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LIFEの運用開始以降、ほぼすべての介護事業所に関係する重要加算となった「科学的介護推進体制加算」。
しかし現場では、算定要件・家族説明・提出忘れなど、実務面で不安の声が多いのが実情です。
本記事では、専門家のアドバイスを含めて、制度の基本から運営指導対策まで、経営者・管理者向けにわかりやすく解説します。
この記事でわかること

科学的介護推進体制加算とは、利用者の状態やケア内容のデータを国のシステム(LIFE)へ提出し、その情報を活用してケアの質向上に取り組んでいる事業所を評価する加算です。
2021年度の介護報酬改定で創設され、2024年度改定でも重要性がさらに高まりました。
これまでの介護は、職員の経験や勘に頼る部分が大きく、事業所ごとにケアの質にばらつきが出やすいという課題がありました。
そこで国は、
を推進するため、この加算を創設しました。
LIFEとの関係とは?
この加算の最大の特徴は、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出が必須 である点です。
事業所は利用者の情報をLIFEへ提出し、国からフィードバックを受けてケア改善に活用します。
この「提出 → 分析 → 改善」のサイクルを回すことで、科学的介護を実践している事業所として評価され、加算算定が可能になります。
参考:科学的介護情報システム(LIFE)について(厚生労働省)
科学的介護推進体制加算には加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の2種類があり、LIFEへのデータ提出とフィードバック活用のレベルによって評価が分かれています。
どちらも月ごとに算定できる加算であり、多くの介護サービスで算定可能な基本加算の一つとなっています。
経営面では安定収益に直結するため、確実に理解しておくことが重要です。
単位数:40単位/月(1利用者あたり)
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)は、LIFE活用の「基本段階」と位置づけられています。
主なポイントは、必要な利用者データをLIFEへ提出する体制を整えていることです。
この加算は、次のような事業所に適しています。
ただし重要なのは、提出のみで終わらせないことです。
現在の運営指導では、加算Ⅰでも「活用の姿勢」が確認される傾向が強くなっています。
単位数:60単位/月(1利用者あたり)
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)は、LIFE活用の「発展段階」です。
加算Ⅰに加え、フィードバックをケア改善に活用していることが求められます。
具体的には、以下のような運用が必要になります。
つまり加算Ⅱは、単なるデータ提出ではなく、科学的介護のPDCAサイクルを実際に回している事業所を評価する加算です。
経営視点では、可能な限り加算Ⅱの算定を目指すことが推奨されます。単位数が高いだけでなく、運営指導対策としても評価されやすいためです。
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科学的介護推進体制加算は「ⅠとⅡどちらも算定できる」制度ですが、実務では自事業所はどちらを選ぶべきかで悩むケースが非常に多くあります。
無理に加算Ⅱを目指して運用が崩れてしまうのも問題ですし、加算Ⅰのまま長期間とどまるのも経営上はもったいない判断になりかねません。
ここでは、事業所の運用体制やLIFE活用状況を踏まえ、どちらを算定すべきかの判断基準を整理していきます。
| 項目 | 科学的介護推進体制加算Ⅰ | 科学的介護推進体制加算Ⅱ |
|---|---|---|
| 単位数 | 40単位/月 | 60単位/月 |
| LIFEデータ提出 | 必須 | 必須 |
| フィードバック活用 | 努力義務 | 必須 |
| ケア会議での共有 | 推奨 | 必須 |
| ケアプラン反映 | 推奨 | 必須 |
| 運営指導評価 | 基本レベル | 高評価 |
| 算定難易度 | 低 | 中 |
| 推奨度 | 〇 | ◎ |
科学的介護推進体制加算は、結論から言うと最終的には加算Ⅱの算定を目指すべき加算です。
ただし、すべての事業所が最初からⅡを算定できるわけではありません。重要なのは、現在の体制に合わせて現実的なステップで判断することです。
まず確認すべきは、LIFE運用の成熟度です。
次のような場合は、無理にⅡを目指すよりもⅠからのスタートが現実的です。
この段階では、提出漏れを防ぐ体制づくりが最優先です。提出忘れによる返還リスクを防ぐ意味でも、まずは確実に算定できる加算Ⅰから始めるのが安全です。
一方、以下の状態であればⅡの算定を積極的に検討すべきです。
この段階の事業所は、少しの運用整備でⅡへ移行できる可能性が高いと言えます。
科学的介護推進体制加算は、単位数の差(40→60単位)以上に、運営指導対策としての意味合いが大きい加算です。
そのため、
という段階的な考え方が、最も現実的で失敗しない判断基準となります。
専門家の声すでに科学的介護推進体制加算Ⅰを算定できている事業所は、加算Ⅱまであと一歩の状態と言えます。
実際の支援現場でも、加算Ⅰ算定事業所の多くは「フィードバック活用の記録整備」を行うだけで加算Ⅱへ移行できています。
特に重要なのは、
・サービス担当者会議でLIFEフィードバックを共有する
・ケアプランへ反映した記録を残す
この2点です。
逆に言えば、この部分が整備されていないまま加算Ⅱを算定すると、運営指導で指摘を受ける可能性が高くなります。加算Ⅰを算定している今こそ、計画的に加算Ⅱへの移行準備を進める絶好のタイミングです。


科学的介護推進体制加算は、単にLIFEへデータを提出するだけで算定できる加算ではありません。
データ提出・活用・記録の3つが揃って初めて算定できる加算です。
特に運営指導では、この章の内容が重点的に確認されます。算定している場合は、必ず自事業所の運用と照らし合わせて確認しておきましょう。
最も基本となる要件が、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出です。
提出が必要な主な情報例
提出タイミング
そして実務上もっとも重要なのが、提出期限の管理です。
LIFEへのデータ提出は「サービス提供月の翌月10日まで」が原則となっており、提出漏れは算定不可となります。
加算Ⅱを算定する場合、LIFEから返却されるフィードバックを活用することが必須です。
活用として認められる例
ここで重要なのは、活用している事実を記録として残すことです。
運営指導では、口頭説明ではなく「記録の有無」で判断されます。
科学的介護推進体制加算の本質は、PDCAサイクルの実施です。
この流れが回っていることが求められます。
つまりこの加算は、「提出 → 活用 → 改善 → 記録」という一連の運用ができているかを評価する加算なのです。介護施設でも目標を立てて、改善に向けた絶え間ない努力は不可欠といえます。このような行いは運営の改善という本質的な部分以外にも、加算として反映されますので、やらない手はないのではないでしょうか。
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科学的介護推進体制加算を算定するうえで、見落とされがちですが非常に重要なのが家族への説明と同意取得です。
LIFEでは利用者の状態やケア内容などの情報を国へ提出するため、個人情報の取り扱いに関する説明責任が発生します。
運営指導でも確認されるポイントの一つです。
LIFEへ提出する情報には、利用者の心身状態や生活状況などの重要な個人情報が含まれます。
そのため、事業所は事前に利用者・家族へ目的を説明し、理解を得る必要があります。
説明すべき主な内容
ポイントは、「なぜ情報提供が必要なのか」をわかりやすく伝えることです。
厚労省は同意書の様式を定めていませんが、同意取得の事実が確認できることが重要です。
実務で多い方法
特に運営指導では、説明した証拠書類の有無が確認されます。
記載例
当事業所は、科学的介護推進体制加算の算定に伴い、利用者の状態やケア内容に関する情報を厚生労働省のLIFEへ提出します。提出された情報は統計的に処理され、介護の質向上のために活用されます。
このように、簡潔でもよいので文書として残しておくことが重要です。



介護コンサルタントとして多くの業界関係者からヒアリングを重ねてきましたが、運営指導で「家族説明の記録がない」と指摘されるケースは少なくありません。
LIFE提出の運用が整っていても、同意取得が確認できない場合は算定根拠が弱くなる可能性があります。
提出体制と同じくらい、説明体制の整備も重要なポイントです。
科学的介護推進体制加算(特に加算Ⅱ)では、LIFEのフィードバックをケアプランへ反映していることが重要な算定要件となります。運営指導でも「ケアプランに科学的介護の視点が記載されているか」は必ず確認されるポイントです。
ここでは、実務で使える記入例とNG例を紹介します。
ケアプランには、単に「LIFEを活用」と書くだけでは不十分です。
LIFEのフィードバックを踏まえ、どのようにケアを改善したかを具体的に記載する必要があります。
記載の基本要素
記載例①(ADL改善)
LIFEフィードバックにより歩行機能の低下傾向が確認されたため、ADL維持向上を目的として週3回の歩行訓練を実施する。
記載例②(栄養改善)
LIFEの栄養評価結果を踏まえ、低栄養リスク軽減のため栄養補助食品の提供を開始する。
記載例③(口腔機能)
LIFEフィードバックを基に口腔機能低下のリスクが示されたため、口腔体操を毎日実施する。
次のような記載は不十分と判断される可能性があります。
NG例
LIFEを活用してケアを行う。
NG理由
ケアプラン記載とあわせて、以下の記録も整備しておく必要があります。
これらが揃って初めて、LIFEフィードバック活用の証拠として評価されます。



運営指導の現場で特に多い指摘が、「LIFEを活用しているはずなのに、ケアプランに痕跡がない」というケースです。
実際にはフィードバックを確認していても、ケアプランへ反映した記録がなければ、活用しているとは判断されません。
現場支援では、「LIFEフィードバックを確認したら必ずケアプランへ一文追加する」というルール化をおすすめしています。わずかな記載でも、運営指導では大きな差になります。
科学的介護推進体制加算で最も多いトラブルが、LIFEデータの提出忘れです。
提出漏れは単なる事務ミスでは済まず、加算返還や過誤調整につながる重大リスクとなります。
実際の運営指導でも、提出管理体制は必ず確認されるポイントです。
LIFEデータ提出には明確な期限があります。
提出期限
つまり、提出が1か月でも遅れるとその月の加算は算定できません。
また、提出忘れに気づいた場合でも、後から提出すれば算定できるわけではない点に注意が必要です。
提出漏れが発覚した場合、次の対応が必要になる可能性があります。
特に複数月にわたる提出漏れは、経営上の損失が大きくなる可能性があります。
提出忘れは、仕組み化でほぼ防ぐことができます。
おすすめの管理方法
LIFE提出は「個人任せ」にすると必ず漏れが発生します。
組織として管理する仕組みづくりが必須です。



提出忘れは「忙しかった」「担当者が休みだった」という理由で起こるケースがほとんどです。
しかし運営指導では、理由ではなく管理体制の有無が確認されます。
提出を人ではなく仕組みで管理することが重要です。
科学的介護推進体制加算は、運営指導での確認頻度が非常に高い加算の一つです。
特にLIFE関連加算は、提出・活用・記録の実態が伴っているかを重点的にチェックされます。
ここでは、実際に指摘されやすいポイントを整理します。
現場支援で実際に多い指摘は、次のとおりです。
特に多いのが、「実施しているが記録がない」ケースです。
実地指導では実施の有無ではなく、記録の有無で判断されます。
指摘を防ぐためには、証拠書類を体系的に整備しておくことが重要です。
整備しておくべき書類
これらが一つでも欠けていると、算定根拠が弱くなる可能性があります。



運営指導では「LIFEを活用していますか?」ではなく、「どの書類で確認できますか?」と質問されます。
つまり、説明できることより証明できることが重要です。日頃から証拠書類を整理しておくことが、最大の運営指導対策になります。
主な算定要件は次の3点です。
提出・活用・記録の3つが揃うことが重要です。
必要です。
LIFEへ提出する情報には利用者の個人情報が含まれるため、利用者・家族への説明と同意取得が求められます。
重要事項説明書への記載や同意書の整備が推奨されます。
違いはLIFEフィードバック活用の義務です。
今後は加算Ⅱが主流になると考えられています。
科学的介護推進体制加算は、LIFEの活用を前提とした「これからの介護経営の基礎加算」と言える存在です。単なる加算ではなく、科学的介護への移行を評価する制度として位置づけられています。
本記事のポイントを整理します。
特に現在は、提出から活用へと制度の方向性が明確に変わっています。今後の介護報酬改定を見据えても、早い段階から加算Ⅱの運用体制を整備しておくことが、安定経営の大きなポイントになります。
一方で、LIFE運用や記録整備、運営指導対策に不安を感じている事業所も多いのが現実です。
「加算は算定しているが運営指導が不安」「提出管理や記録整備に自信がない」という場合は、外部の専門支援を活用することも有効な選択肢です。
当社では、運営指導対策に特化した支援サービスを提供しています。
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