【完全版】介護職員の採用は難しい?業界の課題を解決する採用方法とは

介護採用戦略

人材不足が深刻化する介護業界。

将来的に介護ニーズは2045年まで伸び続ける一方で、人材確保が介護事業所の大きな課題となっています。

今回は、介護人材確保に必須である「採用戦略」の策定方法をコンサルタント監修のもと解説いたします。

「求人をかけてもなかなか人が集まらない」
「人を雇用してもすぐに離職してしまう」

そんな課題を持った介護管理職や介護事業者の方はぜひ最後までご覧ください。

目次

介護業界の採用が難しいと言われる理由と3つの課題

介護業界における人材採用の現状に大きく3つの課題があります。

  1. 事業所側と働き手側のミスマッチ
  2. 有効求人倍率増加による採用難
  3. 人材紹介会社の高すぎる採用手数料

求人のミスマッチ

実際に求人をかけても「事業所が求めている人材」と「働きたい人の条件」が合わない場合があり離職につながっているケースが多々あります。

業界全体の離職率は減少傾向にあるものの、6割の介護事業所が採用が困難であるという結果が「介護労働安定センター」の調査により発覚しています。

介護職員が離職してしまう理由は以下の通りです。

参考:令和2年度介護労働実態調査結果

上記図参考。

黄色の長方形で囲んである「職場の人間関係に問題があったため」「事業所の理念や運営の在り方が不満」2つの理由は事業所で解決できる課題です。


離職を防ぐには「理念の見直し」「職場環境の見直し」をすることが効果的です。

有効求人倍率の増加

厚生労働省:一般職業紹介状況

有効求人倍率とは、1人の求職者に対してどれだけの求人があるかを指している数字です。

厚労省のデータをみてみると、有効求人倍率は都道府県の格差が非常に大きいものの、全職種全体のデータを照らし合わせると3倍もの差をつけており、介護人材不足は深刻であるといえます。

人材紹介会社の高すぎる採用手数料

人材紹介会社を利用されている介護事業所は多いかと思いますが、紹介手数料に悩まれたことはないでしょうか?

一人職員を採用するだけでも100万円以上掛かるケースも珍しくありません。さらには、せっかく採用したにもかかわらず、採用数ヶ月後には離職してしまい、紹介料をペイできなかった…というお悩みを抱えておられる経営者をたくさん目の当たりにしてきました。

当社では、採用を内製化(紹介会社に頼らない方法で採用する方法)をご支援しております。LINEやお電話でご相談に乗っておりますので、お気軽にご相談ください。

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他にも、介護事業所には、採用サイトの制作や人材紹介会社からWebの制作といった営業が頻繁にあります

一部の業者はSEO対策もせず、効果の低いWebページの制作で30~50万円/月1万円~といったプランを売っている悪徳業者が一定数いるのも確かです。

介護業界の採用事情と採用戦略を立てるべき理由

先に書いたとおり、介護業界は深刻な人材不足でありこれからも進んでいくことが予想されます。

多くの介護事業所は「有資格者や経験年数」が採用基準になっており、職場環境にあわず離職につながっているケースが良く見られます。

求人のミスマッチや採用コスト・求人広告費を下げるための採用戦略は必須ですので、採用戦略を立てるべき理由を解説します。

入社後の離職を減らすため

経験年数も多く、有資格者である人を雇用しても、実際に採用者の能力が求めているレベルに見合わなかったケースがあります

人材を採用するには「採用コスト」「広告宣伝費」「教育コスト」が掛かるので、それを無駄にしないためにも採用戦略は重要な要素であるといえます。

応募がない状況を防ぐため

介護職員の数が足りていないにも関わらず、人員は問題ないという介護事業所があります。

人手不足と人手不足ではない事業所の違いは「事業所が(働き手に対して)どんな魅力があり、どんな理念なのか」を求職者に伝えるための戦略があるかないかです。

介護業界における採用戦略とは?

採用戦略とは、会社の方向性や理念をもとに考える、採用活動の方策のことです。

採用戦略を立てる上での注意点

「経験年数や身体介護のスキル」を採用基準にしている事業所がありますが、「経験年数=能力」が高いひとではありませんし、オムツ交換が速くできても雑なら何の意味もありません

介護職に大切なのはエビデンスがあり自社の理念にそった価値提供ができることです。経験年数は必須要件ではないので注意して採用戦略を練りましょう。

採用戦略を立てる前のチェックリスト

採用戦略を策定する前に、必ずチェックしてほしい項目を用意しました。

現場の声を聞き、ニーズを把握する

まずは、入職後の離職者を減らすために、現場で働く人が何を求めているのかを把握します。把握していないと、採用するためのコストや、広告費、教育する時間やコストが全て無駄になってしまいます。

職場環境が整っているか確認する

採用戦略を立てる前に「職場環境」が整っているか把握しましょう。ここで重要なポイントは「現場で働く人の視点にたって考える」ことです。

以下、チェックリストです。参考にしてください。

  • 残業は、週3時間以内か
  • 入職3か月以内の離職者が過去にでていないか
  • 理念に基づいた教育制度があるか
  • OJT等を用いた研修制度とその評価制度は構築されているか
  • 仕事の相談ができる窓口(人や人事機能)を配置しているか
  • 業務が円滑に進むためのICT/ITシステム等は導入しているか

どれも最重要項目ですが最低でも4つはクリアしてください。

職場環境の改善に役立つ「理念の浸透」の重要性について詳しく知りたい方はこちら

介護業界における採用戦略の立て方

採用したい求職者の要件を洗い出す(ターゲット設定)

実際に採用活動をおこなうにあたって、採用したい人物像(ターゲット)を掘り下げて考えます。求人ターゲットを考える理由は”入職後の離職を限りなく減らすため“です。

求職者ターゲット例

20代・男性・介護職・業界歴5年

性別・年齢・経歴

性別や年齢は人物像をイメージするために決めるものなので、概ねのイメージで大丈夫です。

性格やその人の持つ価値観

介護は人と深くかかわる仕事なので、求職者の性格や介護観、価値観は重要です。
どのような人が良いかをなるべく具体的に考えましょう。

より詳細に採用したい求職者の要件を決める(ペルソナ設定)

ターゲット(採用したい人物増の概要)を決めて、さらに深堀りするとき「ペルソナ(採用したい人物像の詳細な要件)」まで設定することもあります。

ペルソナとはもともと、ユングが提唱した心理学用語で仮面(Persona)を意味します。ターゲットでは「20代・男性・介護職・業界歴5年」と概要を決めましたが、ペルソナでは求職者の情報をより詳細に落とし込みます

求職者のペルソナ例

  • 年齢:27歳
  • 住まい:大阪府大阪市
  • 学歴:福祉分野の専門学校卒
  • 経歴:特養とデイサービスの経験あり
  • 資格:ヘルパー2級
  • 趣味:釣り、ジョギング
  • 家族構成:一人暮らし(両親は大阪に在住)

採用ブランドを確立させる

次に、採用戦略の基礎となる「ブランド化」について検討しましょう。

採用ブランド(ブランディング戦略)とは、自社の事業所の魅力、つまり働き手にとってどんなメリットがあるかを整理し、戦略的に発信する方法です。

自社の事業所の理念や働きやすさ、地域にとってどんなサービスをしているかを明確化しましょう。

採用ブランディングについて詳しく知りたい方はこちら>>

利用者視点のブランディングの記事はこちら

採用コストの試算

採用コストとは?

採用コスト(採用に係る経費)は2通りあり、内部コストと外部コストにわかれています。

内部コスト:事業所の人件費

内部コストとは、採用業務にかかる人件費のことです。介護事業所でいえば「面接や採用担当者の人件費」が内部コストとして挙げられるでしょう。

採用担当者が決まっていない場合は、時間を正しく把握することが難しい場合もありますので例を下記に記載しました。例では、1時間の面接に2,038円掛かっていることが分かります。

例)施設長または管理者{年収400万円(社保込み)/年間休日120日を仮定}としたときに係る人件費算出

400万円(年収)÷240日(年間勤務日数)=16,667円(日給)

16,667(日給)÷8(出勤時間数)=2,083円(時給換算)

2,083円×1時間(面接時間)=2,083円(内部コスト:人件費)
=1人あたりに1時間の面接時間を費やした場合に係るコスト

これに、会社説明会やパンフレット等を自作した場合の時間を掛けると結構な金額になるかと思います。

外部コスト:外部委託費

外部コストとは、そのまま外部に払った費用の合計の事を指します。

  • パンフレットの印刷代・制作費
  • 求人広告費
  • 人材紹介成果報酬(業者にお願いする場合)

採用代行サービスを利用したときに紹介料(マージン)がかかりますが、それも外部コストとして計上しましょう。また、介護業界は特に人材紹介成果報酬が高いので、採用コストの大部分が外部コストが占めることもあります。そのため、定期的に見直す必要があります。

自社採用に取り組むことで外部コストは削減できますので、採用戦略をしっかりと策定しましょう。その他に、介護事業所が取り組める経費削減策はこちらの記事で紹介しています。

採用コスト算出の方程式

実際に、採用コストがどれだけかかっているのかを計算しましょう。

計算方法は「外部コスト」+「内部コスト」=総額の採用コスト

「総額の採用コスト」÷「採用人数」=1人あたりの採用コスト

上記でも触れましたが、外部サービスをどれだけ減らせるかが介護事業経営に必要なキーポイントとなってきます。

採用コストの平均値

日本企業の平均採用単価は以下の通りです。1人あたりでみると、中小企業は大企業よりも高い採用費を払わなければ人材を確保するのが難しい現状です。

しかし、あまり採用戦略に目を置いていない今の介護業界なら、採用戦略を策定することで自社採用ができ、1人あたりの採用コストは中途採用で10万円(弊社実績15名採用)も可能です。

介護スタッフ採用戦略について詳しく知りたい方はこちら

採用チーム(人事部)を構成する

採用コストをおさえて効率をあげるためには、「経営の視点」「運営の視点」「現場の視点」この3つは必須です。

経営の視点で、採用に係る費用や戦略の指揮をとる
運営の視点で、採用後の教育や管理体制の統率をとる
現場の視点で、採用に必要な求職者ニーズを把握する

必ず3人構成で取り組んでください。せっかく戦略を決めて実行しても最大限の効果を見出せません。

チームの構成方法は、次期リーダー候補などの「これから育てる人材」に焦点を置いて決定しましょう。将来的に自社のノウハウとして蓄積され、採用の独走状態をつくることができます。

求人媒体を見直す

近年、情報社会の拡大により様々な採用媒体が提供されています。

  • 採用管理システム
  • 求人サイト
  • 自社の採用サイト
  • 動画
  • チラシ
  • 広報紙
  • パンフレット

各採用媒体も一長一短ですが、若い介護人材が不足している介護業界では、インターネットでも採用は欠かせないため、必ず1つは活用しましょう。

また、先ほど決めた「求職者ニーズ」をIndeedや広報紙に落とし込むことで、効率があがります。ぜひ試してみてください。

事業所の説明資料をつくり、公開する

求職者または入職者に向けた資料を制作していない介護事業所が大半です。

求職者に事業所の何をしってほしいか。どんな働き方ができるのかを資料に落とし込み、面接の際に手渡しすることで、求人のミスマッチを減らす事ができます

資料の制作方法を詳しく知りたい方はこちら

面接後のフォローアップは迅速かつ丁寧に

求人を掲載、面接、選考、採用の流れが一般的ですが、面接後のフォローアップをすることで、選考している期間に他の事業所への流入を防ぐ事ができます。

前向きに採用を検討している場合は、前向きに検討している主旨を面接後、電話で伝えましょう。

採用戦略やることリスト(中途採用)

採用媒体が決定したら、媒体を使用する準備から採用活動の開始~終了までのスケジュールを組みます。中途採用を仮定し、中途採用やることリストを制作しました。ぜひ参考にしてください。

時期やることリスト
1ヶ月目求職者のターゲットを決定する
採用ブランディング(ターゲットから戦略化する)
予算を算出する(1人あたりの採用コストを計算する)
採用人数を決める
採用チーム構築
会社の説明資料を作成する
2ヶ月目求人媒体を決定する
求職者ニーズをもとに求人広告を作成する
3ヶ月目求人広告掲載開始
面接
面接後フォロー
選考
採用
勤務開始

採用戦略を策定し、経営の安定化へ。

いかがでしたでょうか。今回は採用戦略に関して具体的にお伝えしました。
弊社では、職場改善から採用後のフォローアップまで徹底的にサポートしております。
1時間の無料相談を実施していますので、ぜひお問い合わせください。

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