい、もしくは説明を求められる可能性があります。
ここでは、実際に運営指導でも通用する書き方を前提に、職種・経験別の個別研修計画「目標例」を紹介します。
新人介護職(入職1年未満)の目標例
目標例①(記録)
事業所の介護記録基準に沿って、必要事項を漏れなく記載できる。
目標例②(事故対応)
事故・ヒヤリハット発生時に、定められた手順に沿って報告できる。
ポイント解説
- 「できる」「報告できる」など、行動で評価できる表現
- 運営指導で確認されやすい「記録」「事故対応」を意識



新人研修の目標は、「基本が一人でできる状態」を明確にすることが重要です。ここが曖昧だと、育成管理ができていないと見なされやすくなります。
中堅介護職(リーダー候補)の目標例
目標例①(業務理解)
利用者のケアプラン内容と意図を理解し、日常の介護業務に反映できる。
目標例②(後輩指導)
事業所で定めた手順に沿って、後輩職員への指導・助言ができる。
ポイント解説
- 「理解」+「実務への反映」まで書く
- 属人化しやすい指導業務を、組織管理の視点で表現
ベテラン介護職の目標例
目標例①(サービス品質)
利用者の状態変化を把握し、必要に応じて管理者へ報告できる。
目標例②(リスク管理)
事故防止の視点を持ち、業務改善の提案ができる。
ポイント解説
- 経験年数に応じて「判断力」「報告・提案」を目標に含める
- 運営指導ではリスク管理体制の一部として評価されやすい
管理者・責任者の目標例
目標例①(法令理解)
関係法令・基準省令の内容を理解し、職員に説明できる。
目標例②(人材育成)
個別研修計画を作成・見直しをし、計画的な職員育成を実施できる。
ポイント解説
- 「理解している」ではなく「説明できる」と書く
- 経営・運営責任を明確にする表現が重要



管理者の目標が曖昧な事業所ほど、運営指導で深掘りされます。
管理者自身が「育成の責任者」であることを、目標文で示すべきです。
よくある失敗パターンと改善策
個別研修計画は作成していても、運営指導(実地指導)で「内容が不十分」「実態と合っていない」と指摘を受けるケースは少なくありません。多くの場合、原因は「どう作れば評価されるのか分からないまま作成していること」です。
形式だけ整えた計画や、全職員が同じ内容の研修計画は、運営指導では評価されにくくなります。
ただし、視点を少し変えるだけで改善できる点ばかりです。
ここでは、よくある失敗例と、運営指導を意識した改善策を解説します。
失敗パターン① 全職員ほぼ同じ内容になっている
よくある例
- 全員の研修目標がほぼ同一
- 新人もベテランも同じ研修内容
なぜ問題になるのか
運営指導では、「職員の役割や経験に応じた育成をしているか」が見られます。
全員同じ内容だと、「個別研修計画とは言えない」と判断される可能性があります。
改善策
- 「新人」「中堅」「管理者」の3パターンを作成する
- 目標文を少し変えるだけでもOK



実地指導で「これは全体研修ですよね」と言われたら要注意です。
個別性があるかどうかが、評価の分かれ目です。
失敗パターン② 個別研修計画の目標が抽象的で評価できない
よくある例
- 意識向上を図る
- 理解を深める
- スキルアップを目指す
なぜ問題になるのか
運営指導では、「達成したかどうか」が判断できない目標は評価されません。
改善策
- 「〜できる」という行動表現に言い換える
- 第三者が読んでも判断できる表現にする
改善例
- 意識向上を図る → 事業所のルールを理解し、業務に反映できる
失敗パターン③研修記録と紐づいていない
よくある例
- 計画はあるが、実施記録がない
- 記録はあるが、計画と別管理
なぜ問題になるのか
運営指導では、計画 → 実施 → 評価の流れが確認されます。
改善策
- 研修記録に「該当する研修計画」を明記
- 同じファイル・フォルダで管理する


よくある質問
個別研修計画は必ず一人ひとり必要?
職員の役割・経験に応じた計画が求められます。全員同一は不適切とされるケースがあります。
個別研修を外部に委託しても良い?
問題ありません。ただし、計画と記録は事業所で管理する必要があります。
訪問介護の個別研修テーマはどのように決めればよいですか?
訪問介護の個別研修テーマは、「事業所の課題」と「職員ごとの課題」の両方から設定することが重要です。
例えば、
- 初任者:基本的な身体介護技術、接遇、感染症対策
- 中堅職員:認知症ケア、リスクマネジメント、記録の質向上
- サービス提供責任者:ケアマネとの連携、法令遵守、運営指導対策
このように階層別に整理すると、「訪問介護 個別研修テーマ」として具体性のある計画になります。また、ヒヤリハットや事故報告の内容からテーマを抽出するのも効果的です。
個別研修計画の記入例はありますか?ケアマネの場合も必要ですか?
「個別研修計画 記入例 ケアマネ」と検索されることも多いですが、居宅介護支援事業所においても、介護支援専門員ごとの研修計画は重要です。
記入例の基本構成は次のとおりです。
- 現状の課題(例:アセスメント力の向上が必要)
- 研修テーマ(例:自立支援型ケアマネジメント)
- 実施方法(外部研修・内部研修・OJT)
- 実施時期
- 期待する到達目標
- 実施後の評価・振り返り
形式よりも、「育成のストーリーが見えること」が大切です。訪問介護でもケアマネでも、“とりあえず作った計画”ではなく、職員育成とリンクしている内容になっているかが問われます。
訪問介護の個別研修計画は、事業所ごとに作成する必要がありますか?
はい、原則として事業所単位での年間研修計画に加え、職員ごとの「訪問介護 個別研修計画」を整備することが望ましいとされています。
特に運営指導では、
- 研修が計画的に実施されているか
- 個々の職員の能力向上につながっているか
- 記録が残っているか
が確認されます。単なる「年間スケジュール」ではなく、「誰に・何を・いつまでに・どう到達してもらうのか」まで落とし込むことがポイントです。
特定事業所加算に必要な個別研修計画の例はありますか?
形式を整えることに目が向きがちですが、本当に大切なのは職員一人ひとりの成長につながる内容になっているかどうかです。重要なのは様式よりも「計画性と個別性」です。
例えば、
- 対象職員:常勤ヘルパー(経験3年)
- 課題:認知症対応力の向上
- 研修テーマ:BPSD対応、家族支援、事故予防
- 実施方法:外部研修1回+内部研修+OJT
- 評価方法:同行訪問チェック・面談記録
このように「誰に・何を・どう成長してもらうか」まで明確にします。
特定事業所加算では、
- 全職員分の計画があるか
- 実施記録・評価が残っているか
が確認されるため、年間予定表だけで終わらせないことがポイントです。
まとめ
個別研修計画は、難しく考える必要はありません。本記事で解説してきたとおり、基本は次の流れです。
- 職員ごとの役割・課題を整理する
- 達成できる具体的な目標を設定する
- 目標に沿った研修内容・方法を決める
- 実施後に評価し、必要に応じて見直す
この流れに沿って作成すれば、運営指導(実地指導)でも「適切に管理されている研修計画」として十分に説明できます。
まずは、この記事で紹介した記入例を参考に、自事業所の個別研修計画を一度作成してみてください。
それだけでも、運営指導対策としては大きな前進です。
そのうえで、
- この内容で指摘を受けないか確認したい
- 書き方や目標設定が適切か不安が残る
- 研修計画だけでなく、運営指導全体を見据えて整えたい
そう感じた場合は、専門家の視点を取り入れるタイミングです。
運営指導を想定し、事業所の状況に合わせて書類や体制を確認する運営指導対策サービスをご活用ください。無料相談も行っておりますので、不安な要素がありましたらお気兼ねなくご相談ください。






