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介護施設では、慢性的な人手不足に陥っている事業所も多いのではないでしょうか。
厚生労働省の調査では、2025年には約32万人の介護人材が不足すると言われています。
実際、2020年介護事業所の倒産件数は、118件で過去最多となっており、
倒産理由として、人手不足による経営不振も多くなっています。
これからの介護施設は、更なる人手不足が予測される中で、
いかにして、少ない人数で質の高いサービスを提供していくことができるかが求めらます。
今回は、業務効率を上げる「5S活動」をご紹介致します。
この記事を読んでいただくと、「5S活動」とは何か、取り組む際のポイントなどがわかります。
業務効率をあげて、職員の負担を減らしたい、サービスの質を向上させたいと考えておらえる、
経営者・管理者の方は最後までご覧下さい。
介護の人材不足は深刻な問題です。
令和2年度介護労働安定センターの調査では、介護サービスを提供する従業員の
60%以上の職場が不足感を感じているとの結果がでています。
国も、さまざなま対策を打ち出していますが、需要と共有が追いついておらず、
苦しい状況が変わらないのが現状です。
これからの介護現場は少ない人員でサービスの質を担保していかければならない現状があります。
そのため、3Mと言われている、「ムリ・ムダ・ムラ」を徹底的に省く必要があります。
3M「ムリ・ムダ・ムラ」とは、業務効率を上げる際に注目されることが多く、
TPC(トヨタ生産システム)では、この「ムリ・ムダ・ムラ」を徹底的になくして
合理化を進めたことが有名です。
「能力以上の負荷がかかっている状態」のことです。
・作業や業務内容に対して、人手が少なすぎる
・負荷のかかる作業や姿勢が長時間続く など…
このような状態が続くと、事故の増加などに繋がります。
「能力が負荷を上回っている状態」のことです。
・指示待ち状態
・1つの作業に何度も行き来する
・状況共有がされておらず、常に確認作業がいる
結果、時間に追われることに繋がります。
「ムリとムダが混在し、作業にばらつきがある状態」のことです。
作業が標準化されておらず、人によって時間に大きな差が生まれてしまいます。
結果、できる人に仕事がかたより負荷がかかるということに繋がります。
5S活動には、3つの目的があります。
①安全な職場づくり ②効率的な職場づくり ③快適な職場づくり 以上3つです。
5S活動に取り組むことで、介護施設でよく起こる転倒、転落、食中毒などの感染症を減らし、
ヒヤリハットや事故の減少に繋がります。
職場から不要なものなくしたり、一瞬で認識できる状態を作ったりすることで、
素早くスムーズに作業ができる状態を作っていくことができます。
これは、ものだけでなく、書類やパソコン内のデータにも言えることです。
5Sに取り組むことで、衛生面、職員の身体・精神面での負担軽減、職場内コミュニケーション、
報連相、チームの連携など、さまざまな効果が期待できます。
5S活動に取り組むにあたり、
目的を明確にし、しっかりとスタッフ全員に周知した上で始めることが重要です。
これが曖昧なままスタートすると、
・上から言われたからただやっている
・なんとなく継続している
・表面上の活動となり、ただ、きれいにすることが目的となってしまう
・職員の意識改革や業務を快適にすることまで繋がらない…
などといった、状態に陥ってしまいます。
5S活動は、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」の5つで構成されています。
整理とは、職場内にあるものを、「要るもの」「要らないもの」「すぐに要らないもの」に分けて、
要らなものを徹底的に処分することです。
整理と聞くと、「物を整えて、きっちり収める」と捉えられることが多いが、
ここでは、「要らないものをしっかり処分すること」です。
物は、処分しないと、どんどん溜まっていきます。
物が溜まっていくと、職場有効スペースはどんどん狭くなります。
職場を快適にするには、まずは「整理」が重要です。整頓は整理が完全に済んでから行います。
「要るもの」…日々使われているもの
「要らないもの」…使用しないもの、壊れているもの
「すぐに要らないもの」 …半年、1年に1回程度など、使用頻度は低いが必ず使うもの
上記、3つにしっかりと区分けし、要らないものを徹底的に処分していきます。
介護施設では、以前からずっと置かれているものを、
自分達の判断で処分できず、とりあえず置いておこうとなっているものは結構多いです。
組織全体でそれぞれの基準を決めて、例外を職場を必要なものだけの状態にすることが大切です。
そして、ルールに則り、例外を作らずに処分していくことがポイントです。
必要なものを、いつでも誰でもすぐに取り出せるようにすることです。
介護施設では、同じ道具を複数の人で共有することが多くなります。
その度に戻す場所が変わっていたら、その都度探し回らなければなりません。
このような光景は、介護現場で本当によく目にします。
整頓とは、常に全てのものを誰でも迷いなくすぐに使えるようにしていく活動です。
大きな施設ほど、異動や離職などで、職員の入れ替わりも多くなりますので、とても重要になります。
整頓で大切な考え方は、「きれいかどうか」ではなく、「効率的どうか」です。
誰が掃除をしても同じきれいな状態を維持することです。
きれいさの基準は人それぞれです。
しっかりときれいの基準を明確にする必要があります。
例えば、仕事から帰る時は、机の上をきれいにして帰るというルールを作ったとします。
しかしこれでは、かなり基準は曖昧です。
仮に、「机の上は物がない状態」にして帰りましょうとするとどうでしょうか?
これなら、基準のズレはほぼないと思います。
介護現場では、食中毒や感染症予防のためにも、清掃はとても大切です。
いつ、だれが、どのように掃除をするのかを具体的に決めていきます。
しかし、人は慣れてくると、うっかり忘れてしまったり、手順を省いてしまったりしてしまいます。
そのためにも、「忘れない仕組み」、「ルールを守れる仕組み」を作ることが大切です。
また、清掃には点検の効果もあります。
決められた頻度でしっかり清掃を行っていると、変化や異常に気づきやすくなります。
そのような積み重ねがミスや事故を防ぐことにも繋がります。
3S(整理・整頓・清潔)が標準化(ルール化)され、それが維持されている状態です。
ルールを決めても忘れたり、守れなかったする状況は必ず出てきます。
そのような時は、ルールを守らなかった人ではなく、ルールの方に問題があると考えようにしましょう。
そして、どうすればみんなが守れるか、スタッフみんなで話し合うことが大切です。
そのような話し合いの場の積み重ねが、意思統一にも繋がります。
躾(しつけ)という言葉だけ聞くと、子供やペットをしつけるように、
上から下のものに対して言うことを聞かせるというイメージを持ってしまいますが、そうではありません。
ここでの躾の意味は、清潔な状態が習慣化して、当たり前になっている状態です。
当たり前というのは、無意識でできる状態のことです。
この状態になれば、当たり前のことを当たり前にできる風土が出来上がります。
そうすれば、組織全体の感性は高まり、
職員1人1人が職場の些細な変化や、異常に気づきやすくなります。
色々なことを早期に発見できることで、ミスや事故の減少にも繋がります。
このような動きが取れるようになると、
結果として、コミュニケーションの活性化、チームワークの向上、当事者意識の向上に繋がります。
5S活動は、物の整理整頓から始まりますが、最終的には感性の高い組織を作っていく活動になります。
5S活動は、元々、製造業から始まったものですが、
近年、医療・介護現場でも多く用いられています。
介護施設の現場では、人手不足が叫ばれている中で、業務効率を上げる必要性はかなり高まっています。
利用者との時間や、やりたいことに使える時間を確保していくためにも、
徹底的に「ムリ、ムダ、ムラ」を省ていくことが求められます。
そしてそれは、職員にとって働きやすい職場環境となっていきます。
しかし、5S活動は一朝一夕でできるものではありません。
年単位で、根気強く取り組んでいく必要があります。
ただでさえ、人手不足で時間がない中の活動となります。
外部の専門家を入れて取り組んでいくことも1つの方法です。
「介護施設での離職者が絶えない…」 「介護施設の利用者様を増やしたい…」など
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