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同一建物減算を訪問看護に適用するには?1と2の違いなど詳細解説

同一建物減算

訪問介護における同一建物減算は、事業所の効率性を報酬に反映させる仕組みですが、算定要件が複雑で多くの経営者が頭を抱える論点です。

本記事では、減算の対象となる条件や区分、判定期間の考え方を網羅的に示します。
「うちの事業所は減算の対象になるのか?」「集合住宅へのサービス提供で損をしないためにはどうすればよいか?」という疑問を、専門家 片山海斗のアドバイスを含めて、実務レベルで解消します。

この記事でわかること

  • 訪問介護における同一建物減算について
  • 同一建物減算1と2の違い
  • 経営目線で同一建物減算をメリットにする考え方
目次

訪問介護の同一建物減算とは?制度の目的と基本構造

同一建物減算のイメージ

同一建物減算は、事業所と同一の建物や近接する建物の居住者にサービスを提供する場合、移動時間や効率性が向上することを理由に報酬を減額する仕組みです。

事業所を運営していると、移動時間がかからない効率的なサービス提供は魅力的ですが、その分だけ報酬が下がる仕組みには複雑な思いがあるかもしれません。まずは制度の土台を正しく理解しましょう。

効率的なサービス提供を報酬に反映させる仕組み

訪問介護における同一建物減算は、介護従事者が移動に要する時間やコストを抑えられる場合に、その効率性を評価して報酬を調整するために設けられています。具体的には、事業所と同じ敷地内にある建物や、隣接する建物の居住者に対してサービスを行う際、通常の報酬から一定の割合が差し引かれます。

専門的な視点で見ると、この制度は「公平性」を担保するためのものです。遠方の利用者宅へ1件ずつ移動する事業所と、一つの建物内で次々とサービスを提供する事業所とでは、コスト構造が大きく異なります。この差を埋めるために、平成12年の制度開始以降、段階的に強化されてきた背景があります。

介護関連では、同一建物減算だけでなく、介護報酬の減算にもあるように、減算にあたってさまざまな制度があるので、細部までルールを把握しておくことは非常に重要です。

同一建物減算の種類と減算率の基本

減算には、大きく分けて「10%減算(50単位減算)」と「15%減算」の区分が存在します。

  • 10%減算(50単位減算):事業所と同一敷地内、または隣接する敷地内の建物に居住する利用者にサービスを提供する場合。
  • 15%減算:上記以外の建物であっても、一ヶ月に当該建物に居住する利用者が50人以上いる場合。

例えば、有料老人ホームに併設された訪問介護事業所が、そのホームの入居者にサービスを提供すれば、原則として減算の対象となります。運営指導の現場では、「隣接する敷地」の定義について、公道を挟んでいる場合や所有者が異なる場合に判断を誤り、過誤調整(過去の請求のやり直し)を求められるケースが少なくありません。

同一建物減算を経営戦略に組み込む|メリットとデメリットの再考

訪問介護経営において「減算」という言葉はネガティブに捉えられがちですが、経営者の視点に立つと、同一建物内でのサービス提供は非常に高い事業効率を秘めています。単価の減少を「必要経費」と割り切り、それ以上のリターンをどこに見出すかが経営の鍵となります。

メリットデメリット
移動コスト(非生産時間)の極小化による利益率の向上
スタッフの定着率向上と採用コストの抑制
緊急時の対応迅速化によるサービス品質の差別化
オペレーションの集約化による管理業務の効率化
ドミナント戦略による地域シェアの早期確立
制度改正による報酬引き下げ(減算幅拡大)の直撃リスク
特定物件への依存による事業継続リスク(一蓮托生の状態)
スタッフのスキル偏重と外部対応力の低下

同一建物減算の経営的メリット

同一建物内でのサービス提供における最大のメリットは、移動に伴う「非生産時間」をほぼゼロにできる点です。通常の訪問介護では、移動中の人件費やガソリン代、車両維持費が発生しますが、同一建物内であればこれらが不要になります。たとえ報酬が10%〜15%減算されたとしても、移動時間をケアの時間に充てることで、一人当たりの稼働率を最大化でき、結果として一件あたりの利益額が外部訪問を上回ることが多々あります。

また、現場スタッフにとっても「移動の負担がない」「天候に左右されない」「困ったときにすぐに仲間に相談できる」という環境は大きな魅力です。これが精神的なゆとりを生み、離職防止につながるだけでなく、採用市場においても「移動なしの訪問介護」という強い訴求力を持つようになります。経営者にとっては、高騰する採用コストを抑えられる副次的な効果も見逃せません。さらに、同一建物内に多人数が居住していることで、緊急時の駆けつけが容易になり、利用者家族からの信頼獲得という無形の資産も積み上がります。

同一建物減算の経営的デメリット

デメリットとして最も警戒すべきは、政策動向によるリスクです。令和6年度の改定で「12%減算」が新設されたように、国は「囲い込み」に対して厳しい姿勢を強めています。同一建物への依存度が高いほど、次期改定でさらなる減算が適用された際の経営インパクトは計り知れません。また、提携しているサ高住や有料老人ホームの入居率が低下したり、建物オーナーとの関係が悪化したりした場合、事業所全体の売上が一気に崩壊する「一蓮托生」のリスクを孕んでいます。

加えて、特定の建物内だけで完結する業務に慣れすぎると、スタッフが本来の訪問介護に必要な「地域リソースの活用」や「多種多様な住環境への適応力」を失ってしまう懸念もあります。経営者は、効率を追求しつつも、一部で外部の利用者を受け入れるなど、リスク分散とスタッフのスキル保持のバランスを常に意識する必要があります。

専門家の声

このように、同一建物減算は単なるペナルティではなく、効率的なビジネスモデルを選択したことに対する「調整」と捉えるべきです。
経営上の不透明なリスクを最小限に抑え、確実な利益を積み上げるためには、最新の制度変更に即座に対応できる管理体制が欠かせません。
プロケアDXは、こうした複雑な減算計算や割合管理を自動化し、経営者が「攻めの判断」に集中できる環境を提供します。効率化の先にある、真に質の高い介護経営を一緒に目指していきましょう。

訪問介護の同一建物減算の対象となる建物と条件

減算の対象は、単に「同じ建物」だけではありません。敷地が隣接しているか、あるいは特定の人数以上の利用者が住んでいるかによって判断が分かれます。

どの建物が減算の対象になるのかを見極めることは、収支計画を立てる上で最も重要な作業です。自治体によって解釈が分かれることもあるため、慎重な確認が必要です。

同一敷地内建物と隣接敷地内建物の定義

「同一敷地内」とは、構造上の一体性がある場合だけでなく、同一の敷地内に複数の建物が点在している場合も含みます。また、「隣接敷地内」とは、道路一つを挟んで向かい合っている場合や、角地で接している場合などが該当します。

厚生労働省の告示では、以下のように規定されています。

指定訪問介護事業所の所在する建物と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物若しくは指定訪問介護事業所と同一の建物(以下この注において「同一敷地内建物等」という。)に居住する利用者(指定訪問介護事業所における1月当たりの利用者が同一敷地内建物等に50人以上居住する建物に居住する利用者を除く。)又は指定訪問介護事業所における1月当たりの利用者が同一の建物に20人以上居住する建物(同一敷地内建物等を除く。)に居住する利用者に対して、指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の90に相当する単位数を算定し、指定訪問介護事業所における1月当たりの利用者が同一敷地内建物等に50人以上居住する建物に居住する利用者に対して、指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の85に相当する単位数を算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める基準に該当する指定訪問介護事業所が、同一敷地内建物等に居住する利用者(指定訪問介護事業所における1月当たりの利用者が同一敷地内建物等に50人以上居住する建物に居住する利用者を除く。)に対して、指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の88に相当する単位数を算定する。

出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省)

この文言にある「隣接する敷地」については、実務上、経済的・組織的に一体的な運営が行われているかどうかが重視されます。「たとえ地番が分かれていても、実態として一つの施設として管理されているなら、隣接とみなされる可能性が極めて高い」という指摘があります。

50人以上の居住者がいる建物への対応

事業所から離れた場所にある建物であっても、特定の建物に多くの利用者が集中している場合は、移動の効率性が高いと判断されます。

具体的には、同一の建物に居住する利用者が1ヶ月あたり50人以上(区分支給限度基準額の管理対象外の利用者を含む)いる場合、その建物に住む全員に対して15%の減算が適用されます。大規模なサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や、住宅型有料老人ホームにサービスを提供している事業所は、毎月の利用者数を厳密に管理しなければなりません。

運営指導では、「50人のカウントに自費サービスの利用者は含まれるのか?」という質問がよく出ます。結論として、介護保険給付の対象となる訪問介護の利用者数で判定します。ただし、同一建物内に複数の訪問介護事業所が入っている場合、それぞれの事業所ごとに判定を行う点に注意してください。

同一建物減算の計算方法と12%減算(新設区分)の理解

同一建物減算の理解ポイントのイメージ

令和6年度の介護報酬改定により、同一建物減算に新たな区分が加わりました。特に「12%減算」は、多くの事業所に影響を与える重要な変更点です。

制度が変わるたびに計算が複雑になり、請求業務の負担が増えるのは現場の大きな悩みになり得ます。新設された区分の意図を汲み取ることが、適切な運営への第一歩です。

令和6年度改定で追加された12%減算の要件

これまで10%(50単位)と15%の二段階だった減算に、新たに「12%」という区分が新設されました。これは、同一建物に居住する利用者が一定人数(具体的には20人以上50人未満)である場合、または特定の割合(集中割合)が高い場合に適用されるものです。

具体的には、判定期間(半年間)において、事業所の利用者のうち、同一建物に居住する利用者の占める割合が90%を超えている場合、12%減算が適用されます。これは、特定の建物(囲い込み)に特化した運営を行っている事業所に対し、より厳しい評価を下す意図があります。

専門家の声

これまでの50単位減算(約10%)から12%への引き上げは、実質的な報酬引き下げであり、特に20人〜50人規模のサ高住を主戦場とする事業所には大きな打撃となります。

減算額の算出と端数処理の注意点

減算は、基本報酬(身体介護や生活援助の単位数)に対して行われます。加算(処遇改善加算など)を計算する前の段階で、基本報酬から所定の割合を差し引くのがルールです。

計算式は以下のようになります。

算定単位数=基本報酬単位数×(1ー減算率)

例えば、身体介護30分以上60分未満(396単位)で10%減算が適用される場合、396単位から39.6を引くのではなく、端数処理の規定に従って算出します。介護報酬の計算では、原則として1単位未満は四捨五入(または切り捨て、通知による)となりますが、多くのレセプトシステムでは自動計算されます。しかし、手計算でシミュレーションを行う際は、厚生労働省の「介護給付費単位数等サービスコード表」を必ず参照してください。

[訪問介護における同一建物減算の算定構造表]

区分対象建物の条件減算率備考
同一建物減算1・同一敷地内・隣接敷地内(20人以上)
・前6ヶ月間において、その建物に居住する利用者に対するサービス提供の割合が、全サービス提供件数の90%未満であること
10% (50単位)従来の基本区分
同一建物減算2同一建物等に50人以上居住15%大規模建物向け
同一建物減算3・同一敷地内・隣接敷地内(20人以上)
・前6ヶ月間において、その建物に居住する利用者に対するサービス提供の割合が、全サービス提供件数の90%以上であること
12%令和6年度新設

この表は、建物の条件と居住人数に応じた減算率の違いを整理したものです。

同一建物減算1と2の違い|判定基準の分かれ目

「うちは10%(50単位)だと思っていたら、実は12%の対象だった」という誤解が、令和6年度以降の運営指導で最も懸念されるポイントです。

同じ「同一建物」への訪問であっても、これからは建物の規模や利用者の集中度合いによって、引かれる額が変わります。この「1」と「2」の境界線を正しく見極めることが、収支管理の生命線となります。介護コンサルタントにもこの点については、多くの方から質問が寄せられる点ですので、事前に文面で確認しておくと理解しやすいでしょう。

居住人数と「集中割合」による区分の違い

同一建物減算1(10%または50単位減算)と同一建物減算2(12%減算)の最大の違いは、「建物の規模(人数)」「事業所全体の利用者における占有率」にあります。

  • 同一建物減算1(従来からの基本区分)
    • 同一敷地内や隣接敷地内の建物に住む利用者が、1ヶ月あたり20人未満の場合。
  • 同一建物減算2(令和6年度新設)
    • 同一の建物に住む利用者が、1ヶ月あたり20人以上50人未満の場合。
    • または、建物の人数に関わらず、事業所の全利用者のうち、その建物に住む人が90%以上を占める場合。
専門家の声

これまでは人数が少なければ一律で50単位減算という分かりやすい基準でしたが、今後は『事業所全体でどれだけその建物に依存しているか』という割合(90%ルール)が加わったため、外部利用者が少ない事業所ほど、2の区分に該当しやすくなります。

現場で起きやすい「算定ミス」の境界線

運営指導の現場では、この人数のカウントにおいて「事業所側の都合の良い解釈」が指摘される一コマがよく見られます。

例えば、一つの大きな敷地の中にA棟とB棟がある場合、それぞれ15人ずつだから「減算1(20人未満)」だと判断していたところ、行政から「敷地が同じなので合算して30人とみなす。よって減算2である」と指摘されるパターンです。

物理的な「一つの建物」だけで判断せず、敷地の一体性から人数を算出することが、行政に指摘されにくい証拠の残し方の鉄則です。経営判断のヒントとして、20人前後の利用者がいる物件を複数抱えている場合は、合算リスクを考慮した上で、減算1に収まるのか、あるいは減算2を受け入れて効率を追うのかを事前にシミュレーションしておく必要があります。

判定期間と届出のスケジュール|正しく報告するための手順

減算の判定は毎月行うものではなく、半年ごとの実績に基づいて決定されます。この期間を間違えると、不正請求とみなされるリスクがあるため注意が必要です。

「いつからいつまでの実績を見ればいいのか?」というスケジュール管理は、事務方の重要なタスクです。期限ギリギリになって慌てないよう、余裕を持って準備しましょう。

前期・後期の判定期間と適用期間(令和7年度以降)

同一建物減算(特に集中割合による判定)は、以下のサイクルで判定と適用が行われます。

  • 前期:判定期間(3月31日〜8月31日)→ 提出期限 9月15日 → 適用期間(10月1日〜翌年3月31日)
  • 後期:判定期間(9月1日〜翌年2月末日)→ 提出期限 3月15日 → 適用期間(4月1日〜9月30日)

この期間中に、当該事業所の全利用者のうち、特定の建物に居住する利用者が何名いたか、あるいは割合が何%だったかを計算します。

運営指導では、「判定期間中に利用者が入院してサービスがなかった月はどうカウントするのか?」という点がよく議論になります。厚生労働省のQ&Aによれば、「当該月に1回でもサービス提供の実績があれば、1人としてカウントする」とされています。逆に、1ヶ月間一度もサービスを提供しなかった利用者は、その月の分母・分子には含めません。

変更があった場合の変更届出書(体制届)の提出

判定の結果、減算の区分が変わる場合や、新たに減算に該当することになった場合は、管轄の自治体へ「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」を提出しなければなりません。

提出を忘れた場合、本来減算すべきところを通常単価で請求し続けることになり、後から多額の返還を求められることになります。行政から指摘されやすいパターンとして、「判定期間の途中で新しいサ高住との契約が始まったが、次回の判定時期まで報告を怠っていた」という事例があります。判定期間外であっても、明らかに状況が変わる場合は速やかに自治体へ相談することが、行政に指摘されにくい証拠の残し方(適正な運営の証明)に繋がります。

実務で迷う「同一建物」の境界線と例外規定

道路を挟んだ向かいのマンションは「隣接」なのか?同じ法人が運営していれば「同一」なのか?実務上の境界線は非常に曖昧です。「これって減算対象ですか?」という質問は、介護経営ラボにも多く寄せられます。画一的な判断が難しいからこそ、現場の知恵と正確な知識が求められます。

隣接敷地とみなされるケース、みなされないケース

「隣接する敷地」の判断基準は、実態として「一体的な運営」がなされているかどうかです。例えば、以下のようなケースは隣接とみなされる可能性が高いです。

  • 事業所と利用者の居住する建物が、フェンスや生垣を隔てて接している。
  • 専用の連絡通路で結ばれている。
  • 法形式上の所有者は異なるが、実質的な支配権を持つ法人が同一である。

一方で、間に他人の所有地や広い公道があり、迂回しなければ到達できないような場合は、隣接とはみなされません。ただし、自治体によっては「直線距離で何メートル以内」といった独自基準を設けている場合があるため、必ず所在地の指定権者(市町村等)の手引きを確認してください。

離島・中山間地域における特例(減算の除外)

効率性が低い地域においては、同一建物であっても減算を適用しない特例があります。厚生労働省が定める「離島、奄美群島、小笠原諸島、沖縄諸島」などの特別地域に所在する事業所や、中山間地域等でサービスを提供する場合、減算が免除、あるいは緩和されることがあります。

これは、人口密度が低く、効率的な運営が困難な地域での事業継続を支援するための措置です。経営判断のヒントとして、中山間地域での多角化を検討する際は、こうした加算や減算の特例を織り込んだ収支シミュレーションを行うことが不可欠です。

運営指導で狙われる!同一建物減算の不備と対策

運営指導(実地指導)において、同一建物減算の計算ミスや届出漏れは、最も返還金額が大きくなりやすい項目の一つです。

「うちは大丈夫」と思っていても、細かい計算ミスが積み重なると、数百万円単位の返還に発展することもあります。現場のリアルな一コマを知り、自社のチェック体制を見直しましょう。

行政から指摘されやすいパターンと過誤請求

運営指導でよくある指摘事項に、「利用者数のカウントミス」があります。特に、区分支給限度基準額を超えて自費で利用している分を、減算の判定から除外してしまうミスが目立ちます。

例えば、『指定訪問介護事業所の利用者の総数には、区分支給限度基準額を超えること等により、全額自己負担でサービスを利用している方』も、カウント対象になります。
保険給付の範囲内かどうかにかかわらず、その事業所と契約し、実際にサービスを提供した人はすべてカウント対象となります。

このように、全額自費利用者もカウント対象であることを失念していると、50人の境界線を見誤り、15%減算すべきところを10%で請求してしまうといった事態を招きます。

行政に指摘されにくい証拠の残し方

行政の調査に対して、「正しく判定しています」と胸を張って言える状態を作るには、判定過程の可視化が重要です。

  1. 判定シートの作成:毎月、建物ごとの利用者数と事業所全体の利用者数を集計したエクセルシートを保存しておく。
  2. 住所確認の徹底:新規利用者の契約時に、住宅型有料老人ホームやサ高住に該当するかを確認し、その住所が「同一敷地内」等の定義に当てはまるか、ゼンリン地図などの公的な地図資料を証拠として添付しておく。
  3. 算定理由の記録:減算を適用しない(離島特例など)場合は、その根拠となる法令のコピーをファイルに綴じておく。

ある運営指導の現場では、「なぜこの建物が隣接に当たらないと判断したのか」と問われた際、周辺の土地所有図と公図を提示して説明したことで、指摘を回避できた事例(匿名)があります。客観的な資料こそが最大の防御となります。

経営判断のヒント|減算リスクを利益に変える戦略

減算は単なる「マイナス」ではありません。減算があるからこそ、その中でどう利益を確保するかという経営戦略が重要になります。

「減算されるなら、同一建物の利用者は受けたくない」という極端な考えは、機会損失を招くかもしれません。効率性と単価のバランスを、データに基づいて判断しましょう。

効率的なルート配送と稼働率の最適化

減算が10%〜15%あったとしても、移動時間がゼロであれば、ヘルパー1人あたりの1日の提供件数は格段に増えます。

例えば、移動に往復30分かかる外部の利用者へのサービス1件と、移動時間のない同一建物内のサービス2件を比較した場合、後者の方が単位数(利益)の合計が高くなるケースは多々あります。

専門家の声

減算を嫌って広域に手を広げすぎると、ガソリン代や車両の維持費、そして何よりヘルパーの移動中の労働時間(非生産時間)が増大し、経営を圧迫しやすいです。ドミナント戦略(特定地域への集中出店)をとるなら、減算は必要経費と割り切り、回転率で勝負すべきです。

ICTツールを活用した計算と管理の自動化

手動でのカウントやエクセル管理は、ヒューマンエラーのリスクを常に抱えています。特に、令和6年度改定で「12%減算」や「集中割合」といった複雑な要素が加わった今、人の目だけでチェックするのは限界があります。

プロケアDXのような専門的な管理ツールを導入することで、住所データから自動的に同一建物の判定を行い、毎月の請求に正しく反映させることが可能になります。

運営指導対策としても、システム上で判定根拠がログとして残っていることは、行政に対する強力な信頼の証となります。事務作業を減らし、本来のケアや経営改善に時間を割くことが、これからの訪問介護経営には求められています。

まとめ

訪問介護の同一建物減算について、重要なポイントを整理しました。

  • 同一建物減算の基本:同一敷地内や隣接敷地内の居住者に提供する場合、10%(50単位)の減算が適用される。
  • 50人以上の大規模減算:同一建物に50人以上の利用者がいる場合は、より高い15%の減算となる。
  • 令和6年度の改定:新たに「12%減算」が追加され、居住人数が20人以上50人未満の場合や、集中割合が90%を超える場合に適用される。
  • 判定期間の厳守:前期(3〜8月)・後期(9〜2月)のサイクルで判定し、変更があれば速やかに体制届を提出する必要がある。
  • 運営指導対策:全額自費利用者も含めた正確なカウントと、判定根拠(地図や計算シート)の保管が不可欠。
  • 経営戦略としての視点:減算による単価減を、移動時間の短縮による高回転率でカバーする収支シミュレーションが重要。

訪問介護の報酬体系は年々複雑さを増し、現場の管理負担は重くなる一方です。「本当にこの請求で合っているのか?」「次の運営指導で指摘されないか?」と、常に不安を抱えながら業務にあたっている経営者様も多いことでしょう。

制度を正しく理解し、対策を講じることはもちろん大切ですが、それ以上に「仕組みでミスを防ぐ」ことが、スタッフの心を守り、事業所の安定経営、そして介護対象の方々のケアプランの質の向上にも繋がります。私たちは、頑張る訪問介護事業所の皆様が、事務作業の不安から解放され、利用者様と向き合う時間を最大化できるよう心から応援しています。

もし、日々の計算や管理に限界を感じているなら、一度プロケアDXを検討してみてください。ITの力で、あなたの事業所の経営をもっと軽やかに、もっと確実なものにできるはずです。

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