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介護経営ラボ

【解決】介護事業所の離職率低下を実現する視点と具体的対策

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。

介護事業の経営者・管理者の方は、日々たくさんの問題や課題と向き合いながら、
奮闘されていると思います。

中でも深刻なものが、「人手不足」ではないしょうか。

  • 求人を出しても応募が来ない…
  • 新人職員がすぐに辞めてしまう…
  • 将来を期待していた優秀な職員から辞めていってしまう…
  • 退職の順番待ちができている…
  • 派遣職員に頼りるしかなく、費用を圧迫している…

このような状態に陥っている介護事業所は決して少なくありません。

実際、2020年の介護事業所の倒産件数は過去最多の118件となっており、
倒産理由が多くが、「人手不足」によるものだとも言われています。

本記事では、介護事業所の人手不足解消に向けて、
特に、『離職率低下』を実現するために、
介護事業所の経営者・管理者が持つべき「視点」と「具体的対策」についてお伝え致します。

介護業界の人手不足の現状

厚生労働省の調査では、2025年には、約32万人の介護人材が不足すると言われています。
これからの介護業界は、更なる人材争奪戦となります。

https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804129.pdf
厚生労働省:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
※この統計には退職者・離職者は含まれていない

介護事業所が生き残っていくためには、
職員の離職をいかに予防できるかがとても重要になります。

当然、採用促進も重要ですが、仮に採用がうまくいったとしても、
またすぐに辞めてしまえば、全く意味がありません。

介護業界の有効求人倍率は?

有効求人倍率とは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示すものです。
厚生労働省が出しているデータによると、令和2年11月現在で、介護サービス職の有効求人倍率は3.88倍となっています。(令和2年11月 「一般職業紹介状況」より)

つまり、1人が介護の仕事を探した時に、3~4社の事業所が手を挙げている状況です。

全職業の有効求人倍率が1.06倍のため、介護職の有効求人倍率は非常に高いことがわかります。
このような状態は、「売り手市場」と言われており、転職がしやすい状態であると言えます。

昔は、会社を辞める理由が必要でしたが、現在は、会社を続ける理由が必要だとも言われています。
特に若い世代には、そのような傾向が強いそうです。

そのため、介護事業所は、いかにして「職員が辞めない」組織=「職員が働きたい」と思える組織
作っていけるかが、これから大きなポイントになってきます。

介護現場の離職率が高いは嘘!? 介護事業所は2極化している

平成29年度介護労働安定センターの調査によると、
介護業界の離職率は、16.2%となっています。

同年の他業界の離職率の全国平均は、14.9%となっており、
介護業界が突出して高いというわけではありません

ちなみに、
生活関連サービス業・娯楽業は、22.1%
宿泊業・飲食サービス業は、30%、
となっており、介護業界と比べても、かなり高い数値となっています。

しかし、介護業界において、注目しなければならないデータがあります。
それは、「介護事業所別にみた離職率の割合」です。

同調査では、平成29年度の離職率が10%未満である事業所が39.9%となっています。
一方で、離職率20%を超える事業所が、約4割あることがわかります。

つまり、離職率が高い事業所と低い事業所に2極化していると言えます。

「介護業界=離職率が高い」というのは間違いであり、
離職率が高い事業所もあるが、低い事業所も多く存在するということです。

「介護」そのものが悪いのではなく、
経営する事業所のやり方によって、大きく違いが出るといいうことが、
お分かりいただけます。

介護職が離職する理由は?

職員が離職する理由は何でしょうか?
令和元年度介護労働安定センターの調査では、以下のようになっています。

公共財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度 介護労働実態調査結果について」

この状況を分析するために、
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグ提唱している、
「ハーズバーグの二要因理論」をご紹介します。

「ハーズバーグの二要因理論」で、介護業界の離職理由を分析

ハーズバーグの二要因理論とは?

ハーズバーグの二要因理論とは、
従業員の仕事の満足度には、「満足」に関わる要因「不満足」に関わる要因があり、
この両方を満たすことで、モチベーション高く働くことができるとうものです。

ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるというものではなく、
満足に関わる要因=「動機付け要因」と、不満足に関わる要因=「衛生要因」があり、
離職を予防していくためには、それぞれに別々のアプローチが必要だということです。

動機付け要因

「動機付け要因」とは、仕事の満足に関わる要素です。
例えば、「仕事の上での達成」「上司や周囲からの承認」「仕事そのもの価値」
「責任」「昇進」「成長」などです。

簡単な言葉でいうと、「やりがい」です。

この「動機付け要因」は、ないとすぐに不満に繋がるというものではありませんが、
あればあるほど自らの欲求は満たされ、仕事の対しての満足度が上がります。

結果、前向きに仕事に取り組めたり、モチベーションも高く保つことができ、
仕事の生産性やパフォーマンスの向上に繋がります。

衛生要因

「衛生要因」とは、仕事の不満足に関わる要素です。
例えば、「給与」「福利厚生」「経営方針・管理体制」「同僚や上司との人間関係」などです。

簡単な言葉でいうと、「働きやすい環境」です。

この「衛生要因」は、満たされているからといって、満足に繋がるものではなく、
満たされていないと不満に感じるものだと言われています。
衛生要因が満たされていないと、不満が大きくなり、離職に繋がりやすくなります。

動機付け要因と衛生要因の関係性

「動機付け要因」と「衛生要因」は、対立するものではなく、
互いに補いあうものであり、どちらが欠けても、満足度の高い職場は作ることはできません。

「動機付け要因」と「衛生要因」を、同時に高めていくことができれば理想ですが、
たいていのケースはうまくいきません。

まず、取り組まなければならないのは、「衛生要因」の充実です。
働きやすい環境が整っていないと、やりがいは生まれにくいと言われいます。

介護現場は比較的やりがいを感じやすい職場だと言われていますが、
どれだけやりがいがあっても、

給与が安くて生活していけない…
残業や休日出勤が多く、体力的に限界…
休み希望を入れることができない…
相談できる上司がいない…
人間関係が悪く、精神的にきつい… など…

働く環境が悪ければ、どれだけやりがいの話をされても、
仕事を継続していくことは難しくなります。

介護現場の離職理由

改めて介護現場の離職理由をみてみると、

トップ5
1位「職場の人間関係の問題」
2位「結婚、出産、妊娠、育児」
3位「理念や運営に対する不満」
4位「将来の見込みがたたない」
5位「他によい職場があった」

全て、不満足につながる「衛生要因」であることがわかります。

介護現場では、しきりにやりがいの話がされますが、
やりがいだけで、職員をつなぎとめることは非常に困難です。

これからの介護事業所の経営者・管理者は、
まず、「職員の働きやすい環境」を作り出すことを考え、実現していく必要があります。

一定水準の働きやすい環境を越えなければ、
どれだけ、やりがいのある職場だったとしても、職員は辞めていきます。

介護現場の離職率を下げるための3つの具体的対策

業務の効率化を図る

まず、現場業務の効率化を図り、職員に少しでも余裕を持たせることが大切です。

心身に余裕がないと、新しいことに取り組む意欲が生まれてきません。
どれだけ理想を語っても、現実とのギャップにやる気を失ってしまいます。

私も、さまざまな介護施設をみさせていただきましが、
介護現場はとても無駄な業務が多いところであると感じています。


しかし、そこに疑問を持つ方も少なく、
「前からずっとこうしている」という理由で継続している業務も多いのではないでしょうか。

まずは、現在行っている業務で省けるところや、
効率化が図れるそうなところをピックアップし、
新たに取り組みができるところはないか、全員で意見を出し合ってみてください。

例えば、

✓無駄な業務や会議の統廃合
✓5S(整理整頓)の徹底
✓ICT化(記録や申し送り)
✓業務の役割分担の明確化
✓手順書の作成
✓申し送りのやり方       など…

普段の行っている業務に疑問を持ち、

「本当にやる必要がある業務なのか」、「もっといいやり方があるのではないか」と、
いう視点を持つことが大切です。

理念を共有・浸透させる

強い組織を構築するにあたり、「理念」や「方針」など、目指すべきところの共有はとても重要です。

介護事業所においては、ほとんどのところが「理念」や「方針」を掲げてありますが、
残念ながら、”お飾り”になってしまっているところも多いのが現状です。

理念は、事業所の価値観や判断基準となるものです。

これがしっかり浸透していれば、施設運営における判断軸となり、
現場での人間関係のトラブルの軽減にも繋がります。

日々時間に追われる状況だとは思いますが、
理念について、ディスカッションやブレインストーミングなど、
定期的に行う時間を持つことができれば、かなり浸透力が高まるでしょう。


現場のサービス担当者会議などのレベルで、理念が飛び交うのが理想です。

教育体制を整える

介護現場においては、教育(人材育成)がないがしろになってしまっているところが多いです。
そもそも、教育プログラム自体がないなんて事業所もあるのではないでしょうか。
数回、先輩職員について業務に入り、あとは1人でよろしく…

現場が忙しいことは、百も承知ですが、やはりここに力を入れないと、
定着率は上がっていきません。

介護業界の3年以内の離職率は、6割を超えています。
教育だけが原因ではありませんが、かなり大きな要因となっていることは確かです。

また、新人、リーダー、管理者など、カテゴリ別の教育が重要です。
キャリアパスの運用も含めて、将来の見込みを職員に提示してあげることで、
目指すべきところが明確となり、離職予防に繋がります。

まとめ

介護事業所は、淘汰の時代がはじめまっています。
利用者からだけでなく、職員からも選ばれる事業所作りが求められます。

勝ち残っていくためには、従業員満足度(ES)の向上が必須になります。

職員が何に満足を感じ、何に不満を感じているのか、
「動機付け要因」「衛生要因」この二つの視点を持っていただき、
人が辞めない組織、人が働きたいと思える組織作りができれば、
離職率低下につながります。

また、現場業務の効率化、理念共有など、具体的な取り組みも紹介させていただきました。

ぜひ、経営者・管理者を中心に、現場職員を巻き込み取り組んでいただくことをおススメします。

最後に弊社では、「離職率改善」「採用強化」「現場職員強化」などのコンサルティングメニューがあります。
また、有料級のレポートを無料でダウンロードしていただくこともできます。
ぜひ、ご覧下さい。

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監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。