介護事業者必見!運営指導の目的とリスク対策|累計124社の指導実績から学ぶポイント

「運営指導のリスクとは」と題した専門記事のサムネイル画像。背景にはオフィスビルが写っており、上部には「運営指導の通知書が届く前に押さえておきたい」と記載されています。記事監修者として、Professional Care International株式会社 代表取締役の片山海斗氏の名前と写真が表示されています。介護事業者向けに運営指導のリスクと対策について解説する内容であることを示しています。

年間60社(累計124社)以上、運営指導を立ち会っている実績から、運営指導の概要を詳細に解説します。
また、運営指導の現場からだからこそわかる運営指導の指導事例などを徹底的に解説。
「運営指導が怖い」「どこのポイントに注意すべき?」「運営指導が違反していたらどうなる?」そんな方は必読の記事になります。

※2024/11/09時点の運営指導対策サービス提供実績社数

目次

運営指導の通知がきた!運営指導って何?

運営指導とは?

運営指導とは、介護サービスを提供する事業者が、介護保険法障害者総合支援法や基準を守って適切に運営されているかを確認する行政指導の1つです。

そもそも介護サービスは、介護が必要な方の「尊厳の保持」と「自立した日常生活の支援」を目的としており、事業者はそのために、法令や基準を守って運営することが義務付けられています。つまり、 サービスの質を確保しつつ、適正な報酬請求を行い、利用者が安心してサービスを受けられるように運営されているかが重要なのです。

原則として、運営指導は行政機関の担当者が事業所を訪問し、面談形式で運営状況を確認して、サービスや報酬請求に問題があれば、具体的な改善が求められることになります。さらに、重大な問題が発覚した場合は、監査へと進む可能性があるため、注意が必要です。(運営指導中に切り替わることもあります)

実際は、運営指導には事業者がより良い運営を続けられるようアドバイスし、サポートする役割も担っているのです。

運営指導の目的

運営指導の目的は大きく分けて2つあります。それは、「サービスの質の確保」と「保険給付の適正化」です。

介護運営指導・障害運営指導・運営指導の目的・監査を説明している画像

サービスの質の確保

介護サービスは、利用者の「尊厳の保持」と「自立した日常生活の支援」を目指して提供されるべきものです。運営指導では、利用者が安心して質の高い介護サービスを受けられるかを確認します。

具体的には、資格をもつスタッフが適切に配置され、サービス提供に必要な人数が確保されているか、ケアプランに沿ったサービスが提供されているか、また施設が清潔で、安全対策や感染症対策がきちんと行われているかなどがチェックされます。事業者が適切なケアを提供しているかなどをみているのです。

保険給付の適正化

介護保険制度は、国全体の財政と福祉を支える重要な仕組みです。しかし、事業者が不正請求や過剰請求があったり、正しく報酬を請求しなければ、制度として成り立ちません。

運営指導では、介護保険制度が健全に運営され続けることを目指し、報酬請求が適切に行われているか、保険番号や有効期限がきちんと管理されているか、必要な書類が揃っているかが確認されます。

運営指導が来たらどうしたらいい?

運営指導の通知が届いたら、まずは焦らずに落ち着いて対応することが大切です。通知内容を確認して、自己点検シートおよび事前提出資料等を確認しましょう。自己点検を行い、必要な準備を進めることが重要です。

よくある指導(返還)内容

運営指導の立会いの経験から、よくある指導項目をご紹介します。

サービス提供の基本条件

  • 訪問介護や予防サービスの提供内容が適切か
  • サービスの提供に必要な要件を満たしているか

職員の処遇改善と給与

  • 職員の賃金改善に関する計画が立てられ、実施されているか
  • 改善計画が職員に周知されているか
  • 処遇改善加算の要件に従っているか

記録と報告の管理

  • サービスの提供日時や内容が正確に記録されているか
  • 記録された情報が保管され、必要時に報告できる状態か
  • 賃金改善や業務実績の報告書が適切に提出されているか

苦情や事故対応

  • 苦情を受け付ける窓口が設けられ、迅速に対応できるか
  • 事故が発生した場合、必要な報告と再発防止策が講じられているか
  • 利用者や家族への説明がわかりやすく行われているか

職場環境と衛生管理

  • 衛生管理が徹底され、職員の健康が守られているか
  • 感染症予防策が実施されているか
  • 職場環境が適切に整えられているか

運営指導と監査の違い

「運営指導と監査の違い」を説明するイラスト。左側には「運営指導は指導が目的」と書かれた吹き出しがあり、笑顔でパソコンを使っている男性のイラストが描かれています。右側には「監査は処分するための調査」と書かれた吹き出しがあり、「返還」と書かれた紙を持つ男性のイラストが描かれています。運営指導は改善を促すアドバイスを目的とし、監査は処分を視野に入れた厳しい調査を行うという内容を視覚的に伝えています。

運営指導と混同されがちな監査とは?

よく混同されがちな運営指導と監査ですが、実はそれぞれに違う役割と内容があります。

運営指導は、事業者がきちんと運営できているかを確認し、必要があれば改善を促すためのものです。言ってみれば、事業者がより良く運営できるようにサポートするためのアドバイス的な指導です。法的な強制力はないので、事業者が自主的に協力して行うものです。

一方で、監査は、事業者が法令や基準に違反していないかを調査するものです。運営指導とは違って強制力があり、違反が見つかった場合には、業務改善命令や指定取り消しといった厳しい処分が行われる可能性があります。

運営指導は「改善を促すための指導」、監査は「問題があれば処分するための調査」という違いがあります。

厚生労働省:介護保健施設等運営指導マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/shidou/index.html

運営指導は強制じゃない!?断っても良いの?

運営指導は先ほども述べたように事業者の任意によって行われるもので、形式上は断ることも可能です。しかし、運営指導を正当な理由なく断ると、そのまま監査に移行する可能性が非常に高まります。

運営指導は、事業者が正しく運営できているかを確認し、必要な改善を促すための行政指導です。しかし、運営指導を断ると、事業者がきちんと運営できているか確認ができないため、強制力のある監査に移行し、調査を受ける可能性が非常に高くなります。監査では、事業者の運営状況を詳しく調査し、もし違反が見つかった場合には、指導ではなく、行政処分という厳しい措置が取られることがあります。違反をしていなかったとしても、運営指導を正当な理由なく断った経緯も踏まえると、調査は厳しいものになりやすいと想像できます。

いずれにしても、確認および調査を受けることになるため、運営指導を断るのではなく、積極的に対応することをオススメします。

運営指導から当日、監査に切り替わることはある?

実は、運営指導から当日、監査に切り替わることがあります。特に、重大な問題が発覚した場合や、その疑いがあるときには、運営指導を中止して即座に監査へ移行します。

「運営指導から即監査に移行する3つの違反」について説明するイラスト。左から「虚偽の報告」「請求ミス(不正請求)」「運営基準違反」の3つの項目に分かれており、それぞれ違反の内容を視覚的に示しています。虚偽の報告では電話で報告する女性、請求ミスでは下降するグラフに驚く表情の男性、運営基準違反では書類の山の前で焦る様子の男性が描かれています。運営指導が監査に切り替わるリスクを視覚的にわかりやすく伝えるイラストです。

人員や設備、運営基準に著しい違反が認められた場合、またはその疑いがある場合

これは、事業者が運営中に必要な基準を満たしていない場合に該当します。例えば、必要な人員が不足している、設備が基準に適合していないなど、運営における問題に対する違反です。違反が疑われる場合でも、事実確認のために監査が実施されます。

介護報酬請求について不正がある、またはその疑いがある場合

実際にサービスが提供されていないにもかかわらず、提供されたように装って報酬請求を行った場合や、加算の要件を満たしていないにもかかわらず、加算を請求するなど、不正な請求が疑われる場合です。

「不当」と「不正」の違いも重要です。「不当」は、意図的ではない間違いがあった場合を指します。一方で「不正」は、意図的に法令違反を行った場合です。不当な請求は過誤調整で対処されますが、不正請求は監査の結果、厳しい行政処分が下されることがあります。

不正の手段によって指定等を受けた疑いがある場合

これは、事業者がそもそも指定を受ける際に、不正な手段を用いて取得した場合に該当します。例えば、虚偽の申請書類を提出して基準を満たしているように見せかけたり、資格のないスタッフを有資格者として報告するなどのケースが含まれます。このような場合、監査が実施され、違反が確認されれば厳しい処分が行われます。

高齢者虐待などが疑われる場合

高齢者虐待は、介護保険法で最も重大な違反行為の一つとされています。虐待は、特に利用者の尊厳や安全を脅かす行為です。虐待の疑いがある場合には、すぐに対応が求められるため、運営指導を中止し、即座に監査に移行して厳重な調査が行われます。虐待が確認された場合には、厳しい行政処分の対象となり、警察への通報も行われます。

もちろん、当日、運営指導から監査に直ちに切り替わらなかった場合でも、油断は禁物です。ホワイトな運営をしているところであれば、運営指導が終わり次第、指導された部分を改善するだけで済みますが、グレーもしくはブラックな運営をしているところでは、後日監査に移行する可能性があります。例えば、運営指導中に疑わしい点や改善が不十分な部分があった場合、即座に監査に移行する必要はないとされても、後日に再度確認し、不正や違反がないかを追加で調査する必要があると判断されることがあります。このような場合、行政機関は事業者に対して監査の日程や内容を通知し、より詳しく調査が行われます。監査は事前に通知されることが多いものの、法的には事前通知が必須ではなく、場合によっては通知なしに抜き打ちで行われることもあるため、最後まで気を引き締めて対応することが重要です。

何が違反になる?もし違反していたらどうなる?

運営指導や監査の結果、事業者が何らかの違反をしている場合、指導や処分が行われます。違反の内容によっては軽い指導で済むこともありますが、重大な違反が確認されれば厳しい処分が下されます。それでは、具体的にどのような場合にどのような対応が取られるのでしょうか?

指導の場合(助言、口頭指摘、文書指導、業務改善勧告)

まず、事業者が法令や基準に違反している場合、どのような対応が取られるのかを見ていきます。運営指導では、基本的に以下のような段階で指導が行われます。

助言

助言は、法令や基準に違反していないが、将来的に適正な運営のために助言が必要だと判断される場合に行われます。例えば、事業者の質問に答えたり、もっと改善余地があるとされた場合などがこれに該当します。助言は、事業者に対して自主的な改善を促すためのアドバイスとして行われ、具体的な義務ではなく推奨される改善の提案です。

口頭指摘

口頭指摘は、運営指導の現場で行われ、軽微な違反があった場合に使われます。例えば、必要な書類が少し不足している、もしくは設備や人員の基準がわずかに下回っている場合などが該当します。事業者がその場で改善を約束すれば、口頭指摘による対応が行われることがあります。

文書指導

文書指導は、運営指導の結果、法令や基準に明確に違反している場合に行われます。例えば、職員の数が基準を大きく下回っている、サービスの提供が不十分である、報酬請求に誤りがあったなど、明確な違反行為が確認された場合です。文書で指摘される場合には、事業者は改善計画を提出し、指定された期限内に改善を報告しなければなりません。

業務改善勧告

業務改善勧告は、より深刻な違反に対して行われます。人員や設備の基準が大きく逸脱している、またはサービスの提供に深刻な問題がある場合などがこれに該当します。業務改善勧告は、文書指摘以上の重い措置として、事業者に対し、指定された期限までに改善を完了し報告することが求められます。

処分の場合(業務改善命令、指定効力の停止・一部停止、指定取り消し)

業務改善勧告に従わなかった場合や、監査の結果、重大な違反が確認された場合には、さらなる処分が課されます。

業務改善命令

業務改善勧告に従わなかった場合や、重大な違反が確認された場合には、行政機関から業務改善命令が下されます。例えば、報酬請求の不正やサービス提供の不備が発覚した場合、具体的な改善措置を求める命令が行われます。この命令に従わなかった場合は、事業者の名前が公表されることがあり、信頼を大きく損なうことになります。

指定の効力の停止・一部停止

業務改善命令に従わなかった場合や、重大な違反が続いている場合には、事業者の指定の効力が一時的に停止されることがあります。例えば、新規利用者の受け入れを一時的に停止する、または介護報酬の請求額に制限を設けるといった措置が取られます。

指定取り消し

最も重い処分が「指定取り消し」です。これは、介護サービス事業者としての指定そのものを無効にするもので、事業者がサービスを提供できなくなることを意味します。例えば、不正請求や重大な運営基準違反が継続している場合、指定取り消し処分が行われます。

報酬や加算金の返還

介護報酬や加算金に関して、不正や不当な請求が確認された場合、事業者には返還義務が生じます。

不当な請求(過誤請求)の場合

過失により誤って報酬や加算金を多く請求した場合、不当な請求としてその分を返還する必要があります。この場合、返還は求められますが、特に厳しい処分が行われることはなく、修正手続きを求められるだけです。

不正請求の場合

故意にサービスを提供していないのに提供したように装って報酬を請求した場合、不正請求とされます。返還に加え、40%の追加金ペナルティが課されることがあります。また、業務改善命令や指定取り消しなど、厳しい処分が下されることもあります。

なぜ違反しているのに、処分ではなく指導のみで済む場合があるの?

条件を満たせば、違反をしていてもすぐに処分に移行せず、指導のみで済むケースがあります。

違反が軽微である場合

直ちに利用者に重大な影響を与えないと判断される場合、まずは改善の機会が与えられることになり、処分ではなく指導のみで済みます。

迅速な改善が見込まれる場合

違反が確認された場合でも、事業者が改善の意思を示し、迅速な対応が信用できそうな場合、運営指導の範囲内で対応が行われます。事業者が改善計画を提出し、問題が解消されれば、処分に至ることはありません。

違反しないためにはどうしたら良い?運営指導に引っかからないための4つの施策

「運営指導に引っかからないための4つの施策」を説明するイラスト。左から「定期的な内部監査」「外部監査の活用」「職員の教育と研修」「最新ツールの導入」の4つの施策が並んでおり、それぞれの施策のイメージイラストが描かれています。内部監査ではグラフを見ながら話し合う場面、外部監査では書類を持つ監査担当者、教育と研修では研修テキストを持つ職員、最新ツールの導入ではクラウドアイコンとともにパソコンを操作する職員のイラストが示されています。運営指導の対策としてこれらの施策が重要であることを視覚的に伝えています。

運営指導で違反が指摘されないためには、事業者の日々の努力が欠かせません。以下の方法を実践することで、問題を未然に防ぐことができます。

内部監査の徹底

定期的に内部監査を行い、事業所の運営状況を確認しましょう。特に人員配置や設備、報酬請求が基準に沿って適正に行われているかをチェックすることが大切です。

外部監査の活用

外部の専門家による監査を導入することで、最新の法令や基準に沿った運営ができているかを客観的に見直すことができます。特に複雑な法令改正にも即座に対応できるよう、定期的に外部監査を取り入れることが効果的です。

職員の教育と研修

職員が最新の法令や基準を理解し、現場で適用できるようにすることが重要です。定期的な研修や教育プログラムを実施し、法令遵守を徹底しましょう。

最新ツールの活用

デジタルツールを導入し、売上などの経営状況の可視化や研修、書類管理の一元化を進めることで、業務の効率化を図るとともに、法令違反のリスクを最小限に抑えることができます。

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