MENU
介護経営のお悩みをZoomで解決!毎月5社限定の無料オンライン相談サービス。実地指導、加算取得、事業再生、離職防止など、経営課題を専門家がサポートします。

TEL. 03-5530-8408
営業時間:月曜日~日曜日 10:00~19:30

無料経営相談には毎月の実施枠に限りがありますので、お早めにお問い合わせください。

訪問看護の処遇改善加算|算定方法・計算方法と売上への影響、運営指導で止まらない実務

訪問看護(訪問看護ステーション)の処遇改善加算についての算定方法や計算方法を専門家(片山海斗)が徹底解説

訪問看護の処遇改善加算(介護保険の指定訪問看護・介護予防訪問看護)は、令和8年度(2026年度)の臨時改定で新設され、
「総単位数×1.8%(1000分の18)」を上乗せする形で算定されます。

現場で止まりやすいのは、算定率そのものよりも、「介護保険分だけが対象」という線引きと、
賃金改善の設計(不足すると返還になり得る)です。
運営指導では「計画書は出せるが、給与明細のどれが処遇改善分か説明できない」状態で説明が止まります。

この記事でわかること

  • 対象(介護保険の訪問看護/医療保険との違い)
  • 算定方法(1.8%の計算、売上の増え方の目安)
  • 要件(賃金改善・キャリアパス・職場環境、残す記録)
  • 届出・計画書・実績報告(何を、どこへ、いつ)
  • 返還を避けるための月次管理
  • 厚労省Q&Aを、迷いが出やすい順に「Q→A」で確認(記事後半)
目次

訪問看護の処遇改善加算とは|「介護保険の訪問看護」のみ対象

訪問看護は、同じ事業所でも「医療保険」と「介護保険」で請求の枠が分かれます。
今回の処遇改善加算は、介護保険の指定訪問看護(介護予防訪問看護を含む)に新設される加算です
厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」)。

サービス区分介護職員等処遇改善加算(新設)
訪問看護1.8%
訪問リハビリテーション1.5%
居宅介護支援・介護予防支援2.1%

【注意】医療保険の訪問看護療養費は算定対象ではない

  • 介護保険:訪問看護費/介護予防訪問看護費 → 処遇改善加算(新設)の対象
  • 医療保険:訪問看護療養費 → この加算の算定対象ではない(介護保険の加算なので)
専門家の声

「制度を読みに行く前に、月次の売上を“医療保険:介護保険”で分けてから試算すると、判断が早い」という意見です。介護保険売上が薄い事業所ほど、加算額は小さく見えます。逆に、介護保険の割合が一定規模ある事業所ほど、毎月の原資として読みやすくなります。

算定方法|「総単位数×1000分の18」が基本

訪問看護の処遇改善加算は、告示案(見直し案)で次のように示されています。

指定訪問看護事業所が…指定訪問看護を行った場合は、イからリまでにより算定した単位数の1000分の18に相当する単位数を所定単位数に加算する。
厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」

ここでいう「イからリまでにより算定した単位数」は、
ざっくり言うと(処遇改善加算を除いた)介護保険請求の総単位数です。
請求ソフト上は「処遇改善加算の算定基礎」として自動計算される想定ですが、経営側の試算では次の式で足ります。

  • 処遇改善加算(単位)= 総単位数 × 0.018
  • 処遇改善加算(円)= 処遇改善加算(単位)× 地域の単価(1単位の単価)

売上はどれくらい増えるか|試算の考え方

実務上の“ざっくり試算”は次の2段階です。

  1. 介護保険分の月間総単位数(または介護保険売上)を把握
  2. その1.8%相当を加算見込みとして置く
確認したいものどこで見る計算に使う値
介護保険の総単位数国保連請求データ月間総単位数
加算率見直し案(告示案)0.018
円換算地域の単価1単位の単価

この表は、訪問看護の処遇改善加算を「試算する前に押さえる入力値(総単位数・加算率・地域単価)」をまとめたものです。

試算例|月20万単位(月商約200万円)の事業所(介護保険分)

例として、介護保険の総単位数が月200,000単位(売り上げが200万円)の場合。

  • 200,000 × 0.018 = 3,600単位
  • 地域単価が仮に10円なら、3,600 × 10円 = 36,000円

この4万円弱は「利益」ではなく、原則として賃金改善の原資です。
後述する通り、賃金改善が加算額を下回ると返還になり得るため、“入った分をどう払うか”までセットで考えます。

対象(ここまで/ここから注意)|医療保険分は増えない

対象は介護保険での指定訪問看護・介護予防訪問看護です(厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」)。

注意したいのは、訪問看護ステーションによくある次の混在です。

  • 医療保険が中心で、介護保険が少ない
    加算額は小さく見える(算定してもインパクトが薄い)
  • 介護保険が一定規模あるが、請求と給与が分断されている
    賃金改善の突合が弱くなり、返還リスクが上がる

「自社にとって取る意味があるか」は、要件よりも先に “介護保険分の規模”で見積もるのが安全です。

算定要件(キャリアパス要件)とは

キャリアパス要件_訪問看護

訪問看護の新設された処遇改善加算は、加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ+職場環境等要件)または令和8年度特例要件で算定可能、とされています。

訪問看護の新設加算は、既存の処遇改善加算(介護職員等処遇改善加算)の考え方を土台に運用される可能性が高いため、
迷ったら先に「全体像」を押さえる方が早いです(介護職員等処遇改善加算の全体像(介護経営ラボ))。

キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備)

訪問看護のキャリアパス要件1
  • 職位・職責・職務内容に応じた「任用(登用)要件」の可視化が必要
  • その区分ごとに、賃金体系(基本給・毎月の手当等)が定まっていること
  • ルールが就業規則・賃金規程等に明記され、職員に周知されている
    (キャリアパス要件Ⅰの趣旨は、厚労省資料でも「職位等に応じた任用要件と賃金体系の整備」と整理されています。)(厚生労働省リーフレット「処遇改善加算の制度が一本化」)

キャリアパス要件Ⅰの例

  • 区分を3段階で固定する(例:スタッフ/リーダー/管理者)
    • スタッフ:単独訪問ができる、記録が自走、基本的な医療処置ができる
    • リーダー:緊急対応・オンコール体制の中核、同行指導、連携会議の主担当
    • 管理者:人員配置・請求・労務の統括、事故・苦情対応、品質管理
  • 各段階の「任用要件」を1枚に文章化する(長文化しない)
    • 例:リーダー要件=「単独訪問○か月以上」「緊急対応の判断基準を理解」「新人同行評価ができる」など
  • 各段階にひもづく賃金表(基本給レンジ+毎月の手当)を作る
    • “処遇改善手当”という名称に限定せず、給与明細上どの項目が原資か説明できる形にしておく
  • 周知の証拠を残す(掲示、回覧、説明会、電子共有の履歴など)

キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施・資質向上の仕組み)

訪問看護のキャリアパス要件2
  • 資質向上の目標がある
  • 目標に沿った研修計画があり、研修の実施または機会の確保がある
  • 研修の内容・機会が職員に周知されている
    (キャリアパス要件Ⅱは「資質向上のための計画策定と研修の実施(機会の確保)」として整理されています。)
    (厚生労働省リーフレット)

訪問看護で「どうすればいいか」(回る研修設計)

  • 研修は2層にする
    • 年間研修計画(全体):感染、褥瘡、看取り、緊急対応、記録、個人情報、虐待防止など
    • 個別研修計画(職員別):経験年数・役割(オンコール可否、同行指導など)で変える
  • 「外部研修」だけに寄せない
    • 訪問看護は同行訪問・技術チェック・ケース検討が主力になるので、これを研修として記録できる型を作る
  • 記録は最低限これだけ揃える
    • 実施日/内容(資料名)/参加者/実施者(講師)
  • 個別研修計画の型を先に固定する(記入例あり)

必ず作成する必要がある書類

  • 就業規則/賃金規程(改定履歴が分かると強い)
  • 等級表(職位表)+職務内容(役割定義)
  • 賃金表(基本給レンジ、手当の定義、支給条件)
  • 周知記録(回覧サイン、説明会出席簿、掲示日、共有フォルダ通知など)
専門家の声

「キャリア表はあるが、賃金規程と連動していない」
「処遇改善の原資が“なんとなく賞与”で、給与明細と突合できない」
この2つは、説明が止まって指摘を受けやすいです。先に賃金規程のひもづけを作る方が安全です。

職場環境・研修は「やった証拠」で差が出る

訪問看護でも、職場環境や研修の整備は「実施したことが分かる形」が重要です。たとえば研修なら、年間計画と個別計画があるだけで、運営指導の説明が通りやすくなります。個別研修計画の型は、現場で回しやすい形を先に固定しておくと崩れにくいです(個別研修計画の作り方(記入例あり)

専門家の声

職場環境要件は「何をやったか」より「誰が見ても追えるか」が見られます。議事録の体裁より、
実施日・参加者・内容・周知が揃っているかが先に問われます。

届出・計画書・実績報告|「厚労の様式」と「指定権者の締切」を分ける

処遇改善の書類は、厚生労働省が様式を公表しています(厚生労働省「介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式」)。
一方で、提出先は指定権者(自治体)で、締切・提出方法・添付の考え方は自治体で差が出る可能性があります。

様式の差替や実績報告の様式例は、厚労省の「介護保険最新情報」にも出ます(厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ」)。運営指導での版ズレ(古い様式を使っている)は指摘が出やすいので、算定開始前に「最新版の確認」をルール化してください。

提出の実務で止まりやすいところ

  • 体制届(加算を算定する前提の届出)と、処遇改善の計画書が混線する
  • 計画書は出したが、職員への周知の記録がない
  • 実績報告が年度末に詰み、最後に不足が発覚する

運営指導の全体像や、当日どこを見られるかは、先に把握しておくと準備の優先順位が決まります
運営指導の全体像(介護経営ラボ)運営指導と監査の違い(介護経営ラボ))。

返還を防ぐ月次管理|「加算見込み」と「賃金改善見込み」を毎月突合する

処遇改善加算で一番痛いのは、「算定できたのに、最後に不足して返還」になる形です。原因はだいたい次のどちらかです。

  • 利用者増や加算の増減で、加算額が見込みより膨らむ
  • 法定福利費(事業主負担)を見落として、賃金改善の見込みがズレる

月次で突合する表を1枚用意するだけで、年度末の事故は減ります。

  • 左:当月の加算見込み(総単位数×1.8%×単価)
  • 右:当月の賃金改善見込み(給与台帳から対象項目+法定福利費の増加分)
  • 差:不足が出そうなら、翌月以降で調整(賞与等で精算するなら“見込み”を残す)

ここまで読んでも「自社だと、どの給与項目で払うのが現実的か」で迷うことがあります。その場合は、無料経営相談で状況を一度棚卸しし、優先順位だけ先に決めてしまうと進めやすくなります。まずは「介護保険の規模」と「返還になりやすい運用」を切り分けるところからで十分です。

運営指導で止まるのは「書類がない」より「説明がつながらない」

運営指導で「処遇改善の配分ルールはどこですか」と聞かれ、計画書は提示できたものの、給与明細の項目と結び付かず、その場で担当者がファイルを探し続ける。こうした場面は珍しくありません。
「計画書→賃金規程→給与明細→実績報告」が一本の線でつながるように、項目名と保管場所を固定しておくと、説明が止まりにくくなります。

処遇改善加算の算定に不安がある方へ(無料経営相談のご案内)

処遇改善加算は、制度の文章を読めば読むほど「うちは合っているのか」「この設計で返還にならないか」と不安が増えやすい加算です。特に訪問看護は、医療保険と介護保険が混在しやすく、職種構成や手当の種類も事業所ごとに違うため、一般論のまま進めるとズレが出やすくなります。

本メディアを運用するProfessional Care International 株式会社では、訪問看護の処遇改善加算について、無料経営相談を受け付けています。次のような状況に心当たりがあれば、早めに一度棚卸しするだけで、判断がぐっと楽になります。

  • そもそも介護保険分がどれくらいで、加算見込み額がどの程度になるのか掴めていない
  • 「どの給与項目で」「いつ支給するか」を決めきれず、返還リスクが頭をよぎる
  • キャリアパス(要件Ⅰ・Ⅱ)を作ったが、賃金規程や研修記録とつながっているか自信がない
  • 研修や周知はしているが、運営指導で説明できる形に記録が揃っているか不安
  • 年度末の実績報告で不足が出ないよう、月次で突合する方法を決めたい

相談では、制度の説明だけで終わらせず、事業所の実態(介護保険の請求規模、給与体系、手当設計、研修の回し方)を前提に、無料経営相談で一緒に整理しましょう。

経営判断のヒント|取るべきか迷うときは「原資」と「維持コスト」で見る

訪問看護の処遇改善加算は、率(1.8%)だけを見ると小さく見えることがあります(厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」)。判断は次の2軸で十分です。

  • 原資が毎月どれくらい出るか(介護保険分の規模で試算)
  • 維持できる運用か(計画・周知・月次突合・実績報告が回るか)

取れそうだから取る、ではなく「取った後に回るか」を先に見ます。特に管理者が一人で回している事業所は、書類と給与の突合が属人化しやすいので注意してください。

なお、処遇改善だけで賃上げを設計し切ろうとすると歪みやすいです。賃上げ補助の制度が動いている年度は、併せて検討した方が資金繰りが安定します(介護賃上げ補助金(令和7年度)の解説(介護経営ラボ))。

厚労省Q&Aを「FAQ形式」で確認|迷いが出やすい質問から

以下は、厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)」で、訪問看護の新設加算でも同じ論点になりやすいものを、質問→回答の形でまとめたものです(厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)」)。個別の取扱いは自治体運用で差が出る可能性があるため、最終確認は指定権者の案内で行ってください。

Q1. 賃金改善の支給は、算定した月と同じ月でないといけない?

A. 国保連の支払時期等を踏まえ、算定対象月と同一でなくても差し支えない旨が整理されています。
ただし、最終的に「加算額以上の賃金改善」になっていないと返還になり得るため、月次で見込みを突合して不足を潰しておく方が安全です(厚生労働省Q&A(第2版))。

Q2. 賃金改善額に「法定福利費(事業主負担)」は含めてよい?

A. 賃金改善に伴って増える社会保険料等の事業主負担分について、賃金改善額に含められる範囲が整理されています。
実務では、給与項目だけでなく「事業主負担込み」で見込みを作ると、年度末の不足が出にくくなります(厚生労働省Q&A(第2版))。

Q3. 実績報告で賃金改善額が加算額を下回ったらどうなる?

A. 返還対象になり得るため注意が必要です。
不足が出そうなときは、賞与等で追加配分して埋める考え方が示されており、月次で不足見込みを把握しておけば打ち手が間に合います(厚生労働省Q&A(第2版))。

Q4. 処遇改善の計画書や根拠書類は、職員にどこまで周知が必要?

A. 計画書の内容や、要件に関する根拠書類について、職員に周知していることが前提になります。
運営指導で止まりやすいのは「周知したと言うが、証拠が出ない」ケースです。回覧、説明会、掲示、電子共有など、事業所に合う方法で“残る形”にしてください(厚生労働省Q&A(第2版))。

まとめ

運用まで含めて「自社だとどう組むのが安全か」で迷う場合は、無料経営相談で状況整理から始める方法もあります。全部を完璧に揃えるより、先に「返還になりやすいズレ」を潰す方が戻り作業が減ります。

目次