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介護経営ラボ

【完全版】訪問介護(ヘルパーステーション)の開業・立ち上げ方を徹底解説

監修者

片山海斗

介護経営コンサルタント。全国の介護事業所にコンサルティングを実施し課題を解決している。自ら介護事業所を経営しながらも7社の取締役・理事を務めている。担当コンサルティング領域は「経営領域」「現場領域」ペーパレス化や業務改善、IT化を専門としている。
訪問介護開業

小難しい言葉は使わず誰にでも理解できる内容で解説しています。

「将来的に介護事業に参入したい」

「訪問介護で独立したい」

そう思っている方には“必読”の記事となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

将来3000事業所が不足する訪問介護事業所の「今」

内閣府:高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告
厚生労働省:介護サービス施設・事業所調査の概況(2011~2019)
総務省統計局:人口推移

上記の図は、2011年~2019年(実数値)まで訪問介護事業所の平均値を割り出し、将来高齢者人口推移から訪問介護事業所の不足数を計算した数値になります。データから読み取れるのは「2040年まで訪問介護の需要が伸び続ける」ということです。

基礎知識編

ここからは、開業するうえで必ず持っておきたい知識を解説します。最低限これだけは把握しておきましょう。

訪問介護とは

自分や家族だけで日常生活を営むことが難しくなった要介護者に向け、ホームヘルパーが自宅に伺い日常生活を支えるサービスです。訪問介護を利用できるのは「要介護・要支援」と認定された方です。

身体介護

身体介護とは顧客(以下、利用者)の身体に触れて行われるサービスです。身体介護の例は以下4つ記載。

  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 排せつ(おむつ)介助
  • 清拭(体を拭く)介助

生活介護

生活介護とは日常生活(暮らし)を支えるサービスです。生活介護の例は以下参照

  • 調理
  • 掃除
  • 洗濯
  • 買い物(※)

まとめ

訪問介護は「身体介護」と「生活介護」に分けられていて、できないサービスとできるサービスに区別されている。

訪問介護のターゲット

厚生労働省:介護給付費等実態統計月報(令和3年4月審査分)結果の概要

訪問介護のターゲットは介護度が低いのが特徴です。

訪問介護の収益の仕組み

細かいことは省きますが収益の9割が社会保障費でおぎなっており、簡単に言うと「税金」が売上の9割を占めます。

介護事業の収益は介護度別に支給金額と、該当地域の等級が定められています。

訪問介護の売上計算方法

「サービス単位」×「1ヶ月の総合件数」×「地域区分」=「売上」

例)大阪市内の場合は地域等級が3等級なので地域区分は11.05円となりますので、おむつ交換1回の売上は
おむつ交換(身体1だと仮定)250単位×11.05円=2,762円

身体介護の主な収益

開業に関してはそこまで重要ではありませんので、わかりやすいように地域区分を無視して計算します。
※1単位10円とする

種別項目単位1件あたりの売上
身体0120分未満167単位約1,670円
身体120~30分未満250単位約2,500円
身体230分以上1時間未満396単位約3,960円
身体31時間以上1時間半未満579単位約5,790円
2021年2月改正最新の単位です

例)おむつ交換を週5回提供した場合の1ヶ月の売上(身体1で計算)

週5回×1ヶ月(4週)=20回(1ヶ月のおむつ交換回数)
20回×250単位=5000単位(1ヶ月の総単位数)
5000単位×地域区分(ここでは10円とする)=50,000円

売上=50,000円

生活援助の主な収益

種別項目単位1件あたりの売上
生活220分以上45分未満183単位約1,830円
生活345分以上60分未満225単位約2,250円
2021年2月改正最新の単位です

例)掃除を週2回提供した場合の1ヶ月の売上(生活2で計算)

週2回×1ヶ月(4週)=8回(1ヶ月の掃除回数)
8回×183単位=1464単位(1ヶ月の総単位数)
1464単位×地域区分(ここでは10円とする)=14,640円

売上=14640円

詳しくは「訪問介護開業ガイドブック」に記載しておりますので、ぜひダウンロードしてください。

主要な加算

介護事業所における加算とは、算定条件を満たすことで得ることができるお金です。

加算種別解説
介護職員処遇改善加算安定的な処遇を与えるための加算
緊急時加算緊急対応した場合1件につき50単位
特定事業所加算1ヶ月の総単位数×20%

結局、訪問介護事業所って儲かる?

独立行政法人福祉医療機構が調査した訪問介護事業所の経営状況についてによると47.7%の事業所が赤字という結果でした。しかし47.7%という数字は決して高くなく全産業の赤字企業は66.1%ですので、比較してみると赤字率は低いということがわかります。

儲かっている事業所の特徴は?

上記でも述べたように、赤字の事業所の割合はそこまで多くないので、経営を仕組み化していけば何も問題ありません。儲かっている事業所とそうでない事業所はKPI(売上に関わる重要指標)の策定がきちんとできている点です。

月間訪問回数400回からが境目

これから開業する方は必ず「訪問回数400回以上」が儲かる事業所の条件だということを知ってください。
訪問介護経営に必要なことは、加算取得や業務構築といった基礎的なことはもちろんですが、訪問回数(売上)によって1月にもらえる加算も大きく違ってきます。

CheckPoint:経営基盤を整える

今回、記事を書くと同時に「訪問介護開業ガイドブック」を制作しました。(9/15日公開予定)

当記事よりも具体的に経営戦略の策定方法を記載していますので、ぜひ無料でダウンロードしてみてください。

開業までに必要なこと

事業計画書の作成

事業計画とは、独立するうえで自分の事業をどのように展開・継続していくかを数字を交えて可視化したものです。
基本的に金融機関から融資を受けて事業を開始しますが、その金融機関が貸し出すお金の判定基準になる大切な書類です。事業計画書に求められるのは以下になります。

  1. どのような事業なのか
  2. この事業でどうやって収益を上げていくのか
  3. どれくらい収益を見込めるのか
  4. 収益化までのエビデンス(根拠)はどこにあるのか

市場調査

事業をおこなう地域に、本当に介護ニーズがあるのかというのを知ることが第一歩です。
知っておきたい数値は以下の通りです。

  1. 高齢者数(ターゲット数)
  2. 他事業所の売り方、強み、弱み

最低でもこの2つは知っておきましょう。

マーケティング戦略

訪問介護サービスを「誰に対して、どうやって売るのか」を見える化します。
介護ビジネスは地域密着型なので「地域に必要とされているサービス」を提供する必要があります。

チラシやパンフレットの作成やデザイン感、名刺のデザイン、会社のイメージカラーもここで決めておきましょう。
大切なブランドイメージにつながります。

詳しくは「訪問介護開業ガイドブック」に記載しています。

開業に必要な費用

項目解説金額
法人設立費最低合同会社なら11万円から、株式会社は25万円程11万円
指定申請費指定申請にかかる費用です。3万円
備品・設備費鍵つきのキャビネットや机、パソコン等の購入費25万円
地代家賃事務所を借りる場合必要※120万円
人件費介護報酬の売上が入るのは2ヶ月先なので余裕をもった人件費が必要300万円
車両費訪問車両費、マイカー通勤なら必要なし100万円
広告宣伝費パンフレット・チラシ・HPの制作費・印刷費50万円

※1 自宅での開業も可能ですが、生活空間と事務所空間を明確に分ける必要があり、鍵をつけたりリフォームが必要になったりと大変なので、アパートやマンションの一角を借りるのを強くおすすめします。

約500万円あれば開業可能です。また、融資を受ける場合、自己資金は150万円~200万円で設立可能です。

開業コストがどの介護事業形態よりも低いので、デイサービスや有料老人ホームよりオススメです。
裏腹に、誰でも参入しやすいというのが訪問介護です。しっかりと経営戦略を練って収益化までの道のりを策定することが求められます。

法人設立

介護事業は国の指定を受けていないと、できない事業となっています。
指定基準にも法人格が必ず必要になってきますので、ここからは法人について解説します。

訪問介護にオススメの法人種別

法人は「営利法人」「非営利法人」に分かれており、双方のメリットデメリットがあるので理解しておく必要があります。

営利法人メリットデメリット
合同会社立ち上げ費用が安い信頼度に欠ける
株式会社信頼度が高い立ち上げ費用が高い
非営利法人メリットデメリット
一般社団法人社会的信頼が高い余剰利益が出た場合、社員に分配できない
社会福祉法人補助金や税金が優遇される基本的に設立は難しい
NPO法人寄付金が課税されない役員10人以上必要なので介護事業には向かない

非営利法人は信頼度や社会性が高いと思われる確率が高いものの、基本的に立ち上げの書類が多かったり審査基準が高かったりと難しい部類に入るので、介護参入する際は「営利法人」をおすすめします。

営利法人は合同会社・合名会社・合資会社・株式会社等、種別が存在しますが、
コスト重視なら安く立ち上げられる合同会社。コストに余裕があるなら株式会社がおすすめです。

法人設立書類の作成

今回は合同会社を例に解説します。合同会社とは合同で会社を設立するのではありませんので注意!
有限会社と同じです。

  • 合同会社設立登記申請書
  • 登記用紙と同一の用紙
  • 定款2部
  • 代表社員の印鑑証明書
  • 払込証明書
  • 印鑑届書
  • 代表社員就任承諾書
  • 本店所在地及び資本金決定書

※定款には必ず「介護保険法に基づく居宅サービス事業」の記載が必要です。

申請してから約1週間ほどで完了します。

指定申請とは?

指定申請とは都道府県、指定都市、中核市、区市町村などに届け出て介護保険法に基づく介護事業者としての指定を受けることをいいます。

訪問介護事業所の指定基準

訪問介護事業所の指定を受けるためには「人員基準」「運営基準」「設備基準」の3つを満たす必要があります。

人員基準

訪問介護における人員基準は稼働できる訪問介護員が2.5人以上常に必要です。

人員基準は資格要件を満たし、必ず配置しなければなりません。3年に1度の実地指導で引っかかりやすいので適切なスタッフを募集しましょう。

配置基準資格要件
管理者1名以上:常勤(サービス提供責任者と兼務可)※2なし
サービス提供責任者1名以上:常勤(管理者兼務可能)※2・介護福祉士資格
・介護福祉士実務者研修
・介護職員基礎研修(旧資格)
・ホームヘルパー1級(旧資格)
いずれか
介護職員1名以上:常勤・介護福祉士資格
・介護福祉士実務者研修
・介護職員基礎研修(旧資格)
・ホームヘルパー1級(旧資格)
いずれか

※2 管理者の資格要件は特に必要ありませんが、開業時はサービス提供責任者と兼務が一般的です。兼務は基本的に管理業務に支障がないと判断された場合に兼務可能となりますが、開業時は特に問題ありません。

訪問介護を提供する人は、デイサービスや施設系と違い、必ず「資格」が必要になります。

人員基準の例)
管理者・サービス提供責任者:常勤(正社員)1名
介護職員:常勤(正社員)1名
介護職員:非常勤(パート社員)週3日8時間勤務:1名

計3名が一般的です。

運営基準

運営基準を満たすためには書類の作成が必要です。
主な書類は重要事項説明書や運営規定、誓約書、マニュアルになります。
書類に記載しなければならない項目は以下になります。

  1. サービス提供内容の説明・同意
  2. サービス提供拒否の禁止
  3. サービス提供の記録に関して
  4. 訪問介護計画書の作成について
  5. 緊急時の対応方法
  6. 苦情処理について
  7. 事故が起きた時の対応方法
  8. 会計の区分について
  9. 衛生管理について
  10. NDA(機密保持)について

詳しくはこちら

設備基準

設備基準は、そのままの意味で訪問介護事業所を開業する上で定められている設備です。

項目必要物品・解説
事務室利用者情報を守るために「鍵付きのキャビネット」が必要です。
また相談室と分ける必要がありますが余裕がない場合は間仕切りでも可能です。
相談室利用申し込みや利用者との相談に使うスペースです。上記記載、事務室と分ける必要があります。
備品手洗い場に石けんを設置する基準があります。

地域によって若干異なりますので、自治体もしくは、該当の県庁:介護保険課まで問い合わせましょう。

指定申請書類の作成

指定申請をする際、県庁(要介護)自治体(要支援)の2つに申請必要があります。
※総合事業をしない場合は自治体への申請は必須ではありませんが、介護ニーズがあるため開業される方は指定を取っておきましょう。

介護保険法に基づく必要書類

  1. 指定申請書
  2. 指定申請手数料30,000円
  3. サービス別付表
  4. 法人登記事項証明書(登記簿謄本)
  5. 運営規定
  6. 管理者の経歴書
  7. 従業員の勤務体系及び勤務体系一覧表
  8. 介護職員並びにサービス提供責任者の資格証明書
  9. 事業所平面図
  10. 賃貸契約書
  11. 設備・備品一覧表
  12. 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  13. 誓約書
  14. 社会保険・労働保険への加入状況がわかる書類
  15. 介護給付算定にかかる体制届け
  16. 介護給付算定にかかる体制等状況一覧

何十枚も書類があるので正直大変です。
弊社では開業の相談を無料で受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

訪問介護事業所開業までのスケジュール

訪問介護事業所を開業する上で、膨大な書類が必要になりますので手当たり次第に作成したりせず、スケジュールを組んで1つ1つ確認しながら計画的に行いましょう。

今回記事を書くと同時に通所介護の開業までの手引きを用意しました。(2021/9/15公開予定)

ぜひ参考にしてください。

まとめ

今回は、訪問介護の立ち上げについて詳しく解説しました。
筆者は1から介護事業所を立ち上げているので大変さは十二分に把握しています。

Professional Care Japanでも経営戦略の策定方法から黒字化までの支援を1本化して提供しています。
無料相談を実施しておりますので、お気軽にお電話ください。

監修者

片山海斗

介護経営コンサルタント。全国の介護事業所にコンサルティングを実施し課題を解決している。自ら介護事業所を経営しながらも7社の取締役・理事を務めている。担当コンサルティング領域は「経営領域」「現場領域」ペーパレス化や業務改善、IT化を専門としている。