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介護経営ラボ

【即日実践】介護施設の稼働率を向上させる具体的対策

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。

介護施設経営において、「稼働率の低迷」に悩んでおられる
経営者・管理者の方は多いのではないでしょうか?

稼働率は、安定経営を行う上での最重要指数の1つであり、収益に直結するものです。

稼働率が低下している原因は事業所によってさまざまです。
今回は、よく陥る「稼働率低迷の原因」と「具体的対策」についてお伝え致します。

チェックリストもございますので、介護施設の稼働率を向上させたい経営者の方は最後までご覧下さい。

介護施設を取り巻く状況

引用:厚生労働省「高齢者向け住まい・施設の利用者数」

上記データは、施設別の利用者床数を表したものです。
ここ、数年で軒並み施設数(利用者床数)が増えてることがわかります。

特に、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、民間企業が参入しているものに関しては、急速に伸びていることがお分かりいただけると思います。

利用者にとって選択肢が多くなったことで、今まで数百人待ちなどと言われていた特別養護老人ホームでも、かなり待機者が減ってきているのが現状です。

これからの介護施設経営は、「利用者に選ばれる施設づくり」が求められます。
そしてそれは、稼働率にも大きく影響してきます。

介護施設の収益を最大化するには…

介護施設の収益を最大化していくためには、以下の2つを実行する必要があります。

・利用者単価の向上
・稼働率の向上

「利用者単価」×「稼働率」が、収益となります。
それぞれの数値が高いほど、収益は大きくなります。

利用者単価の向上についても簡単に触れておきます。

利用者単価の向上

利用者単価向上における3つの取り組みをご紹介致します。

・利用者の適正な介護度
・加算の取得
・実費料金の設定

上記3つは、特別な取り組みではありませんが、
介護施設において、意外とできていないことが多いです。

これを機会に、一度、自事業所の確認もしてみて下さい。

~利用者の適正な介護度~

介護施設において、利用者が適切な介護度になっていないという状況がよくあります。

区分変更などの業務を行うケアマネジャーは、
現場との兼務をされてことが多く、多忙を極めている方が多いです。

そのため、利用者の状態の変化(重度化など)に気づいていても、
区分変更などを動きを取れていない状況がよくあります。
まずは、施設全体で業務時間を確保する必要があります。

また、介護度の管理をケアマネジャーだけに任せきりになるのではなく、
多職種で連携し、複数の目でチェックしていくことが大切です。

職員の介護負担を考えると、やはり介護度に応じた報酬を受け取るべきです。

~加算の取得~

加算の取得も、単価向上の大きな手段です。

加算に関しては、自分たちの事業所では、
どのような加算が、どのような条件で取得できるのか、
ここをしっかりと理解しておく必要があります。

これも意外とできていない事業所が多いです。

加算取得にあたっては、現場の負担が増えるものも多いです。
現場としっかり相談し、増加する業務負担とも比較しながら、
加算算定を進めていく必要があります。

~実費料金の設定~

家賃や食事代など、実費負担となる部分に関しても適正な設定にする必要があります。

地価や物価の高騰など、社会情勢などを鑑みて、値上げをすることも必要です。

しかし、実行するにあたっては、
行政申請の必要性の確認や、利用者(家族)への説明・同意が必要になります。

また、頻繁に変更することは、信頼の低下に繋がりますので、
熟考し、しっかりとした根拠を示した上で行う必要があります。

稼働率の向上

「稼働率の向上」は、「空室を削減すること」という考え方が重要です。

介護施設においては、稼働率が100%を越えることは基本的にはありません。
つまり、最大数が決まっているということです。

そのため、いかにして「空室を削減するか」という視点でさまざまな対策を検討する必要があります。

~2つの「空室」~

空室には、2つの種類があります。
「退居時の空室」「入院時の空室」です。

「退居時の空室」とは、
利用者が退居されてから、次の利用者が入居されるまでの空室期間です。

この期間の短縮には、相談員の調整能力が大きく影響します。
退居を見越して、次の調整への準備をいかにしておくかで空室期間にかなり差がでます。

「入院時の空室」とは、
利用者が医療機関に入院となった場合に発生する空室期間です。

病院の治療を早めることはできませんが、
施設側として、調整レベルで入院期間を短縮することは意外とできます。
そのためには、いかに病院の退院調整看護師やMSW(相談員)と連携を密にできるかが重要です。

この二つの空室を理解し、稼働率向上に向けた原因と対策を考えいきます。

稼働率の計算方法

念のために、
稼働率の計算方法について確認しておきます。

稼働離率は、実利用者数÷定員数で計算します。

例えば、定員数が100名(日)の施設で、
利用者数が、98名(日)であれば、
稼働率は98%となります。

ほとんどの施設が、
月単位で、稼働率を管理されているので、
定員100名×30日(1カ月)=3000名(1ヵ月の定員数)
稼働率 = 2900名(実利用者数)/3000床(1カ月の定員数)= 96.6%となります。

エクセルなどで、毎日入力できるデータ表作成し、日々管理・共有できる状態にしておく方がよでしょう。

稼働率向上のため原因と具体的対策

稼働率低下の原因は、内的要因と外的要因の2種類に分けられます。
それぞれ、別々のアプローチが必要です。

内的要因:施設内で発生している課題。
外的要因:施設外で発生している課題。

~内的要因 チェックリスト~

このチェックリストは、私の相談員時代の経験から作成したものです。

どの種類の介護施設にも概ね当てはまるものになっていますので、
ぜひ自事業所の状況を確認してみてください。

~内的要因 具体的対策~

<現場>

✓稼働率の目標がを知っているか?
✓新規入居者の受け入れ体制をすぐに整えられているか?

介護現場では、しばしば、経営層(管理側)と現場との間に
大きな溝があることがります。

そのような場合は、目標の共有ができてない、もしくは、ずれていることがほとんどです。

まずは、目標や目標数値の理由や意図も含めて、しっかり現場へ理解を求め、
受け入れができる体制づくりも含めて、現場リーダーや相談員を巻き込み、
取り組んでいくことが大切です。

✓入院原因の分析と入院予防のアクションが取れているか?

入院者を出すことは、稼働率を下げる大きな要因の1つです。
しかし、入院理由の「分析」や「対策」がしっかりできている施設は多くありません。

入院には、「予防できる可能性があるもの」と「予防が難しいもの」があります。

予防できる可能性があるもの:骨折、誤嚥性肺炎、尿路感染などの感染症など…
  予防が難しいもの   :脳疾患、心疾患、持病の悪化など…

入院は、利用者のADLを大きく下げることにも繋がります。

「予防ができる可能性があるもの」に関しては、しっかり分析と対策を行い、
入院者を1件でも減らせるようにアプローチする必要があります。

<相談員>

稼働率のカギを握るのは、何と言っても相談員です。
相談員が全てのパイプ役となり、施設が円滑に回るように調整していく必要があります。

✓空室が発生した際に、相談員が早急に調整業務に入れているか?

相談員の主要業務は、利用者の入退居調整です。
受診の付き添い、送迎、苦情対応、ボランティアさんの受け入れ、
人手が足りなければ、現場の食事介助や入浴介助をお願いされることもあるでしょう。

当然、これが悪いわけではありません。
しかし、肝心な時に別の業務に入っていて、調整が後回しになってしまっていることがよくあります。

稼働率を向上させたいと考えいるのであれば、この状態は望ましくありません。
必要な時には、調整業務を優先できる環境を施設全体で作ることが大切です。

また、相談員以外の方が対応できるようにしておくことも1つの方法です。

✓適切な待機者管理(ショートステイも含めた)が行えているか?
✓退居を見越した調整ができているか?

待機者がいると思っていたら、実際に声をかけると皆に断られ、
実質的な待機者はいなかったということがよくあります。

そこから急いで次の方を探し出す…
これでは”準備不足”です。

そのような状態を防ぐためにも、
「待機者」と「即時入居待機者」に分類し、管理することをおススメします。

  「待機者」  = 申込を受理している方
「即時入居待機者」= 申込を受理し、声を掛けたらすぐに入居希望がある

この分類をしておくことで、実際空いた時の調整がスムーズになります。
また、ご本人、ご家族としても、「次は自分たちの番だ」と、
前もって心の準備をしておくことができるのも大きなメリットです。

✓問い合わせ~契約までの流れを計画的に取り組めているか?

入居までの流れは、計画性がとても大切です。
入居日をある程度設定し、逆算して日程調整をしていくことがポイントです。

本人面接、判定会議、ご契約、施設の受け入れ体制やご家族の都合など、
さまざまな部分に配慮しながらの調整が必要となります。
入居日をある程度決めておくことで、選択肢が減り、調整しやくなることが多いです。

✓現場のリーダーとしっかりコミュニケーションが取れているか?

現場リーダーとのコミュニケーションは、入居調整で最も重要です。
現場の状況を最も理解してる、現場リーダーからスタッフへ情報を共有してもらうことで、
スムーズな調整が図れます。


<管理側>

✓目標を経営層と現場でしっかり共有できているか?

管理側としては、常に目標を現場に伝えていくことが求められます。
共有意識を持つことができれば、チームはより強いものになります。

✓稼働率の管理や入居までのオペレーションが相談員だけに任せきりになっていないか?

経営者や管理者の方で、稼働率の管理は相談員に任せていると言われる方がいます。
任せることは大切ですが、放置にならないよう、定期的に進捗確認をし、課題を共有することが大切です。

また、相談員が休みや不在の時に、全く話が進まない状態に陥る事業所も多いです。
入居までのオペレーションは複数名が対応できるようにしておくとよいでしょう。

~外的要因 チェックリスト~

~外的要因 具体的対策~

✓サービスのニーズがあるか?どのようなニーズがあるのか?

地域やサービスエリアの市場調査を行い、
利用者ニーズに合わせたサービス提供を行っていく必要があります。

自事業所のサービスが必要とされているのか、ニーズと合っているのか、
しっかりと調整・分析する必要があります。

✓サービスを認知してもらえているか?

利用者や家族、関係機関(居宅ケアマネジャーや病院のMSWなど)などに、
訪問、チラシ、HP、SNSなどを活用した営業活動や情報発信はできているか?

✓相談をもらえるような信頼関係の構築ができているか?

信頼がなければ、相談をしてもらうことはできません。

信頼関係は日々の積み重ねです。相談時の電話対応であったり、
挨拶や声のかけ方でも大きく印象が変わってきます。

特に相談員は施設の顔と言われていますので、より意識する必要があるでしょう。

また、相談内容についても、緊急の対応など、相手が困っている時にしっかり対応してあげることで、
別の紹介や、リピートにも繋がります。

✓同業他社にない強味はあるか?

他にはない強みを理解する必要があります。
「どこが強みがわからない」と言われる事業所も多いですが、それは、他社を知らない場合が多いです。

その事業所では当たり前にやっていることが、実は「売り」になることもたくさんあります。
「他社を知ること」と「自分たちの魅力を考えること、作り出すこと」にぜひトライしてみて下さい。

まとめ

稼働率向上のカギを握るのは、やはり相談員です。
しかし、相談員だけが頑張っていても、うまくいきせん。
施設として、全体で目標を共有し、そこに向かうマインドと環境作り出していく必要があります。

稼働率向上の具体的取り組みについては、
内的要因に関しては、明日からでも取り組める内容もいくつかあります。
ぜひ、取り組めるものからチャレンジしてみてください。

外的要因に関しては、日々の積み重ねや、計画性、専門性が必要となる部分もあります。
必要性をしっかり見極め、第三者機関にサポートを求めることも選択肢の1つでしょう。

営業でお悩みの方はこちら

最後に、どれだけ稼働率向上のための取り組みを行っても、
肝心のサービスの質が低ければ、リピートや紹介に繋がりません。
営業とともに、サービスの質の向上も求められます。

現場のケアの質でお悩みの方はこちら

監修者

小寺智久

介護経営コンサルタント。介護業界歴14年。現場の介護職員からスタートし、支援相談員、営業、施設統括、経営管理など、京都の大手医療法人の介護事業部でさまざまな業務を経験。特養、老健、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設経験と、100名以上の管理者・リーダーと関わってきた経験から、施設経営のサポートを行っている。