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介護経営ラボ

【徹底解説】利用者に選ばれる介護施設の「ブランディング」の重要性と具体的取り組み

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。
介護_ブランディング

介護施設の稼働率低迷に悩んでおられる経営者、管理者の方は多いと思います。
介護施設の数は、右肩上がりで増え続けており、待機者が数百人と言われいた、特別養護老人ホームでも新規利用者獲得に苦労しているという話も耳にするようになりました。

これから介護施設は、「利用者から選ばれる施設」と「選ばれない施設」に二極化していくと言われています。

本記事では、これからの介護施設の稼働率の向上には欠かせない、利用者から選ばれる施設となるための、「施設ブランディング」についてお伝え致します。

ブランディングの具体的な取り組み方も含めて解説致しますので、ぜひ最後までご覧下さい。

介護施設の数(床数)は、約408,010床増えている

引用:厚生労働省「高齢者向け住まい・施設の利用者数」

上記データは、施設別の利用者床数を表したものです。
平成25年~平成30年の5年間で、約408,010床の床数が増えていることがわかります。特に、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、民間企業が参入しているものに関しては、急速に伸びていることがお分かりいただけると思います。

当然、高齢者の数も増えていますが、ニーズの増加と共に、施設の数も大きく増加しています。
利用者にとって選択肢が多くなったことで、今まで数百人待ちなどと言われていた特別養護老人ホームでも、かなり待機者が減ってきている現状があります。

これからの介護施設経営は、「利用者に選ばれる施設づくり」が重要となります。それができなければ、稼働率の低迷、業績の悪化、最悪は、経営の継続が難しくなることも考えられます。
そこで重要になるのが、施設のブランディングです。多くの選択肢の中から自分たちのサービスを選んでもらうためにはどうすればよいか解説していきます。

ブランディングとは?

ブランドとは?

「ブランド」と聞くと”高級品”をイメージする人が多いかもしれませんが、ブランドとは高級品のためだけに用いられている言葉ではありません。

「ブランド」の語源は「焼印をつける」という古ノルド語「brandr(ブランドル)」だと言われています。かつては自分の家畜に焼印をつけて、他の家畜と見分けていたことから派生して、近年、企業や商品・サービスを他の同カテゴリーの競合と「差別化する」ための言葉として使われるようになっています。

消費者や顧客が商品やサービスを認知し、価値を認めたものが「ブランド」となります。つまり、消費者に浸透しなければブランドとは言えないということです。この認識はとても重要です。

介護業界におけるブランディング

介護業界におけるブランディングはどのようなものがあるでしょうか。
皆さんの周りの介護施設で、「認知症ケアに強い施設と言えば?」と言われて、思い浮かぶ施設はありますか?
他には、「リハビリに強い施設と言えば?」と言われた場合はいかがでしょうか。

今、いくつかの介護施設が出てきたとしたら、それらの施設は、ブランディングがうまくいっている施設であると言えます。

当然、特養・老健・グループホームなど、施設の種類によってある程度の特徴はありますが、その中でも、名前があがることが重要なのです。

介護業界のブランディングとは、「利用者ニーズとサービスが紐づく状態」が作れていることだと考えています。

利用者のニーズを捉えて、さまざまな介護サービスや社会資源を提案する役割として、地域包括支援センターの職員や、ケアマネジャー、病院のMSW(メディカルソーシャルワーカー)などの専門職がいます。その方たちが、利用者のニーズを把握したときに、自分達のサービスと紐付けてもらえているかということが、重要であり、それがブランディングだと言えます。

当然、全ての社会資源を把握されているわけではありませんが、このエリアでリハビリに強い老健といえば、○○…。認知症ケアのデイサービスと言えば○○…。のように、「利用者ニーズとサービスが紐づく状態」をどれだけたくさん作ることができるかがカギとなります。

インナーブランディングとアウターブランディング

ブランディングには、大きく分けて「インナーブランディング」「アウターブランディング」の2つがあります。

インナーブランディングの目的と効果 

インナーブランディングとは、社内に向けて行うブランディング活動のことを言います。ブランドの社内理解と実践を促すものであり、会社のイメージをつくる職員に理念を浸透させ、ブランドの価値向上を実現させることを目的としています。

インナーブランディングがうまく機能すれば、職員のモチベーションやパフォーマンスも向上し、組織に一体感が生まれます。また、未来に向かって変化できる体質をつくることもできます。

アウターブランディングの目的と効果 

社外の顧客や一般消費者に向けてブランドをアピールしていく活動のことを言います。
会社やブランドイメージの向上・利用者が自社やブランドに持つイメージを向上させたり、企業やブランドの名前を聞いただけである程度具体的なイメージが浮かぶようにその存在を定着させたりできます。

認知拡大や新規顧客獲得に効果的です。

インナーブランディングとアウターブランディングは、車の両輪

インナーブランディングとアウターブランディングは、どちらも重要なブランディングです。車の両輪のようなものなので、どちらか一方だけでは十分な効果は発揮できません。社内に対してはインナーブランディングで意識の向上を促し、モチベーションを高め、一つの目標に向かって全員が一丸となることが重要です。アウターブランディングでは、外向けに発信する情報と内部の意識を連動させてこそ意味があります。

介護施設のブランディングの4ステップ

1、目的、方向性を整理・統一 

ます、ブランディングの目的、ゴールを明確にします。

ブランドが持つ独自の価値や競合との違い、利用者にどんな価値をもらたすことができるかといった、「ブランドを形作る要素」を全て集めて共有し、達成したい目的や中長期的なビジョン(夢)を描きます。

ブランディングプロジェクトをより良く進める上で、まずは施設内の理解・共通認識を一緒につくります。プロジェクトメンバーはもちろん、タイミングを見て関係部署や社員に対して、なぜブランディングが必要なのか、何のために実行するのか、実施後のメリットやビジョンを共有します。

また、経営者や管理者の思いなどもしっかり伝えることで、より共感度があがり、浸透度が上がります。

理念共有については、別のコラム記事で詳しく解説していますので、そちらのご覧下さい。
【離職率改善】介護現場の人間関係を改善する「理念の浸透」の重要性

2、市場・競合他社を分析・戦略立案 

介護業界の人は、「競合他社」のことを知らない

自分のサービスの魅力・強み・特徴を発信するためには、必ず他社と比較する必要があります。なぜなら、他社と比較しないと、自分たちが特別がどうかわからないからです。

しかし多くの介護施設は、近隣の施設のことですらあまり知らないという現状があります。現場のスタッフにおいては、全くと言っていいほど、他事業所には関心がありません。そのような状況では、自分達にどんな魅力があり、強みがあるのかを理解することは困難です。

ただ、現場スタッフにそれを理解しろと言っても難しいのが現実でしょう。そのため、経営者や管理者、相談員などは、しっかりと他社競合と比較・分析を行い、自事業所の魅力・強みを内部にも発信していく必要があります。

これは、インナーブランブランディングに繋がります。現場スタッフもそれを認識することで、「自分たちのやっていることってそんな凄いことなんだ」、「当たり前だと思っていたけど、価値のあることを自分たちはしているんだ」ということがわかり、自信が持て、モチベーションアップや更なる質の向上に繋がっていきます。

分析と戦略立案

競合他社と差別化するための方法として、SWOT分析をご紹介致します。

SWOTとは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の頭文字で
スウォット分析と呼ばれます。
ここでは「強み」と「弱み」は自事業所の内部分析であり、「機会」と「脅威」は外部環境を示すことになります。

具体的な事例を示します。

これらの意見を出し合った上で、戦略を立てていくことができます。

【強み】×【機会】  →  強みを活かし機会を最大限に活用する戦略。
【強み】×【脅威】  →  強みを活かし脅威を切り抜けるための戦略。
【弱み】×【機会】  →  弱みによって機会を逃さないための戦略。弱みの克服。
【弱み】×【脅威】  →  弱みと脅威による最悪の事態を回避する戦略。

この中でも特に重要なのは【強み】×【機会】の戦略です。それぞれ施設の事情にもよりますが、
強みを活かしながら機会を最大限に活用することが、最も優先される戦略であり、
成功する可能性の高いと考えられています。

ぜひ、参考にしてみて下さい。

3、ホームページやパンフレット、営業ツールなどの見直し・作成 

介護業界で働く人は、単純に、IT関係が苦手な方が多い印象です。
例えば、FacebookやInstagram、Twitterなどに対して、苦手意識がある方も多く、素晴らしい取り組みをしていても、それを発信できていない事業所も多いです。

これからの時代、ネットでの発信は必ず必要になってきます。ケアマネジャーや病院の相談員もほどんどが、ネット使用して情報を集めています。見やすいホームページの作成や、SNSでの発信は必須となりつつあります。

SNSでの発信などは、得意なスタッフもいると思いますので、若手職員も巻き込み、施設全体で取り組んでいくことが大切です。ホームページのリニューアルなどは、費用対効果も考え、専門業者に依頼することも選択肢の1つです。

ホームページ作成や営業ツールについてのご相談はこちら

介護施設の営業活動の重要性についても、別のコラム記事で詳しく解説しています。
【稼働率向上】介護施設の「営業活動」の重要性と具体的方法

4、ユーザーの反応を把握、改善を重ねる

ブランドは作って終わりではありません。利用者や関係機関と、さまざまな事例やコミュニケーションを積み重ねることでブランド価値はより高まっていきます。そのため、常に反応を把握し、必要に応じて、改善をしていくことが大切になります。

定期的なヒアリング・リサーチ、アンケート実施などで、常に現状把握をしておくことで、職員にもさまざまなフィードバックができ、状況に合わせた変化がしやすくなります。

まとめ

今回は、介護施設の稼働率向上に向けた、ブランディングについてご紹介しました。ブランディングは、稼働率の向上だけでなく、採用や離職予防にも効果を発揮します。
組織として、目指すべきものが明確になり、職員が一丸となり、目標に向かえている状態を作り出すことで、利用者だけでなく、職員からも選ばれる施設となります。

そのためには、やはり経営者・管理者・現場リーダーの、リーダーシップとマネジメントがとても重要になります。
現場職員の強化をしていきたい方はこちらから

そして、働きやすい環境作りも大切になります。目の前のことでいっぱいいっぱいだと、新たなことに取り組む思考になれないことが多いです。業務の効率化や無駄の排除をすることで、職員の業務負担の軽減を図ることも重要になります。
職場環境を改善したい方はこちらから

介護現場の業務負担軽減については、別のコラム記事でも詳しく解説しています。
【業務改善】介護施設の業務効率を上げる「5S活動」の具体的取り組み
【徹底解説】これからの介護施設経営に求められる「介護業務のICT化」補助金情報

できることから始めていただき、施設全体で「選ばれる施設作り」に取り組んでいだければと思います。

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。