
TEL. 03-5530-8408
営業時間:月曜日~日曜日 10:00~19:30
無料経営相談には毎月の実施枠に限りがありますので、お早めにお問い合わせください。

介護事業の経営において、看取り加算は制度理解と実務対応の両方が求められる重要なテーマです。
高齢化が進む中、事業所には終末期ケアの質と、適切な報酬算定の両立がこれまで以上に問われています。
本記事では、専門家 片山海斗が、実際の現場支援経験をもとに、経営初心者の方でも理解できるよう「看取り加算」を体系的に解説します。
この記事でわかること

看取り加算とは、利用者が人生の最終段階(終末期)を迎えた際に、計画的かつ多職種連携でケアを行った場合に算定できる加算です。
ここでいう「終末期」とは、医学的に回復の見込みがなく、死が避けられないと判断される状態を指します。
看取り加算は単なる「最期の対応に対する報酬」ではありません。
これらを事業所として仕組み化できているかを評価する制度です。

専門家の声私が支援した事業所で印象的だったのは、「加算を取るため」ではなく、「職員が迷わないため」に看取り体制を整えた結果、自然と算定できる状態になっていたケースです。看取り加算は、経営と現場の質が一致していないと続きません。




看取り加算は、すべての介護サービスで算定できる加算ではありません。
まず重要なのは、「施設系サービスを中心とした加算」であるという点です。
※訪問系サービスでは「ターミナルケア加算」が中心となります。
これらはいずれも、事業所が生活の場となり、継続的な医療・介護連携のもとで看取り対応を行うことが前提となっています。
訪問介護や訪問看護、居宅介護支援などの在宅系サービスでは、原則として「看取り加算」は算定できません。
これらのサービスで終末期対応を評価するのが、ターミナルケア加算です。
ここを誤解したまま運用すると、「本来ターミナルケア加算で評価すべきケースを、看取り加算として整理していた」という指摘を受ける可能性があります。



実際の運営指導で、「施設だから看取り加算が取れると思っていたが、サービス種別が該当していなかった」というケースを何度も見てきました。
まずは“施設か在宅か”ではなく、“サービス種別”で整理することが重要です。
小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護では、看取り対応に関する評価はありますが、算定体系や考え方が施設系の看取り加算とは異なります。
制度上の位置づけや算定要件が異なるため、
を必ず確認する必要があります。
看取り介護加算は、「いつから算定できるのか」「死亡日の何日前まで算定できるのか」によって、算定日数や単位数が変わる加算です。特に運営指導(実地指導)では、死亡日を起点とした日数区分の理解ができているかが重点的に確認されます。
ここでは、主要な施設・居住系サービスについて、算定期間と単位数を施設種別ごとに整理します。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
| 算定期間(死亡日からの日数) | 看取り介護加算(Ⅰ)単位数 | 看取り介護加算(Ⅱ)単位数 |
|---|---|---|
| 死亡日(当日) | 1,280単位/日 | 1,580単位/日 |
| 死亡日前日・前々日 | 680単位/日 | 780単位/日 |
| 死亡日以前4日~30日 | 144単位/日 | 144単位/日 |
| 死亡日以前31日~45日 | 72単位/日 | 72単位/日 |
※看取り期と判断した日から無制限に算定できるわけではなく、死亡日から45日以内が算定対象です。
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム等)
| 算定期間(死亡日からの日数) | 看取り介護加算(Ⅰ)単位数 | 看取り介護加算(Ⅱ)単位数 |
|---|---|---|
| 死亡日(当日) | 1,280単位/日 | 1,780単位/日 |
| 死亡日前日・前々日 | 680単位/日 | 1,180単位/日 |
| 死亡日以前4日~30日 | 144単位/日 | 644単位/日 |
| 死亡日以前31日~45日 | 72単位/日 | 572単位/日 |
※特養と構造は似ていますが、算定要件・体制基準は異なるため混同に注意が必要です。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
| 算定期間(死亡日からの日数) | 看取り介護加算(Ⅰ)単位数 |
|---|---|
| 死亡日(当日) | 1,280単位/日 |
| 死亡日前日・前々日 | 680単位/日 |
| 死亡日以前4日~30日 | 144単位/日 |
| 死亡日以前31日~45日 | 72単位/日 |
※認知症対応型共同生活介護では、看取り介護加算(Ⅱ)を算定するための体制要件が高く、実務上は(Ⅰ)のみ算定している事業所も多いため、体制整備の有無を事前に確認する必要があります。
これらの単位数は、死亡日を起点に日数区分を逆算して適用され、区分をまたいだ算定や日数超過は返還対象となるため注意が必要です。




看取り加算とターミナルケア加算は、いずれも「人生の最終段階におけるケア」を評価する加算ですが、対象となるサービス、算定の考え方、評価される支援内容は明確に異なります。
この違いを正しく理解していないと、算定漏れや誤算定、運営指導での指摘につながりやすくなります。
看取り加算は、特別養護老人ホーム、特定施設入居者生活介護、グループホームなど、施設系・居住系サービスが対象となります。
一方、ターミナルケア加算は、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援など、在宅サービス(居宅系サービス)で算定される加算です。
という整理が、現場理解として最もわかりやすい考え方です。
看取り加算で評価されているのは、施設内での継続的な生活支援・介護・医療連携です。
「生活の場としての施設機能」が重視されます。
ターミナルケア加算では、在宅で療養を続ける利用者を支えるための支援体制が評価対象です。
「在宅生活を支える調整力」が中心となります。
看取り加算は、死亡日から遡った日数区分ごとに単位数が定められている点が大きな特徴です。
「いつから看取り期と判断したか」ではなく、死亡日を起点に、何日前の支援かによって単位が変わります。
一方、ターミナルケア加算は、サービスごとに算定要件や算定日数の考え方が異なり、死亡日からの逆算構造ではありません。
運営指導(実地指導)では、「看取り加算」や「ターミナルケア加算」を算定しているかどうかだけが見られるわけではありません。指導員が確認しているのは、その加算を選んだ理由を、事業所として説明できるかという点です。
たとえば、「最期は施設で亡くなったから看取り加算を算定しています」という説明は、実は十分ではありません。
指導の場面では、
といった、支援の実態に基づく整理ができているかが確認されます。
つまり、「名称が似ているから選んだ」「なんとなくこちらだと思った」という判断ではなく、
「この利用者は施設入所中であり、施設が生活の場として看取り期の支援を担っていたため、看取り加算の対象になります」といったように、サービスの立ち位置を言葉で説明できることが重要になります。
実際の運営指導では、この違いを正しく理解している事業所ほど、書類確認やヒアリングがスムーズに進み、不要な指摘や是正を受けにくい傾向があります。
逆に、違いの理解があいまいな場合、算定自体に問題がなくても、「制度理解が不十分」と判断され、追加資料の提出や説明を求められることも少なくありません。
看取り加算とターミナルケア加算の違いは、単なる制度知識ではなく、運営指導を乗り切るための“説明力”そのものと言えます。


この章では、運営指導(実地指導)の場面で、指導員が実際にどのポイントを確認するのかを整理します。
日常業務の工夫ではなく、「指導の場で説明を求められる視点」に絞って解説します。
まず必ず確認されるのが、看取りに関する指針(マニュアル)の内容です。
単に書類として整備されているかではなく、
といった「運用実態」まで見られます。指針があっても、「現場職員に説明できない」「内容が古い」といった状態では、評価されません。
看取り加算において、医師の関与は最重要項目の一つです。
運営指導では、
といった点がチェックされます。「口頭で指示があった」「昔からの付き合いの医師だから大丈夫」という説明は通用しません。
第三者が見ても判断経緯が分かる記録が必要です。
次に確認されやすいのが、家族への説明と同意の取り方です。
特に見られるのは、
です。死亡直前になってから説明・同意を行っている場合、「計画的な看取りとは言えない」と判断される可能性があります。
看取り加算では、記録の内容と整合性が非常に重要です。
運営指導では、
などが確認されます。
よくある指摘として、
といった点があります。これは、「ケアをしていない」のではなく、「説明できる形で残せていない」ことが問題になります。
最終的に必ず問われるのが、「なぜこの日数・単位で算定しているのか」という点です。
管理者が、
を説明できない場合、現場運用が不安定と判断される可能性があります。
現場支援を通じて見えてきた共通点は以下です。
これらは、すべて経営設計の問題です。
運営指導対策として有効なのは、
です。「本当にこの算定で問題ないか不安」「次の運営指導が心配」という場合は、専門家による事前確認を行うことで、リスクを大きく下げることができます。
この章では、運営指導の有無に関わらず、看取り加算を日常的に安定して算定するための実務上のポイントを整理します。
指導対応ではなく、「現場と管理者が普段から整えておくべき体制」に焦点を当てます。
多くの事業所で見られる課題が、看取り対応の属人化です。
この状態では、人が変わった瞬間に算定の質が落ち、指導リスクが高まります。
安定算定のためには、
を、文書と運用の両方で統一することが不可欠です。
看取り加算で最もブレやすいのが、「いつから看取り期と判断するか」です。
判断基準が曖昧だと、
といった問題が生じます。
経営者・管理者は、
を明文化し、判断の起点を揃えることが重要です。
家族説明は、職員の経験や話し方に左右されやすい部分です。
しかし、看取り加算においては、
が非常に重要になります。
安定算定している事業所ほど、
が統一されています。



安定して看取り加算を算定している事業所では、家族説明を「誰がやっても同じ内容になる」ように仕組み化していました。
結果として、家族トラブルも運営指導での指摘も減っています。
運営指導では、最終的に管理者・責任者が説明を求められます。
そのため、
を、管理者自身が把握していなければなりません。「現場に任せているから分からない」は通用しません。
現場任せにしないことが、最大のリスク対策です。
制度は改定され、運用も少しずつ変化します。
という状態は、知らないうちにリスクを高めている可能性があります。
定期的に、
を見直し、必要に応じて第三者の視点を入れることが、安定算定への近道です。
原則として、終末期に入る前段階で、本人または家族に十分説明した上で取得します。
必須です。口頭指示だけでなく、記録として残すことが求められます。
原則として同時算定はできません。看取り加算とターミナルケア加算は、「対象サービス」と「想定されているケアの場」が異なるため、同一期間に重複して算定することはできないとされています。
看取り加算は、単に報酬を上乗せするための制度ではなく、事業所として人生の最終段階にどのように向き合うかを評価する仕組みです。そのため、算定の可否だけでなく、看取り期と判断した根拠、支援体制の整備状況、そして後から説明できる記録が整っているかどうかが重要になります。
看取り加算は施設・サービス種別ごとに算定日数や単位数の考え方が異なり、ターミナルケア加算とも目的や評価軸が明確に分かれています。特に運営指導(実地指導)では、「なぜ看取り期と判断したのか」「どのような体制で対応したのか」「その内容を裏付ける記録が残っているか」が重点的に確認されます。
近年の運営指導では、書類が形式的に揃っているかどうかよりも、第三者に説明できる運営ができているかが強く問われる傾向にあります。だからこそ、看取り加算は現場任せにせず、経営・管理の視点で制度理解と体制整備を進めることが欠かせません。
看取り加算を正しく理解し、日々の判断と記録を積み重ねていくことは、運営指導リスクを下げるだけでなく、事業所としての信頼性を高めることにもつながります。不安を感じた段階で早めに対策を講じることが、これからの介護経営において大きな差を生みます。
「運営指導が怖い…」 「加算を取りたいけど、どうやっていいかわからない…」など
介護経営のお悩みについて 無料でご相談を承ります。
まずはお気軽に、現状のお困り事や抱えている課題を教えてください。
LINEからは「経営顧問カスタマーサポートデスク」を友だち追加してください。
TEL. 03-5530-8408
営業時間:月曜日~日曜日 10:00~19:30
無料経営相談には毎月の実施枠に限りがありますので、お早めにお問い合わせください。