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介護施設の安定経営を行う上で、現場の人材確保やケアの質の向上はとても重要な要素です。
先日、介護事業大手のSOMPOケアがリーダー級介護職の給与水準を看護師と同等にする方針を打ち出し、
大きな話題となっています。
厚生労働省もリーダー級介護職の人材確保・育成と給与水準の引き上げを行っています。
しかし、いざ介護現場に目を向けてみると、まだまだ教育体制も整っておらず、
賃金改善も事業所の裁量に任されている現状があります。
今回は、介護現場における現場リーダーの重要性と役割についてお伝え致します。
現場リーダーがいかに上手く機能するかによって、介護施設の経営は大きく変わってきます。
介護施設経営者の方は、ぜひ最後までご覧下さい。
厚生労働省の調査では、2025年には、約34万人の介護人材が不足すると予測されています。
国としても、介護人材確保のために、さまざまな施策を打ち出しています。
上記にも書かれていますが、
「介護職員の処遇改善」、
「現場の業務負担軽減に向けたICTや介護ロボットの導入支援やガイドラインの作成」、
「学生や元介護人材へ貸付金制度」、
「外国人人材の受け入れ環境整備」などさままです。
中でも、私が注目したいのが、リーダー級介護職員への支援です。
有識者会議でも、リーダー級介護職員を増やすことの重要性の声が上がっており、
特定処遇改善加算などの賃金改善にも影響しています。
また、平成31年より、介護福祉士養成課程の見直しがされ、
「チームマネジメント能力を養うための教育内容の拡充」として、
「リーダーシップやチームマネジメント」などの学びの時間が30時間から60時間へと倍に変更されています。
これも、介護福祉士が介護現場のチームリーダーとして活躍するための施策となっています。
このようなことからも、国も現場リーダーの重要性を認識していると考えられます。
現場リーダーは、中間管理職の役割を果たし、プライングマネジャーとして、
現場業務を行いながら、マネジメント業務も行っていかなければなりません。
しかし、現場は人手不足で、ほぼ現場業務に注力しなければならず、
マネジメントの時間がとれていないという状況がほとんどです。
このような状況が、
コミュニケーション不足によるチームワークの低下、サービスの質の低下による事故や苦情の多発、
職員の離職、業績の悪化など悪循環をもたらしています。
私は、大小100以上の介護施設にさまざまな立場で関わらせていただきましたが、
「良い介護施設」に共通して言えることは、「良い現場リーダー」がいるということです。
「良い介護施設」の定義はさまざまありますが、
私が考える「良い介護施設」のポイントは、
・フロアの整理整頓ができている
・利用者への接遇マナーができている
・訪問者に対する挨拶や対応が丁寧である
・認知症ケアの質
・自立支援のケアができている などです。
普段からどんなことを意識して、スタッフにどんな声掛けをしているか、
また、何を大切にしてケアを行っているか。
このようなことが、本当によく表れます。
同施設内であったとしても、
リーダーによっては、フロアの状態や雰囲気は全く違ったものになります。
それだけ、現場リーダーは良くも悪くも影響力があります。
介護業界全体の課題にもなりますが、
介護現場の研修は、介護技術や認知症ケア、看取りケアなどの介護の専門的な研修は多くありますが、
リーダーや管理者に対する研修は少ない現状があります。
実際、当社が独自に行った、介護リーダー(45名)を対象に行ったアンケート調査では、
「リーダーシップやマネジメントのような研修を受けたことがあるか」とい質問に対して、
受けたことがあると解答した人は、わずか10%でした。
中には、本や動画などで学んでる人もいるかもしれませんが、
約9割の人は、リーダーという役割を、先輩や上司などの姿を参考に見よう見まねで行っている現状です。
当然、リーダーの仕事は、経験を積みながら学び、成長していくことも多くあります。
研修を受けることが絶対必要だというとつもりはありませんが、学ぶ機会は必要です。
リーダー業務というのは、介護業務とは全く違うものであり、経験だけを頼りに行うには、
難しいことが多いですし、時間がかかります。
介護現場は慢性的な人員不足です。
そのため、突然リーダーに抜擢されることも珍しいことではありません。
当然、ある程度の経験とスキルを持っていることが最低条件ですが、
年功序列や他にやる人がいないなんて理由でリーダー業務も任さている人もいます。
そのため、いち現場の介護職員としてはとてもイキイキ働いていた人が、
リーダーに抜擢され、うまくいかず、人間関係や責任の重さに悩むケースもたくさんあります。
結果、リーダーの役割を降りたいと訴えたり、最悪の場合、辞めてしまうこともあります。
そういうリーダーの姿をみて、現場で働く人は、リーダーにはなりたくない…などと言った声も多くなります。
厚生労働省が運営してる、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 では、
介護のチームリーダーの役割として、3つあげられています。
①高度な知識・技術を有する介護の実践者としての役割
②介護技術の指導者としての役割
③介護職のグループにおけるサービスをマネジメントする役割
上記3つに加え、私はもう1つ加える必要があると考えています。
④経営層・管理職とのパイプの役割
それぞれ解説していきます。
専門的な知識・技術を用いて、多職種と連携しながら、幅広い介護ニーズに対応する役割を担います。
具体的には、今後も増加が見込まれる認知症の方の症状に応じた対応、医療・リハビリの必要性が高い方への対応、終末期の方に対する看取りを含めた対応、障がいの特性に応じた対応、複合的な支援ニーズを抱えるご家族への対応などです。
そのためには、ご利用者の心身状況などを把握する観察力、適切に対応できる判断力、業務遂行力、多職種連携力などが求められます。
当たり前のことですが、介護業務を行う上で専門的な知識がない人がリーダーとなるのは難しくなります。
そんな人に色々と言われても信頼できないからです。
ただ、スタッフの中で全ての知識やスキル一番である必要はないと考えています。
それぞれの特徴を生かしたマネジメントが行えるかがカギとなります。
グループ内の介護スタッフへの介護技術の指導や助言、適切な業務・役割の配分、
スーパーバイズなどの役割です。
そのためには、ADLやアセスメント(課題整理)のエビデンスに基づいた介護技術の指導・伝達によって後進の育成ができる指導力、介護スタッフの能力を開発していく人事管理能力などが求められます。
自分はできるが、人に教えるのは苦手という人は多く、
特に介護業界は、そのような人が多い傾向があります。
リーダーの指導力が低いと、スタッフが成長せず、チームとしてもケアの質も低い状態が続きます。
スタッフのモチベーションや利用者満足度にも大きく影響します。
介護過程の基本に沿った介護サービスの提供監理、グループ内の介護スタッフのフォロー、ご利用者に関する情報収集と共有などの役割があります。
そのためには、介護計画に沿った介護が提供されているかを把握し、その向上・改善に向けて対応できる能力、さまざまな職種や機関と連携できる能力などが求められます。
また、スタッフの働きやすい環境作りやチームとしての目標設定と進捗確認、役割分担なども求められます。
マネジメントが上手くできていないと、責任の所在が分からず、チームにも一体感が生まれません。
結果、チームの課題もうまく改善ができず、ケアの質の低下、離職者の増加などに繋がります。
経営者、管理職からの情報や指示、思いを自部署に伝えることと、
現場の状況などを経営者・管理者へ伝えることの両方の役割を担います。
ここが機能していないと、互いの思いや情報が上手く伝わらずに、
経営・管理者層と現場との分裂に繋がります。残念ながら、この状況は、介護現場ではよく見かけます。
現場は、「上は現場の大変な状況を何もわかっていない…」
経営層は、「現場は業績ことなど意識して取り組んでくれない…」
などといった言葉が飛び交うようになります。
このような状況を作らないためにもリーダーは、互いの内容をしっかり理解した上で、
自らの言葉で発信していくことが大切なります。
今回は、介護施設経営における、現場リーダーの役割と重要性について書かせていただきました。
介護現場は慢性的な人手不足の状況で、教育への時間の確保が厳しいところも多くあります。
しかし、現場リーダーが育たないと経営の安定はないと言っても過言ではありません。
経営者・管理者はそれぞれの階層に合わせた教育制度を仕組化しておくことで、
結果的に、離職予防、ケアの質の向上、業績アップに繋がります。
そして、経営層の方は、しっかりと現場の状況や思いを理解した上で、
自らの”思い”と”意図”を現場のリーダーにしっかり伝えていくことが、
現場との一体感に繋がります。
そのためには、日頃のコミュニケーションと定期的な面談で、
互いの理解を深めておくことが重要です。ぜひ、意識して行ってみてください。
「介護施設での離職者が絶えない…」 「介護施設の利用者様を増やしたい…」など
介護経営のお悩みについて 無料でご相談を承ります。
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