【徹底解説】居宅介護支援事業所の収支・立ち上げに必要なもの

2045年まで介護サービスの需要が高まる中で、まだまだ需要があり年々増加傾向にある居宅介護支援事業所。

「将来、居宅支援事業所を立ち上げたい」
「これから介護事業に参入したい」

そう思っている方には必読の記事です。

記事の終わりには「居宅介護支援事業所の開業ガイドブック」を無料でお配りしています。地域のニーズに応えるための市場分析・開業計画・スケジュール・指定申請方法を詳しく解説しています。ぜひ、手にとって居宅介護支援事業所の開業にお役立てください。

居宅介護支援事業所の開業ガイドブックはこちら>>

目次

居宅支援事業所を立ち上げるメリット

  • 自宅でも開業できる
  • 低コストで開業できる
  • 自由な働き方ができる
  • 自分の給料は自分で決める事ができる
  • 主任ケアマネを持っていれば1人でも開業できる

居宅介護支援事業所を開業する場合、指定申請等の書類関係は難しいものの介護施設や通所介護事業所と比べて、車椅子や介護用具を買う必要がないので低予算で開業できるメリットがあります。

居宅支援事業所を立ち上げるデメリット

  • 営業能力がないとお客様の紹介数が低くなる
  • 黒字化するまでに1年~2年かかることがある
  • 1人で開業する場合、法人運営の書類があるため作業量が多い

デメリットは売り上げの管理や経費の管理、社会保険料の計算などある程度知識を付ける必要があります。また開業までに最低3ヶ月はかかるのでこれもデメリットといえるでしょう。

開業に必要な資格は主任ケアマネジャー

2021年4月以前に開業していた場合は2027年3月までの適用猶予がされますが、2021年4月以降、居宅介護支援事業所を開業するにあたり「主任ケアマネジャー」が必須になりました。

(管理者)

第三条 指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援事業所ごとに常勤の管理者を置かなければならない。

 前項に規定する管理者は、介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の六十六第一号イ(3)に規定する主任介護支援専門員(以下この項において「主任介護支援専門員」という。)でなければならない。ただし、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合については、介護支援専門員(主任介護支援専門員を除く。)を前項に規定する管理者とすることができる。

(管理者に係る経過措置)

第三条 令和九年三月三十一日までの間は、第二条の規定による改正後の指定居宅介護支援等基準第三条第二項の規定にかかわらず、介護支援専門員(介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の六十六第一号イ(3)に規定する主任介護支援専門員を除く。)を指定居宅介護支援等基準第三条第一項に規定する管理者とすることができる。

 令和三年四月一日以後における前項の規定の適用については、前項中「、第二条」とあるのは「令和三年三月三十一日までに介護保険法第四十六条第一項の指定を受けている事業所(同日において当該事業所における指定居宅介護支援等基準第三条第一項に規定する管理者(以下この条において「管理者」という。)が、介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の六十六第一号イ(3)に規定する主任介護支援専門員でないものに限る。)については、第二条」と、「介護支援専門員(介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の六十六第一号イ(3)に規定する主任介護支援専門員を除く。)を指定居宅介護支援等基準第三条第一項に規定する」とあるのは「引き続き、令和三年三月三十一日における管理者である介護支援専門員を」とする。

厚生労働省:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準及び指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の公布等について

主任ケアマネジャーになるための研修を受けるには?

受講の条件

主なチェック項目は4つです。

  1. 専任のケアマネージャーとして働いた期間が通算5年以上あること
    ※専任とは兼務ではなく、介護事業所の介護支援専門員として専属で勤務した場合(管理者はOK)
  2. 専門研修課程Ⅰ及び専門研修課程Ⅱ又は実務経験者に対する介護支援専門員更新研修を修了した者
  3. 主任ケアマネージャーに準ずる人として、現に地域包括支援センターに配置されている人
  4. 有効な介護支援専門員証の保有している者

研修期間

主任ケアマネ(主任介護支援専門員研修)の日程や時間は都道府県ごとに違いますが、12日間で取得するのが一般的です。

また、研修を受ける場所はケアマネジャーとして登録している都道府県(資格書記載)が対象になるので注意してください。

居宅介護支援事業所の立ち上げに使える助成金は?

居宅介護支援事業所の開業に良く使われる助成金・補助金をピックアップしています。

地域創業起業補助金

創業補助金とは、創業に必要な「経費」の一部を国や自治体が補助してくれる制度です。
創業補助金を取得するメリットは返済不要ということです。ただし、一定の期間内に収益を上げると返済義務が生じる場合があります。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者に対して業務の課題やニーズにあったITツール(介護ソフトや勤怠管理システム)を導入する経費を補助する制度です。

居宅介護支援事業所を開業する場合、介護のソフト(ICT)は必ず必要です。
またスマートフォンやタブレット端末・PC等のレンタル代金も2/3の費用が補助される場合がありますので、要チェックです。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者や短時間労働者(パート社員)などの“正社員ではない”労働者の労働意欲を向上させ、優秀な人材確保を目的とした制度です。

居宅介護支援事業所の開業で良く使われるのは”正社員化コース”です。
正社員化コースとは、有期契約労働者や短期間労働者(パート社員)を正社員への転換や直接雇用した場合、助成金が受給できます。

居宅介護支援事業所の開業までのスケジュール

STEP1.会社の理念を決める

日本を代表する大企業でも、どんな会社でも必ず企業理念があります。

企業理念とは、会社の成長に欠かせない指針であり、作っていないと事業の進め方に悪影響が出て会社が衰退してしまうリスクとなってしまいます。

VISION(目指すべき組織)
・目指す将来の理想像
MISSION(解決すべき課題)
・会社が具体低に何を目指すのか、成し遂げたいのか
VALUE(価値提供)
・経営者自身が大切にしている価値観

以上、3点は最低限決めておきましょう。

もし、決められないでお困りの場合は、お気軽にご相談に乗りますので「無料経営相談窓口」からお問い合わせください。

STEP2.自社の強み(ブランディング戦略策定)を決める

介護事業所における基本的な考え方は共生することですが、他の居宅介護支援事業所と全く一緒だと新規参入する際に何を訴求するかが明確になっていないので、自分の居宅介護支援事業所にしかない強みは必ず必要です。

例:24時間対応、フットワークが軽い等

STEP3.営業範囲、営業先、営業方法を決める(マーケティング戦略策定)

まず初めに営業範囲を決める所から始めましょう。
開業場所の地域に隣接している地域(○○市、 ○○市 、 ○○市 、 ○○市 )などリストアップ。後々の指定申請の地域になるのでしっかりリサーチしましょう。

居宅介護支援事業所の営業先は病院の地域連携室や地域包括支援センターです。営業リストを前もって作成しておくことで、開業した時に迷わなくて済むのでお勧めします。

営業先は、自治体のホームページにある程度記載されているので是非開業される地域のホームページを閲覧してみてください。

STEP4.開業までに必要な資金を把握する

1番と2番は必ず必要になる資金です。1人で開業する場合は100万円~300万円ほどが目安です。

1.法人立ち上げ費用

株式会社は25万円程度
合同会社は11万円程度

2.指定申請、証書代

3万円

3.人件費

1人で開業する場合は貯金等があると思いますが、人を雇用する場合+300万円くらいは最低必要です。

4.家賃

事務所を借りる場合必要な資金です。
※家で開業する場合は必要なし

5.その他経費

名刺作成費・ロゴ作成費・ホームページ制作費・チラシ制作費・印刷代
パソコン・机・イス・鍵付きのキャビネット(指定申請要件)

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より詳しい内容は「居宅介護支援事業所の開業ガイドブック」で解説しておりますので、ぜひ手にとって見てください。

お困りごとやご不安なことはお気軽にご相談に乗りますので「無料経営相談窓口」からお問い合わせください。

開業までの準備項目

設備基準を満たす

  • プライバシーを保護する相談室があること(パーテーションでOK)
  • 洗面台にアルコール消毒液と石鹸があること
  • 机・イスがあること
  • 鍵付きのキャビネットがあること
  • 運営規定を事務所内に掲載していること

自治体によって多少要件が異なりますので、開業する”都道府県“の介護保険課へ連絡してください。

運営基準を満たしていること

  • 県の指定をとっていること
  • 市町村の指定をとっていること
  • 登記簿謄本に実施事業の文言がはいっていること
  • 人員基準を満たしている事(主任ケアマネ保持者1名で可)
  • 利用者に対する居宅サービス計画書の交付
  • 会計の区分
  • 居宅サービス事業所等からの利益収受の禁止等
  • 秘密保持契約書(NDA契約)

居宅介護支援事業所の指定申請に係る必要書類

  1. 指定申請書(第1号様式)
  2. 指定居宅介護支援事業者の指定に係る記載事項
  3. 定款写し(原本証明が必要)
  4. 登記簿謄本(発行後3カ月以内の原本)
  5. 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  6. 介護支援専門員証の写し(原本証明が必要)
  7. 組織体制図
  8. 管理者・サービス提供責任者の経歴書
  9. 管理者の介護支援専門員の資格を証明するものの写し(原本証明が必要)
  10. 事業所の写真(外観・内部)
  11. 事業所の平面図
  12. 事業所の案内地図
  13. 事業所が賃貸である場合はその賃貸借契約書の写し
  14. 運営規程
  15. 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  16. 資産の状況を証明する書類(決算書、資本金支払証明書、通帳写し等)(原本証明必要)
  17. 損害保険加入を証明する書類
  18. 欠格事由に該当していない旨の誓約書
  19. 関係市町村並びに他の保健医療・福祉サービスの提供主体との連携内容
  20. 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表

ここで注意すべきポイントは都道府県と“各”市町村に届出が必要ということです。
サービス提供範囲の市町村には必ず届けておきましょう。

居宅介護支援事業所の収益を安定化させるには

収益モデルの仕組みを知る

収益を安定化させるためには、まず収益モデルを知ることから始めましょう。

種別介護報酬
居宅介護支援費(Ⅰ)居宅介護支援費(i)40件未満
要介護度1・21,076単位=約10,760円
要介護3・4・51,398単位=約13,980円
介護予防支援費
(要支援1・2)
483単位=約4,830円
※1ヶ月単位で計算、1単位10円で計算(都道府県・市町村により等級が変わります)

例)
要介護1~2の利用が5人、要介護3~5の利用が30人だとすると
要介護度1~2の利用者(10,760円)×5人=53,800円
要介護度3~5の利用者(13,980円)×30人=419,400円
合計473,200円

以上が基本報酬です。

これに加算(医療連携加算や退院・対処加算)を算定すると数に応じて収益が上がります。

利用者数は30人~35人程度をキープすることが目標です。ただ、要介護度3~5の方の多くは、介護施設に入居されているので1人ケアマネの経営は少し厳しいでしょう。

組織化で特定事業所加算の算定をする

前述したように1人ケアマネの経営は少し厳しい状況です。

特定事業所加算を算定できると利用者1人あたり3,000~5,000円がプラスされますので特定事業所加算の算定を目標にしましょう。

業務を最適化し書類の効率を上げる

ケアマネジャーの業務は主に書類作業といっても過言ではないほど書類が多いです。

計画書の作成や記録、会議録、加算算定に係る書類などを如何に効率化するかが「鍵」となります。ICTを用いて書類作業の効率化をすることで、売上にも結び付きます。

業務効率化コンサルティング

まとめ

今回は居宅介護支援事業所の立ち上げの方法を解説しました。

居宅介護支援事業所を立ち上げるキッカケは人それぞれですが、これまでの経験で見えた問題から「自分なりの介護サービスを提供する」と熱い心を持っている方が非常に多いです。

今後の介護業界は、ひとりでも多くの挑戦する心がとても重要です。開業には時間と労力が掛かりますが、当社もサポートいたしますので一緒に歩んでいきましょう。

最後に「居宅介護支援事業所の開業ガイドブック」をまとめました。

実際に居宅介護支援事業所を運営している監修者のもと作成し、市場分析・開業までのスケジュール・事業計画の方法・指定申請のチェックリスト等を解説しております。

以下に必要事項をご記入の上、メールアドレス宛にダウンロード用URLが届きますので、メールの案内に従ってご活用ください。もちろん無料でお使いいただけます。

居宅介護支援事業所 開業ガイドブックはこちらから

これから居宅介護支援事業所を立ち上げる方の背中を押すことができれば幸いです。

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