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シャドーワークとは?業務の実態と問題点や解決策を解説

シャドーワークの解決策

訪問介護の現場では、計画書にないゴミ出しや薬の受け取りといった「記録に残らない業務」が常態化しやすく、運営指導で未記載のサービス提供を指摘される火種となっています。

「どこまでが生活援助に含まれるのか?」「サービス外の対応を依頼されたとき、現場はどう断ればいいのか?」実際の現場での事例も含めて、わかりやすく解説していきます。

この記事でわかること

  • シャドーワークの定義について
  • 算定できるサービスとできないサービスの線引き
  • 運営指導で指摘されやすい不備
  • 現場での断り方と、ケアマネジャーへの適切な報告体制
  • 経営リスクの回避方法
目次

シャドーワークの定義と訪問介護における実態とは?

シャドーワークの活動イメージ

シャドーワークとは、本来の業務範囲に含まれるべきでありながら、報酬や賃金の支払い対象となっていない隠れた労働を指します。訪問介護では、利用者の過剰な要望に応えてしまう「サービス外活動」がこれに該当し、経営を圧迫する要因となります。

介護報酬の対象外となる「隠れた業務」

訪問介護におけるシャドーワークは、大きく分けて「利用者への過剰サービス」と「ヘルパーの付帯業務」の2つがあります。

利用者への過剰サービスとは、例えば同居家族がいる場合の調理や、庭の草むしり、ペットの世話など、介護保険制度上、算定が認められていない行為を、ヘルパーが「善意」で行ってしまう状態です。

一方で付帯業務とは、移動時間中の物品購入や、自宅での記録作成、事業所に戻ってからの長時間の情報共有などが、適切な労働時間としてカウントされていないケースを指します。

これらは訪問介護の倒産が増える理由の一つである、収益性の低下と人材不足に直結する深刻な課題です。

なぜ訪問介護でシャドーワークが発生しやすいのか

訪問介護は密室で行われるサービスであるため、利用者からの「ついでにこれもお願い」という依頼を拒否しにくい心理的背景があります。特にベテランのヘルパーほど、利用者との関係性を重視するあまり、サービス提供責任者に報告せず、独断で「ちょっとしたことだから」と計画外の対応をしてしまいがちです。

しかし、この「ちょっとしたこと」の積み重ねが、運営指導において「訪問介護計画に基づかない不適切なサービス」とみなされるリスクを生みます。また、介護現場リーダーの役割として、現場で起きている「声なき業務」を吸い上げ、制度の枠組みを守る体制づくりが求められています。

算定要件から見るシャドーワークの線引きとは?

シャドーワークのサービス外活動のイメージ

厚生労働省の通知では、訪問介護で提供できるサービス内容が厳格に定められています。シャドーワーク化を防ぐには、まず「何が算定できて、何ができないか」という一次情報の把握が不可欠です。

介護保険の対象外となる主な行為

原則として、利用者本人の援助に該当しないものや、日常生活を営む上で支障がないと判断される行為は算定できません。厚生労働省の「訪問介護サービスの生活援助の取り扱いについて」では、以下の内容が制限されています。

質問:家事援助の中身はどのようなもの?

回答:介護保険で利用できる家事援助とは、掃除、洗濯、調理などの日常生活のためのサービスです。具体的な例としては、次のようなものです。掃除、洗濯、調理、その他。

介護保険は、みなさんの保険料や公費によってなりたつものです。このため、原則として、次のようなサービスは支給の対象とはならず、ご自分のお支払いで利用していただくことになります。
①本人以外の部屋の掃除など、家族のための家事
②庭の草むしりなど、ホームヘルパーがやらなくても普段の暮らしに差し支えがないもの
③大そうじなど、普段はやらないような家事

出典:訪問介護サービスの生活援助の取扱いについて(別紙1)(厚生労働省)

現場では、この「本人以外のため」という境界線が曖昧になりがちです。例えば、利用者の居室だけでなく、家族が使うリビングまで掃除してしまうことは、シャドーワークであると同時に不適切請求のリスクを孕んでいます。

また、銀行の窓口での預金引き出し代行なども、トラブル防止の観点から原則として算定対象外、あるいは極めて慎重な対応が求められます。これらを「サービス」として無償で行うことは、ヘルパーの負担を増やすだけでなく、事業所としての賠償責任問題にも発展しかねません。

専門家の声

『今回だけは』という例外を作ると、他のヘルパーが訪問した際にも同様の要求をされ、現場が混乱します。事業所として、算定できないサービスの一覧を作成し、契約時に利用者と家族へ徹底して説明しておくことが、シャドーワークを生まない最短ルートです。

運営指導で指摘される「シャドーワーク」の火種とは?

運営指導(旧:実地指導)において、行政は「計画書」「記録」「請求」の一致を厳しく確認します。シャドーワークが存在する場合、この一致が崩れ、不正請求や不適切運営とみなされるケースが後を絶ちません。

行政から指摘されやすい不備のパターン

最も多い指摘は、訪問介護記録(テレッサや紙の伝票)に、計画にない行為が記載されているケースです。良かれと思って書いた「電球を交換しました」「ついでに窓拭きをしました」という記録が、運営指導では「ケアプラン外のサービス提供」として返還指導の対象になります。

また、記録には書いていなくても、滞在時間が予定より大幅に長い場合、行政は「何を行っていたのか」を疑います。1時間の身体介護の予定が、毎回80分かかっているような場合、超過した20分間にシャドーワークが行われていると推測されます。

指摘を回避するための「証拠」の残し方

適切な運営を証明するためには、まず「できないこと」を依頼された際の対応を記録に残すことが重要です。ヘルパーが現場で断った経緯、あるいは一旦持ち帰ってサービス提供責任者に相談した経緯を、支援経過記録に克明に記します。

また、利用者からの強い要望があり、どうしても介護保険外で対応が必要な場合は、全額自己負担の自費サービスを別契約で切り分けるなどの対策が必要です。これにより、介護保険の枠組みを守りつつ、利用者のニーズに応えることができます。

対応記録の必須項目

  • 依頼があった日時と内容
  • 介護保険の対象外である旨を説明した記録
  • ケアマネジャーへ報告した日付と担当者名
  • 代替案の提示(家族への依頼、自費サービスの案内など)

現場の一コマ:運営指導当日、ある事業所ではヘルパーが「親切心」で書いていた「仏壇のお花を替えました」という一文が発見されました。行政担当者から「これは誰のニーズに基づいた、どの計画の行為ですか?」と問われ、事業所側は答えに窮し、最終的にその日の給付費全額の返還を求められる結果となりました。

ケアマネとの連携でシャドーワークを解消するには?

シャドーワークのミーティングイメージ

現場で発生したサービス外の依頼をシャドーワークとして埋もれさせないためには、ケアマネジャー(介護支援専門員)との適切な情報共有が欠かせません。ヘルパーが抱え込んだ「断りきれない要望」を組織として報告する体制を整えます。

ケアプランと現場の乖離を埋める報告のタイミング

ケアマネジャーは、利用者や家族の生活全般を支えるプランを立てますが、訪問中の細かなやり取りをすべて把握しているわけではありません。例えば「掃除のついでに庭の草もむしってほしい」といった要望が繰り返される場合、それは利用者の新たな困りごと(ニーズ)のサインでもあります。

これを「サービス外だから」と現場で切り捨てるだけではなく、速やかにサービス提供責任者を通じてケアマネジャーへ報告します。報告の際は、単に「困っている」と伝えるのではなく、回数や具体的な内容を数値化して伝えると、ケアマネジャーもプラン変更の必要性を判断しやすくなります。

ケアマネとのシャドーワーク「線引き」の共有

シャドーワークを未然に防ぐ最大の機会は、サービス担当者会議です。ここで「訪問介護として提供できる範囲」と「できない範囲」を明確にし、多職種間でシャドーワークの線引きの共通認識を持っておくことが、現場を守る盾になります。

もし介護保険外の支援が不可欠であれば、ケアマネジャーに対して、自治体の独自サービスやボランティア、あるいは事業所が展開する自費サービスの導入を提案します。これにより、ケアマネジャーの処遇改善加算などの議論と同様に、適切な役割分担に基づいた質の高いケアマネジメントが実現します。

専門家の声

ケアマネジャーは、ヘルパーが無理をしてサービス外の対応をしていることを知らないケースが多々あります。良かれと思って黙って対応することは、結果としてケアマネジャーの正しい判断を妨げ、プランの質を下げてしまう行為だと認識すべきです。

運営指導で求められる「連携の証跡」

運営指導では、ケアマネジャーとの連携が適切に行われているかが厳しくチェックされます。シャドーワークになりそうな依頼があった際、どのようにケアマネジャーへ報告し、どのような指示を受けたかを支援経過記録に残しておくことが、不適切運営の疑いを晴らす強力な証拠になります。

記録に残すべき連携内容

  • ケアプラン外の依頼内容と、それに対する現場の暫定対応
  • ケアマネジャーへ報告した日時と手段(電話、メール等)
  • 報告に対するケアマネジャーの返答や、プラン見直しの有無
  • 連携の結果、利用者や家族へどのように説明したか

現場の一コマ:運営指導において、ケアプランにはない「特別な調理」が常態化していると疑われた事業所がありました。しかし、その事業所は「利用者からの強い要望があり、ケアマネジャーへ即座に報告し、代行サービスを検討中である」という一連の経緯を時系列で記録に残していました。その結果、不適切請求ではなく「適切な連携プロセスにある」と評価され、指摘を免れました。

シャドーワークを放置するコストと経営リスクとは?

シャドーワークを「現場の円滑な運用のための必要悪」として放置することは、経営者にとって極めて危険な判断です。その代償は、単なる残業代の支払いだけにとどまりません。

経営を脅かす3つの大きなリスク

  1. 未払い残業代の請求: 記録に残らない「サービス提供前後の準備・片付け・移動」が労働時間として認められると、数年分に遡って多額の未払い賃金が発生します。
  2. 人材の流出: 「サービス外のわがままを聞かなければならない」というストレスは、ヘルパーの早期離職に直結します。
  3. 行政処分: 計画に基づかないサービス提供が常態化していると判断されれば、指定取り消しや効力停止といった、事業継続を不可能にする処分が下される可能性があります。

デイサービスの経営改善などと同様に、訪問介護においても「提供時間の適正化」と「業務の標準化」が利益確保の鍵となります。

仕組みで解決する|プロケアDXの活用

シャドーワークの温床となる「曖昧な記録」や「サービス提供責任者への報告漏れ」を防ぐには、デジタルツールの導入が効果的です。例えば、スマホで完結する記録システムを使用すれば、計画外の項目を選択できないように設定したり、滞在時間の乖離をリアルタイムで把握したりすることが可能です。

「何を残せば説明が通るか」を現場が迷わない仕組みを作ることが、結果として経営を守ることにつながります。もし、今の運用で「どこまでがセーフか分からない」という不安があるなら、まずは現在の記録体制をプロの視点で見直してみることをおすすめします。運用の型ができると、人が入れ替わってもサービス品質が安定し、経営者の精神的な負担も大幅に軽減されます。

介護事業所の「守り」と「攻め」を強化する!

専門家があなたの事業所をサポート!要件が複雑な加算の運用から、運営指導に備える法定書類(BCP・指針・委員会議事録・訓練記録)まで、必要なものを「プロケアDX」で整備できます。

まずはサービス内容を見る

プロケアDXがよくわかる資料はこちら

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現場で役立つ「断り方」とケアマネジャーとの連携とは?

ヘルパーが現場でシャドーワークを断るには、事業所としてのバックアップが欠かせません。「事業所の決まりです」という言葉を盾にできるよう、具体的なマニュアルを整備します。

角を立てない「断り方」の具体例

利用者から計画外の依頼をされた際、ヘルパーは以下のステップで対応するよう指導します。

  • ステップ1(傾聴): 「そうですね、お困りですよね」と一旦受け止める。
  • ステップ2(理由説明): 「実は、このお仕事は市役所(または国)との約束で、決まったこと以外をすると事業所が罰せられてしまうんです」と、ルールであることを伝える。
  • ステップ3(報告の約束): 「私の一存では決められないので、責任者に相談して、ケアマネジャーさんともお話ししてみますね」と、組織として対応することを約束する。

このように、個人としての拒絶ではなく「制度上の制約」であることを強調することで、利用者との信頼関係の悪化を防ぎます。アセスメント作成方法を適切に行い、契約段階で「できること・できないこと」の認識合わせを済ませておくことも重要です。

ケアマネジャーへの報告とプラン変更

現場で拾った「算定外のニーズ」は、必ずケアマネジャーにフィードバックします。もしそれが利用者の生活に不可欠なものであれば、ケアプランの変更や、他の社会資源(自治体の独自のサービスやボランティア、自費サービスなど)の導入を検討するきっかけになります。

専門家の声

介護コンサルタントとしてそして現場の人間としても、様々な施設および現場を見て言えることは、ケアマネジャーは現場の細かい要望をすべて把握しているわけではないということです。サービス提供責任者が『サービス外の依頼が増えている』という事実を数値化して報告することで、ケアマネジャーもプランの妥当性を再検討しやすくなります。これが結果として、適切な単位数(売上)の確保につながります。

シャドーワークをなくすための実務チェックリスト

最後に、自社の訪問介護事業所がシャドーワークの温床になっていないか、以下の項目でチェックしてみてください。

確認項目チェックのポイント対策
訪問記録の整合性予定時間と実績時間に不自然な乖離がないかICT活用によるリアルタイムな時間管理の導入
記録の内容計画にない行為(草むしり、家族の分など)の記載がないか定期的な記録の相互チェックと指導
移動時間の管理移動中の買い出しや私用が常態化していないか走行距離や移動ルートの適正化
契約時の説明重要事項説明書に「算定外項目」が明記されているか契約時の説明補助ツールの作成
スタッフの心理「断るのが申し訳ない」という空気が蔓延していないか現場での「お断り事例」の共有とロールプレイング

この表は、訪問介護におけるシャドーワーク発生のリスクを確認するための指標を示したものです。

業務改善の5S活動を現場に取り入れることで、不要な業務を整理し、本来の介護サービスに集中できる環境を整えることができます。また、経費削減のアイディアを練る際も、まずはこうした「目に見えない労働コスト」の削減から着手するのが最も効果的です。

シャドーワークを排除することは、冷徹な判断ではありません。むしろ、ヘルパーを不当な労働から守り、事業所を法的リスクから守り、そして利用者に対して「介護保険という公正な制度」を提供し続けるための、誠実な経営判断と言えます。

運用を抜本的に見直すのはパワーが必要ですが、一度「正しい型」ができてしまえば、その後の経営は驚くほど安定します。今の記録方法や報告体制に少しでも不安を感じるなら、それは改善の大きなチャンスです。

よくある質問

ケアマネとシャドーワークはどのような関係がありますか?

シャドーワークの多くは、ケアマネと現場の情報共有不足から発生します。

典型的な流れは次の通りです。

  1. 利用者・家族から現場に追加依頼
  2. 現場が善意で対応
  3. ケアマネへ報告されない
  4. ケアプランが更新されない
  5. シャドーワークが常態化

つまり、ケアマネとの連携不足=シャドーワーク発生の最大要因です。

ケアマネにどのタイミングで報告すべきですか?

次のような変化があれば、即報告が基本です。

  • 計画外の支援依頼があった
  • 支援時間が足りないと感じた
  • 家族から追加要望があった
  • 利用者状態が変化した

ポイントは実施してから報告では遅いということ。「依頼があった時点」での報告が理想です。

ケアマネとシャドーワークを防ぐための最初の一歩は?

最初の一歩は、「計画外対応は必ず報告する」ルール化です。

おすすめルール

  • 計画外依頼 → 必ず報告
  • 対応した場合 → 必ず記録
  • 継続依頼 → プラン見直し依頼

このルールを徹底するだけでも、ケアマネとシャドーワークの問題は大幅に減らせます。

まとめ

訪問介護におけるシャドーワークは、ヘルパーの善意や現場の慣習から生まれやすいものですが、放置すれば運営指導での指摘や未払い残業代訴訟、そして離職率の悪化を招く深刻な経営リスクです。厚生労働省の通知やQ&Aに基づき、何が算定対象で何が対象外かを全スタッフが共通認識として持つことが、対策の第一歩となります。

重要なのは、個々のヘルパーに「断る勇気」を強いるのではなく、事業所として「ルールを守る仕組み」を提供することです。デジタルツールの活用やケアマネジャーとの密な連携を通じて、サービス提供の境界線を明確にしましょう。

  • まずは現在の訪問記録を見直し、計画外の記述がないか確認する
  • 利用者や家族に対し、契約時や更新時に「できないこと」を改めて丁寧に説明する

書類やルールの整備は、一度作ってしまえば長く使える事業所の資産になります。「何を残せばいいか」「今の運用で本当に大丈夫か」と迷われたときは、専門のサポートを検討してみるのも一つの手です。現場の負担を減らしつつ、行政にも堂々と説明できる体制を整えることで、経営者としての安心感は格段に変わります。あなたが本来向き合うべき「より良い介護の追求」に専念できるよう、まずは足元の運用を整えるところから始めてみるのも良い選択です。

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