全国の対応・少数精鋭の介護コンサルティングチーム

0120-186-361

介護経営ラボ

【離職率改善】介護現場の人間関係を改善する「理念の浸透」の重要性

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。

介護現場で、「人間関係」の問題を抱えれおられる経営者、管理者の方は多いのではないでしょうか。

介護現場と「人間関係」の問題は切っても切り離せないものになっています。
そして、人間関係の悪化は、職員の離職にも大きな影響を及ぼします。

今回は、人間関係の問題を改善する「理念の浸透」の重要性と、
理念を浸透させる具体的方法をご紹介致します。

人間関係の問題による、職員の離職で悩んでおられる、
経営者・管理者の方は、ぜひ最後までご覧下さい。

1、介護職に多い離職理由、第1位は「人間関係」

公共財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度 介護労働実態調査結果について」

令和元年度 介護労働安定センターの調査によると、
介護職の離職理由、第1位は、「職場の人間関係に問題があった」となっています。

「人間関係の問題」は、介護業界に限ったものではありません。
実際、他業界の離職理由にも、トップ5には必ずと言っていいほど、
「人間関係の問題」がランクインしています。

人間関係の問題、第1位は職場の先輩

1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査
―『エン転職』ユーザーアンケート―

介護業界のみの調査ではありませんが、
2018年に、エン・ジャパン株式会社(エン転職)が、
「人間関係の問題」によって転職したことがある人、約1万人を対象に行った調査によると、
人間関係のトラブルの対象者は、

第1位 先輩
第2位 同僚
第3位 直属の上司

となっています。
やはり、人間関係というのは、日常の業務でよく関わりを持つ相手との関係性が、
最も影響を及ぼすことがわかります。

介護現場は人間関係の問題が起こりやすい職場!?

介護の仕事は、個人で完結するものではありません。

利用者・利用者家族にし対して、
介護職員、看護師、医師、事務職員などが連携とり、
チームで対応していくことが求められます。

そのため、関係性がよくない人がいたとしても、
業務を円滑に進めるためには、コミュニケーションを取らざる得ない状況があります。

調査にもある、関係性が良くない先輩、同僚、上司(介護リーダー)などと、
同勤務や夜勤などが同じになると、ストレスフルな状態が続くことはよくあります。

また、同調査では、人間関係に難しさを感じた理由も報告されています。

「先輩、上司、経営層」に対しての上位理由は、以下通りです。

「直属の上司・先輩・経営層」との人間関係に難しさを感じた理由

・威圧的に感じる
・気分に浮き沈みがある
・指示に一貫性がない
・人柄が信用できない
・評価が公平、公正でない
・自分の意見や考えに耳を傾けてくれない  など…

やはり、上下の関係では、
「指示の一貫性」、「評価基準」、「人柄」に対しての、難しさを感じている方が多いようです。

「同僚、後輩、非常勤職員」に対ししての上位理由は、以下の通りです。

「同僚・後輩・非正規社員」との人間関係に難しさを感じた理由

・不平不満が多い
・自分の意見や考えに固執する
・気分に浮き沈みがある
・威圧的に感じる
・仕事の成果にこだわらない など

「仕事への取組み姿勢」や、「人柄」に対する内容が多いです。

「先輩、上司、経営層」
「同僚、後輩、非常勤職員」 どちらに対するものも、介護現場でも非常によく当てはまる内容です。

これをみても、”介護現場は非常に人間関係の問題が起こりやすい状態”であると言えます。

「人間関係の問題」は個人の問題なのか?

人間関係の問題は、「個人の問題」として捉えがちです。

当然、個人の要因も多く存在しますが、
この問題を「組織の問題」として捉えることが必要です。

そこで、重要な役割を果たすのが、「理念」です。
「理念」と「離職率」は大きく関わっていると言われています。

実際、「理念の浸透」に力を入れたことで、離職率が大幅に減少したという事例も
多く存在します。

「理念」は、人間関係に大きな影響を及ぼします。
それは、「理念」が仕事における物事を判断するときの判断基準となるからです。

職場での人間関係において、
判断基準がないことで起こっているトラブルは非常に多いです。

2、介護現場の人間関係を「組織のパターン」で考える

人間関係は、組織の状態によって、大きく変わります。
自分たちの組織(事業所)がどのパターンにいるのか、
考えながら、見ていただければと思います。

福祉現場に見られる「4つの組織」

組織を考える上で、「組織の定義」を理解しておく必要があります。

広辞苑で、「組織」と調べてみると、
「ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」と記載されています。

つまり「組織」とは、『共通の目的がある集団』ということができます。

福祉現場の組織パターンをみていくにあたり、

縦軸:理念(目標)・ルールの浸透度
横軸:関係性(コミュニケーション・情報伝達)

の2軸とすると、4つの組織パターンに分けることができます。

①烏合の衆

帰属意識(組織の一員であるという意識)が低く、
職場で働く上での価値観やルールも共有されておらず、情報共有もされていない集団です。
組織として全く機能しておらず、単に人が集まっているだけの集団となっている状態です。
<陥りやすい状態>
それぞれが、自分の思いや価値観で働らくため、手段・手法の争いなどがよくみられる。
自分の業務のことしか考えられていない。

②仲良しグループ

一見、雰囲気のいい職場にみえますが、帰属意識が薄く、職場で働く上での価値観やルールも共有されていません。しかし、情報だけは色々と飛び交っている集団です。
<陥りやすい状態>
私的な感情や好き嫌いで派閥ができることが多い。トップの方針や決定事項などは重視されず、派閥ごとのルールで動いている。また、意見に統一感がなく、会議など開催しても全体最適の結論がでない。

③トップダウン組織

帰属意識、秩序としてのルールはある程度共有されているものの、上からの方針や決定事項、さらには仕事に必要な情報が行き渡らない組織です。
上が意図的に情報を出さない場合もあり、経営陣が何を考えているのか、その意図が現場に伝わっていない。
<陥りやすい状態>
従業員は、決められたことは行うが、主体性が低下し、積極的に意見などは言わない。
経営陣は「意見が出てこない」、「指示待ちが多い」と嘆く…

④一体感のある組織

職員の帰属意識も強く、組織のルールも保たれている、なおかつ情報伝達やコミュニケーションもスムーズな集団です。表面上の関係性ではなく、上からの決定事項や仕事に必要な情報がしっかり行き渡る状態。
現場に権限移譲も行っており、現場で判断ができる裁量も与えている。
生産性も高く、最も理想的な組織と言える。

3、「一体感のある組織」を作り出すためには…

「集団」から「組織」となるためには、縦軸と横軸の基準を上げていく必要があります。

縦軸:理念(目標)・ルールの浸透度
横軸:関係性(コミュニケーション・情報伝達)

ここからは、具体的な対策についてご紹介致します。

理念(目標)・ルールの浸透度を上げる

繰り返しになりますが、
「組織」とは、 『共通の目的がある集団』のことを指します。

そのため、目指すべきところ(ゴール)が明確になっていない集団は、
組織と呼べないということです。

そして、「共通の目標」は、掲げているだけでは意味がありません。
本気で目指していることが大切です。

「理念の浸透」には、重要なポイントが3つあります。

①経営者、管理者、リーダーが本気で目標(理念や方針)目指していること
②職員に対して、定期的に目標(理念や方針)について考える時間を設ける

③他人同士で一緒に何かをする際のルールが守られいること

経営者、管理者、リーダーが本気で目標(理念や方針)目指していること

上司が、本気で目標を目指せていないと、当然ですが、職員は本気になれません。

どれだけ、口でいいことを言っていても、
日々の行動が伴っていない方は意外と多いものです。

経営者は一番に自らの行動を見直す必要があります。

職員に対して、定期的に目標(理念や方針)について考える時間を設ける

目標(理念や方針)を、目につくところに貼ったり、朝礼で唱和しているところがありますが、
これだけでは、ほぼ効果はありません。

それは、いずれ景色や作業となってしまうからです。
重要なことは、「目標をいかに自分事として捉えることができるか」ということです。

人間は、とても忘れやすい生きものです…
研修会などをしても、一時的には効果があるものの、しばらくするとまた忘れてしまいます。

目標(理念や方針)については、定期的に考える機会を設けることが大切です。
具体的には、目標を達成するためには何が必要か?自分には何ができるのか?など…

ディスカッションやブレーンストーミングなどがおススメです。

厚生労働省が「理念浸透のワークショップ」の動画を出していました。
良ければ参考にして下さい。動画はこちらをクリック

③他人同士で一緒に何かをする際のルールがあること

目標の達成方法は1つではありません。
そのため、さまざまなやり方が存在します。

多様な価値観が存在する中で、選択肢が多いことがトラブルに繋がることもあります。
そこで必要となるのが、ルール(判断基準)です。

全てにルールを設ける必要はありませんが、
ルールを設けた方が、トラブルを防ぐことに繋がることもあります。

そして、決めたルールは守らなければ、意味がありません。

関係性(コミュニケーション・情報伝達)を上げる

組織として、関係性を上げることを考えた時に
「組織図で指示命令系統と責任の所在を明確にする」ことが
とても重要になります。

介護現場は、専門職の集まりであるがゆえに、
職種の垣根ができてしまいがちです。
また、報告経路が曖昧になってるところも多いです。

組織図で、報告経路を明らかにし、
「責任の所在」と「役割」を明確化させることが大切です。

そうすることで、情報伝達もスムーズとなります。

4、まとめ


介護現場における、「人間関係」と「理念の浸透」を組織のパータンを通してみてきました。
人間関係は、組織の状態によって、変わります。

そして、目標(理念や方針)が明確に示され、全員でその目標を目指せている時は、
人間関係のトラブルは非常に起こりにくくなります。
なぜらな、「目標基準」で物事を考えるようになるからです。

よく例えに出されるのは、「火事の現場」です。
火事の現場では、「火を消す」という共通目標があり、そこに対して、全員が協力して行動します。

時には、きつい言葉がや怒号が飛び交ったりすることもあるかと思いますが、
それでトラブルになることはほとんどありません。
なぜなら、「目標を達成すること」しか頭にないからです。

当然、火事の現場と介護現場は違いますが、
これに似た状態を作り出していくことは可能です。

そのためにも、経営者・管理者が常に目標(理念や方針)を語ることが大切です。
ぜひ、取り組んでみてください。

最後に、介護現場ではこのような取り組みを推進していくにあたり、
一番の課題になってくるのは、人手不足等による時間的制限だと思います。

まずは、しっかりと職員の時間を確保していくためにも、
無駄な業務の整理や業務の効率化など、業務改善に力を入れる必要があります。
良ければ、こちらをご活用下さい。

業務改善をはかりたい方はこちらへ

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。