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【重要】介護の法令遵守(コンプライアンス)をわかりやすく解説

介護の法令遵守 コンプライアンスについて解説

近年、介護業界ではコンプライアンス違反による行政処分が相次ぎ、事業継続に大きな影響を及ぼすケースが増えています。

介護保険制度は公費によって運営されているため、事業所には「安全で質の高いサービスを提供すること」だけでなく、「適切で説明責任を果たす運営」が求められます。

しかし多くの管理者・施設長からは、
「専門用語が難しく、法律のどこを見ればよいかわからない」
運営指導の準備が不安だが、相談できる人がいない」
といった声をよく聞きます。

本記事では、専門家である片山海斗が介護事業所が守るべきコンプライアンスを、経営初心者でも理解できるように解説します。

違反事例、運営指導で指摘されやすいポイント、内部体制の整え方、研修・マニュアルの作り方など、今日から使える実務レベルの内容をお伝えします。

管理者・施設長・経営者の方は、この記事を読み進めることで「何から着手すべきか」が明確になります。

この記事でわかること

  • 介護事業所に求められるコンプライアンスの全体像
  • 運営指導(実地指導)でチェックされる主要ポイントと事前準備
  • 事業所が今日から取り組むべき内部体制づくりと違反リスクの回避方法
目次

介護コンプライアンスとは何か

コンプライアンスのイメージ

「コンプライアンス」とは、単に法律を守るだけでなく、「制度趣旨・社会的規範に沿った適正な運営」を含む広い概念です。

介護業界におけるコンプライアンスは、次の3要素で成立します。

  • 法令遵守(介護保険法・老人福祉法・労働法など)
  • ガイドライン・解釈通知の遵守
  • 利用者の尊厳・権利擁護に基づく運営倫理

特に2023~2025年は、厚生労働省が不正請求対策を強化し、全国の自治体に対して運営指導の徹底が通知されているため、事業所にとって「いま最も重要な課題」と言えます。
参考:厚生労働省 公式サイト

専門家の声

これまで数多くの事業所を支援してきましたが、コンプライアンス違反の多くは「悪意ではなく知識不足」から発生しています。
特に「記録管理」「加算の算定要件」「研修の未実施」は、気付かないうちに制度違反となるケースが非常に多いです。
この記事を読むことで、まずは“最低限必要なポイント”を押さえていただければと思います。

介護事業所に求められるコンプライアンスの基本構造

介護事業所に求められるコンプライアンスは、単に法律を守るだけでなく、利用者に安全で質の高いサービスを安定的に提供するための運営基盤そのものです。

介護保険制度は公費によって支えられており、不正請求や不適切な運営は事業所にとって財務リスクや行政処分につながります。

また、職員が安心して働けること、利用者や家族からの信頼を維持するためにも、コンプライアンス遵守は不可欠です。

介護事業所が守るべきコンプライアンスは、大きく分けて次の5つです。

  • 法令・基準の遵守:介護保険法や関連法令に基づき、適切な介護サービスを提供すること
  • 請求(レセプト)の正確性:不正請求や過誤請求を防ぎ、算定根拠を明確にすること
  • 人員・設備基準の遵守:職員の配置基準や資格要件、施設設備基準を満たすこと
  • 記録・帳票の整備と保存:サービス記録、契約書、研修記録などを適切に整備・保管すること
  • 利用者権利の保護:プライバシー・人権・意思決定の尊重など、利用者の権利を守ること

これらのうち特に指摘が多いのは以下の要素です。

人員基準・資格要件の遵守

管理者・サービス提供責任者・計画作成担当者などの配置基準は、自治体による監査で必ず確認されます。

資格取得時期や常勤換算、勤務時間の根拠となる勤務表が正確でない場合、重大な指摘につながるため注意が必要です。

記録・帳票の整備

介護記録は、サービス提供の証拠であり、請求の根拠でもあります。

記録が不十分・欠損している場合、自治体は「サービスが提供されなかった可能性」と判断し、返還(返金)を求めることがあります。

特に以下は運営指導で必ず確認される項目です。

  • モニタリング記録
  • アセスメント
  • 計画書(ケアプラン・訪問介護事業計画など)
  • 実績記録
  • ヒヤリハット・事故報告書

記録の整備が不十分だと、最悪の場合は「不正請求」と判断されるリスクもあります。

個人情報保護と情報セキュリティ

個人情報保護法に基づき、利用者情報の管理・外部提供ルールの明確化、持ち出し制限、端末管理、パスワード設定などが求められます。

特にクラウド利用が増えている現在では「IT管理の基礎知識」が不可欠です。
参考:個人情報保護委員会 公式サイト

専門家の声

現場では「帳票が揃っていない」「人員基準の計算が曖昧」など、運営の“当たり前”が整っていないケースが非常に多いです。

これらはすべて運営指導で高確率で指摘される項目であり、改善には早期の仕組みづくりが欠かせません。特に記録不備は最も大きな返還リスクにつながるため、まずは記録の標準化から着手することを強く推奨します。

実地指導(運営指導)で問われるコンプライアンスの本質

コンプライアンスの書類イメージ

介護事業所に対する運営指導(実地指導)は、単に過去の帳票や書類が揃っているかを確認するだけの形式的なチェックではありません。最も重要なのは、事業所が介護保険制度や関連法令に基づき、日常的に安定して適切なサービスを提供できる体制を構築・運用しているかです。

そのため、運営指導では加算算定や請求の適正性、契約や記録の整備、人員配置や研修体制など、事業所運営の中核に関わるポイントが重点的に確認されます。これらを事前に理解し、日常業務に反映させることが、返還請求や行政指導といったリスクの回避につながります。

運営指導で特にチェックされやすい具体的な領域は以下の通りです。
参考:介護保険施設等運営指導マニュアル(厚生労働省)

加算算定・請求の整合性

  • 加算要件の満たし方(記録・研修・配置基準)
  • サービス提供時間・回数と請求単位の整合性
  • 加算算定根拠書類の保管と提示

記録・契約関連

  • サービス提供記録・アセスメント・計画書
  • 契約書・重要事項説明書の内容確認
  • 事故報告・ヒヤリハット記録の適正管理

人員・研修体制

  • 配置基準・勤務表・常勤換算の確認
  • 研修実施記録(虐待防止・身体拘束廃止・ハラスメント・感染症対策・個人情報保護など)
  • マニュアル整備状況
専門家の声

運営指導で評価されるのは、書類の整備状況だけではありません。

重要なのは、どの職員でも手順を理解し、いつでも適切にサービスを提供できる体制が整っているかです。帳票やマニュアルはあくまでもその証拠であり、現場の運用が伴っていないと指摘対象になります。

事前に加算算定、記録、研修、配置基準などのポイントを整理し、日常業務に組み込むことが、リスク回避と事業所の信頼維持につながります。

介護事業所で起きやすいコンプライアンス違反の実例

介護事業所では、日常業務の忙しさや慣習により、気づかないうちにコンプライアンス違反が発生してしまうことがあります。
小さなミスや不備が積み重なると、不正請求や虐待、個人情報漏洩といった重大な問題につながり、返還請求・行政処分・最悪の場合は事業所指定の取り消しに直結します。

特に、請求の誤りや記録・帳票の不備、利用者権利の軽視は、運営指導で指摘される頻度が高く、放置すると経営にも深刻な影響を及ぼします。このため、事業所の管理者や施設長は、過去の事例を学び、自社の運営体制を常に点検・改善することが不可欠です。

次に、介護現場で実際に起きやすいコンプライアンス違反の具体例を詳しく解説します。

介護コンプライアンス違反事例3つ

加算要件の不備による不正請求・誤請求

事例

研修受講が義務付けられている加算で、受講証明が確認できないまま加算を算定してしまったケース。また、特定サービスの提供時間が実際より短いにもかかわらず加算を請求した事例があります。

問題点

要件を満たさない加算請求は、不正請求や過誤請求にあたり、行政からの返還請求や指導対象となります。加算算定の不備は、財務リスクだけでなく事業所の信用低下にも直結します。

解決・対策

  • 加算要件を一覧化し、職員全員に周知
  • 研修受講やサービス提供の記録を日常的に確認・保存
  • 内部監査で定期的に算定状況をチェック

利用者への不適切ケア・虐待

事例

入浴や排泄介助の際に乱暴な扱いをしたり、注意や暴言、無理な行動制限を行ったケースがあります。また、介護職員の疲労や人手不足により、必要なケアを怠ることも問題として報告されています。

問題点

身体的・心理的虐待は重大な法令違反であり、行政処分や刑事責任につながるリスクがあります。利用者や家族の信頼を失い、事業所全体の評判にも大きな影響を及ぼします。

解決・対策

  • 介護マニュアルに沿った安全なケア手順を周知
  • 職員研修で虐待防止やコミュニケーション方法を徹底
  • ヒヤリハットや相談体制を整備し、早期発見・改善

個人情報・記録管理の不備

事例

紙の記録を施錠せず放置したり、パソコンのアクセス制限がなく複数職員が自由に閲覧できる状態。さらに、サービス記録や契約書に虚偽の記載をしてしまったケースもあります。

問題点

個人情報や記録管理の不備は、情報漏洩のリスクだけでなく、個人情報保護法違反や監査指摘の対象となります。利用者の信頼を損ない、事業所の信用低下につながります。

解決・対策

  • 個人情報の保管場所やアクセス権限を明確化
  • デジタル・紙両方の記録を施錠・暗号化
  • 定期的に記録の確認・内部監査を実施
専門家の声

介護事業所で発生するコンプライアンス違反は、日常業務の中でうっかり起こってしまうことがほとんどです。しかし、過去の事例を知り、なぜ問題になったのかを理解することは非常に重要です。

そのうえで大切なのは、学んだ内容を事業所の日常運営に落とし込み、再発を防ぐことです。具体的には、加算算定や請求のチェックリストを作成したり、記録や契約書の整備、研修体制の定期実施など、現場の業務フローに組み込むことです。

こうした取り組みを継続することで、違反の未然防止だけでなく、利用者や職員の信頼維持、事業所全体の安定した運営にもつながります。

今日からできるコンプライアンス対策

コンプライアンスの研修イメージ

介護事業所でのコンプライアンスは、日々の業務の中で少しずつ積み上げることが重要です。

特に管理者や施設長は、法律や制度を正しく理解し、職員が迷わず適切に業務を行える環境を整えることが求められます。
即実践できる具体的な対策を整理します。

介護コンプライアンス対策の4ポイント

職員研修を体系化する

  • 年次・月次で研修計画を作成
  • 研修内容例:虐待防止、身体拘束廃止、ハラスメント、感染症対策、個人情報保護、加算算定・記録
  • 実施記録を保存し、運営指導で提示できる状態にする

マニュアル整備・設置

  • サービス提供手順、記録方法、加算算定ルールを明文化
  • 職員がすぐ見られる場所に介護マニュアルを設置(紙・デジタル両方推奨)
  • 更新履歴を管理して最新状態を維持

内部監査体制を構築する

  • チェックリストによる定期監査(月次・四半期)
  • 指摘事項の改善計画を作成・フォロー
  • 可能であれば外部専門家によるレビューも活用

相談しやすい環境を作る

  • ハラスメント禁止・匿名相談窓口の設置
  • 職員が気軽に声を上げられる職場づくり
  • 相談結果を運営改善に反映する仕組み
専門家の声

介護事業所では、職員数が少ないために内部監査体制を十分に整えられなかったり、マニュアルや運用の見直しが後回しになってしまうケースが少なくありません。

しかし、外部の専門家を活用することで、効率的にリスクを点検し、改善策を実施することが可能です。

例えば、マニュアルが古く加算算定や法改正に対応できていない場合でも、外部コンサルが第三者の視点でレビューし、具体的な改善ポイントを提示します。
さらに、内部監査や日常業務チェックの代行・アドバイスを受けることで、小規模事業所でも制度に沿った安定した運営体制を整えられます。

コンプライアンス違反がもたらすリスク

介護事業所でコンプライアンスが守られない場合、影響は単なる書類上の指摘や軽い注意にとどまりません。
小さな違反や手続きの不備が積み重なることで、事業所の運営や信用に深刻なダメージを与えることがあります。

具体的には、以下のようなリスクが考えられます。

  • 行政処分・指定取消し:不正請求や虐待などが発覚した場合、事業所の指定取り消しや加算停止の対象となる
  • 返還請求・財務リスク:不適正請求分の返還、加算の返還が発生
  • 信用低下・評判リスク:利用者・家族・地域社会からの信頼を失う
  • 職員離職・採用難:不正やトラブルのある職場は職員が定着せず、採用にも影響
  • 訴訟リスク:虐待や情報漏洩により民事・刑事責任が問われる場合がある
専門家の声

これまで支援してきた事業所では、違反が1件発覚すると連鎖的に他の問題も露見するケースが多いです。

リスクを最小化するためには、日常的に体制を点検・改善し、記録・研修・内部監査を習慣化することが非常に重要です。
管理者は、日常業務の中で小さな違反の芽を見逃さず、チェック体制や研修を継続的に行うことが不可欠です。

コンプライアンスを守ることは、単に法律を遵守するだけでなく、事業所の安定運営と利用者・職員の安全を守ることにつながります。

コンプライアンス遵守が質の高いサービスにつながる理由

コンプライアンスを守ることは、単に法令違反を避けるためだけではありません。
利用者や家族にとって安全で安心なサービス提供、職員にとって働きやすい環境づくり、事業所の持続可能性にも直結します。

  • 法令遵守により、加算・補助金などの財務リスクを防止
  • 記録やマニュアル整備により、職員が迷わずサービスを提供可能
  • 研修や相談環境の構築により、事故や虐待の発生を未然防止
  • 透明性の高い運営により、地域社会や利用者家族からの信頼向上
専門家の声

コンプライアンスは「面倒なルール」ではなく、サービスの質と信頼性を高める仕組みです。
制度を正しく理解し、日常業務に組み込むことで、職員も安心して働ける環境が整います。
結果的に利用者満足度が上がり、事業所の安定経営につながります。

まとめ

介護事業所におけるコンプライアンスは、法令遵守だけでなく、サービス品質向上、職員定着、地域からの信頼獲得にも直結する重要な要素です。運営指導や不正請求のリスクを回避するためには、以下の対策を実践することが推奨されます。

  • 職員研修の計画・実施・記録管理
  • マニュアル整備と常時閲覧可能な設置
  • 内部監査体制の構築
  • 相談しやすい環境の整備
  • 日常的な記録・帳票・加算算定の確認

まずは自社の現状を把握し、改善すべき優先順位を明確にすることが成功への第一歩です。

専門家の声

介護事業所のコンプライアンスは、単なる法律やルールの遵守にとどまらず、利用者の安全・安心、職員の働きやすさ、そして事業所の安定運営につながる非常に重要な要素です。

過去の事例から学び、加算算定や請求の整合性、記録管理、研修体制、マニュアルの最新化など、日常業務に組み込む形で対策を行うことが不可欠です。
少しでも不安がある事業所の方でも、介護コンサルタントのアドバイスやレビューを活用することで、効率的かつ確実にリスクを防ぐことが可能です。

コンプライアンスを守ることは、事業所の信用を守り、利用者や職員にとって安全で質の高い介護サービスを提供することに直結します。
今日からできる具体策を一つずつ実践していくことが、安定した事業運営の第一歩です。

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