【専門家監修】介護業界の人手不足の原因と解決方法を徹底解説

監修者
片山海斗

「介護って人手不足だけど本当なの?」
「実際にどうやったら介護の人手不足って無くなるの?」
こんな疑問ありませんか?
近年になって「介護人材不足」というワードはよく耳にしますが、良く分からない方も多いと思います。
今回は実際に介護事業所の現場の課題解決をする介護経営コンサルティングファーム監修の元、人手不足の原因や具体的な解決方法まで徹底的に解説します。
具体的な解決方法を知りたいという介護事業所の経営者は必読です。
Contents
介護業界の人手不足に係る根本的な問題
少子高齢化に伴い、介護ニーズが高まる中でマスメディアやニュースで取り上げられている”介護人材不足問題”
統計的なデータ(厚労省引用)や科学的なエビデンス・実際にあった事例を基に、介護人材不足に係る根本的な原因と背景、具体的な解決方法を専門家監修で解説します。
【2025年問題】約32万人の介護職員不足

厚生労働省:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
※この統計には退職者・離職者は含まれていない
団塊の世代(第1次ベビーブームに生まれた人:680万人)が75歳以上を超えるとされる2025年問題。
厚生労働省が2021/07/09日に公表した介護職員の必要数では、介護職員数211万人を基準として、2023年度には22万人の不足、2025年には32万人の介護職員が不足するという結果でした。
このデータから解ることは「どれだけ介護事業所が対策しても人手不足なのは変わりない」ということです。
厚労省は潜在介護士や新規に介護職を目指す人向けに20万円返済免除の「介護職就職支援金貸付事業」が創設されましたが、根本的な解決には至らないため一時的な施策と言えます。
介護職員の年収は他産業と比べ103万円低い
全産業平均年収 | 介護職員 | 差額 |
463万円 | 360万円 | -103万円 |
厚生労働省:令和2年度介護従事者処遇状況等調査
厚労省の賃金構造基本統計調査によると、全産業の平均年収は463万円です。介護職員との差は103万円と脱低賃金とはいえない状況が続いています。
【14年で3分の1】若者の「介護業界離れ」

介護福祉士を育てる養成学校へ入学した人は前年度と比べ上昇傾向であるのもの、若者の”介護業界離れ”は否めない。介護科を廃止したりした学校が11校あり、総数375校と年々下降気味という結果でした。
入学数が増えている要因は外国人留学生にあります。入学者の3割がベトナムや中国、ネパールからの留学生ですが日本人の入学者数は年々減り続けている現状です。
介護業界の人手不足の現状
入職後3年以内に6割が離職する

実は全産業と比べると介護業界の離職率はさほど高くありません。
しかし、3年以内に辞めてしまう人にフォーカスを当てて考えてみると、宿泊業や飲食サービス業と並んで高い水準を示しています。
自社採用が困難になっている

前述したとおり、2025年問題で32万人の介護従事者が足りていないので、必然的に有効求人倍率は高くなります。
1人の求職者に対して約3事業所が求人を出しており、介護事業所の採用環境は極めて難しいことが解ります。
働く側からすれば「派遣」の方が良い現状
- 残業がない
- すぐ辞めて、他の事業所を探せる
- 給料は大して直雇用と変わらない
インターネットで「介護 求人」や「介護 辞めたい」と検索するとほぼ全てが派遣会社の関連サイトなので「スマートフォンで求人を探す若者」は派遣や紹介会社に流れていってしまうというのも、直雇用が厳しい要因でしょう。
ただし、派遣会社は介護人材確保の一役を買っているので、派遣会社が悪いという訳ではありません。
職場環境が悪い

「職場の人間関係」「理念や運営に不満」が40.6%と、職場環境を変えて「働き方の環境を整える」ことが重要視される結果となりました。
女性に多い退職理由として「結婚や出産」が挙げられますが、このデータも曖昧で厚生労働省が調査した雇用動向調査結果の概況では3.9%と出生率は変わらないので”本当の退職理由でない“ことが伺えます。
高齢者虐待の通報件数・受理数は過去最多を記録

高齢者虐待が起きる原因は様々ですが、もっともな原因は「介護従事者の心に余裕がない」からです。
介護従事者が理念や運営に対して不満があり、従業員同士嫌悪を抱いていると、仕事のモチベーションや、チームワークが欠けサービスの質が下がってしまいます。
そうして高齢者虐待が起きてしまいます。
介護人手不足の具体的な課題解決策
業務効率を上げる
経営者の平均年齢は60歳と、ITリテラシーの低さが目に移ります。
特に、介護に係る書類(介護経過記録・アセスメント・計画書等)はまだまだアナログで紙媒体で記入している事業所も多々見受けられます。
改善策として無駄の業務を減らす事と徹底的なペーパレス化を図ることです。
業務フローを作成し、業務の全体を可視化。
生産性のない会議や書類作業を無くすことで、業務時間を削減。
残業等のコスト削減にも結び付きます。
また、ICT(介護ソフト)やインターネットFAXを導入することで「書類作業時間の大幅削減」ができます。
「書類の作業時間」を減らす事で、目の前の利用者のケアに当てる時間が増え、CS(顧客満足度)の向上に繋がります。
新人教育の仕組みを造る
前述したように「3年以内に離職する介護従事者が辞める確率が60%」ですので、
入職して3年未満の介護従事者への教育を適正化し「辞めない職場環境を造る」ことが重要です。
従業員が辞めない職場を造る方法はこちら
各種加算取得で原資を担保する
従業員満足度を向上させるには、独自の昇給制度が必須になります。
処遇改善加算・特定処遇改善を取得している事業所としていない事業所では職員待遇の格差が産まれています。
各種加算を取得することで、好循環を生み出す仕組みを造ることができます。
加算取得でお悩みの方はこちら
「判断力」のあるリーダーを育成する
介護事業所の運営課題の解決は、介護現場トップの「判断力」に委ねられているといっても過言ではありません。
チームワークや従業員満足度の向上、虐待の防止をするためには、臨機応変な意思決定を行う中間管理職人材が必要になります。
管理職やリーダーにお悩みの方はこちら
採用を仕組み化させる
介護事業所の求人を拝見していると、会社の理念や風通しなど分かりにくい求人ばかりです。
介護人材はどんな事業所を求めているか
この視点が今の介護事業所には足りていない視点なのです。
安易にホームページを作ったり、有料の求人を出したりするのではなく、
入職者ニーズを把握し、ミスマッチが起きない採用戦略を立て適切な採用を心掛けましょう。
介護事業所の採用を最適化するには?
介護事業所分析ワークシートダウンロード
25個の質問で、介護事業所を分析するレポートをProfessional Care Japanの専門家監修の基制作しました。

まとめ
今回は、介護の人手不足が起きる原因をデータを基に解説していきました。
介護ニーズが高まる中で、介護事業経営には人材確保は不可欠となります。
安易にホームページや有料求人を掲載するのではなく、「入職者ニーズ」に沿った戦略があるかどうかでこの先10年の介護事業所の安定率が大きく変わってきます。
ぜひ、介護事業所診断シートを用いて、客観的に分析してみてください。
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