【完全保存版】介護人材不足を解決!採用戦略の立て方を徹底解説

監修者
片山海斗

介護人材不足が深刻化する介護業界。
しかしながら将来的に介護ニーズは2045年まで伸び続け、人材確保が介護事業所の大きな課題となっています。
今回は、介護人材確保に必須である「採用戦略」の策定方法をコンサルタント監修のもと解説いたします。
「求人をかけてもなかなか人が集まらない」
「人を雇用してもすぐに離職してしまう」
そんな課題を持った介護管理職や介護事業者の方はぜひ最後までご覧ください。
Contents
介護業界で蔓延る3つの採用課題
求人のミスマッチ
実際に求人をかけても「事業所が求めている人材」と「働きたい人の条件」が合わない場合があり離職につながっているケースが多々あります。
業界全体の離職率は減少傾向にあるものの、6割の介護事業所が採用が困難であるという結果が「介護労働安定センター」の調査により発覚しています。
介護職員が離職してしまう理由は以下の通りです。

上記図参考。
黄色の長方形で囲んである「職場の人間関係に問題があったため」「事業所の理念や運営の在り方が不満」2つの理由は事業所で解決できる課題です。
離職を防ぐには「理念の見直し」「職場環境の見直し」をすることが効果的です。
有効求人倍率の増加
有効求人倍率とは、1人の求職者に対してどれだけの求人があるかを指している数字です。

厚労省のデータをみてみると、有効求人倍率は都道府県の格差が非常に大きいものの、全職種全体のデータを照らし合わせると3倍もの差をつけており、介護人材不足は深刻であるといえます。
一部の悪徳業者の存在
介護事業所を運営していると、採用サイトの制作や人材紹介会社からWebの制作といった営業が頻繁にあります。一部の業者はSEO対策もせず、効果の低いWebページの制作で30~50万円/月1万円~といったプランを売っている悪徳業者が一定数いるのも確かです。
介護業界の採用事情
ご紹介したとおり、介護業界は深刻な人材不足でありこれからも進んでいってしまいます。
しかしながら、多くの介護事業所は「有資格者や経験年数」が採用基準になっており、職場環境にあわず離職につながっているケースが良く見られます。求人のミスマッチや採用コスト・求人広告費を下げるために採用戦略は必須ですので、これから解説していきます。
採用戦略を立てる理由
入社後の離職を減らすため
経験年数も多く、有資格者である人を雇用しても、実際に求めている能力に欠けているというケースがあります。人材を採用するには「採用コスト」「広告宣伝費」「教育コスト」が掛かるので、それを無駄にしないためにも採用戦略は重要な要素であるといえます。
応募がない状況を防ぐため
介護職員の数が足りていないにも関わず、人員は問題ないという介護事業所があります。人手不足と人手不足ではない事業所の違いは「事業所が(働き手に対して)どんな魅力があり、どんな理念なのか」を求職者に伝えるための戦略があるかないかです。
採用戦略とは?
採用戦略とは、会社の方向性や理念をもとに考える、採用活動の方策のことです。
注意点
「経験年数や身体介護のスキル」を採用基準にしている事業所がありますが、「経験年数=能力」が高いひとではありませんし、オムツ交換が速くできても雑なら何の意味もありません。介護職に大切なのはエビデンスがあり自社の理念にそった価値提供ができることです。特に経験年数は重要ではありませんので注意しましょう。
採用戦略を立てる前にチェックすべきリスト
採用戦略を策定するまえに、必ずチェックしてほしい項目を用意しました。
入職後の離職者を減らすために、現場で働く人が何を求めているのかを把握しましょう。
把握していないと、採用するためのコストや、広告費、教育する時間やコストが全て無駄になってしまいます。
採用戦略を立てる前に「職場環境」が整っているか把握しましょう。
ここで重要なポイントは「現場で働く人の視点にたって考える」ことです。
以下、チェックリストです。参考にしてください。
- 残業が週3時間以内か
- 過去に入職して3か月以内に離職者がでていないか
- 仕事の相談ができる窓口(人)を配置しているか
- 業務が円滑にいくようにICT等を導入しているか
- 理念に基づいた教育制度があるか
- OJT等を用いた評価制度を構築しているか
どれも最重要項目ですが最低でも4つはクリアしてください。
採用戦略の立て方
求職者のターゲットを決定する
実際に採用活動をおこなうにあたって、採用したいターゲットの人物像を掘り下げて考えます。
求人ターゲットを考える理由は”入職後の離職を限りなく減らすため“です。
性別・年齢
性別や年齢は人物像をイメージするために決めるものなので、適当で大丈夫です。
性格やその人の持つ価値観
介護は人と深くかかわる仕事なので、求職者の性格や介護観、価値観は重要です。
どのような人が良いかをなるべく具体的に考えましょう。
採用ブランドを確立させる
次に、採用戦略の基礎となる「ブランド化」について検討しましょう。
採用ブランド(ブランディング戦略)とは、自社の事業所の魅力、つまり働き手にとってどんなメリットがあるかを整理し、戦略的に発信する方法です。
自社の事業所の理念や働きやすさ、地域にとってどんなサービスをしているかを明確化しましょう。
採用コストの計算
採用コストとは?
採用コスト(採用に係る経費)は2通りあり、内部コストと外部コストにわかれています。
内部コスト
内部コストとは、採用業務にかかる人件費のことです。
介護事業所でいえば「面接や採用担当者の人件費」が内部コストとして挙げられるでしょう。
採用担当者が決まっていない場合は、時間を正しく把握することが難しい場合もありますので例を下記に記載しました。
例)施設長または管理者{年収400万円(社保込み)/年間休日120日を仮定}としたときに係る人件費算出
400万円(年収)÷240日(年間勤務日数)=16,667円(日給)
16,667(日給)÷8(出勤時間数)=2,083円(時給換算)
2,083円×1時間(面接時間)=2,083円(内部コスト:人件費)
=1人あたりに1時間の面接時間を費やした場合に係るコスト
これに、会社説明会やパンフレット等を自作した場合の時間を掛けると結構な数になると思います。
外部コスト
外部コストとは、そのまま外部に払った費用の合計の事を指します。
- パンフレットの印刷代・制作費
- 求人広告費
- 人材紹介成果報酬(業者にお願いする場合)
などが挙げられます。採用代行サービスを利用したときに紹介料(マージン)がかかりますが、それも外部コストとして計上しましょう。また、介護業界は特に人材紹介成果報酬が高いので、採用コストの大部分が外部コストで埋まることもあります。そのため、定期的に見直す必要があります。
自社採用に取り組むことで外部コストは削減できますので、採用戦略をしっかりと策定しましょう。
採用コスト算出の方程式
実際に、採用コストがどれだけかかっているのかを計算しましょう。
計算方法は「外部コスト」+「内部コスト」=総額採用コスト
「採用コストの総額」÷「採用人数」=1人あたりの採用コスト
上記でも触れましたが、外部サービスをどれだけ減らせるかが介護事業経営に必要なキーポイントとなってきます。
採用コストの平均値
日本企業の平均採用単価は以下の通りです。
- 新卒採用の1人あたりの採用コスト:48万円
参考:2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査 - 中途採用の1人あたりの採用コスト:39.2万円
参考:マイナビニュース 2014年中途採用状況総括 - アルバイトスタッフ・パート社員の1人あたりの採用コスト:6.4万円
参考:株式会社ツナグ・ソリューションズ
1人あたりでみると、中小企業は大企業よりも高い金額を払わなければ確保が厳しいのが現状です。
しかし、あまり採用戦略に目を置いていない今の介護業界なら、採用戦略を策定することで自社採用ができ、1人あたりの採用コストは中途採用で10万円(弊社実績15名採用)も可能です。
採用チームを構成する
採用コストをおさえて効率をあげるためには、「経営の視点」「運営の視点」「現場の視点」この3つは必須です。
経営の視点で、採用に係る費用や戦略の指揮をとる
運営の視点で、採用後の教育や管理体制の統率をとる
現場の視点で、採用に必要な求職者ニーズを把握する
必ず3人構成で取り組んでください。せっかく戦略を決めて実行しても最大限の効果を見出せません。
チームの構成方法は、次期リーダー候補などの「これから育てる人材」に焦点を置いて決定しましょう。
将来的に自社のノウハウとして蓄積され、採用の独走状態をつくることができます。
求人媒体の見直し
近年、情報社会の拡大により様々な採用媒体が提供されています。
- 採用管理システム
- 求人サイト
- 自社の採用サイト
- 動画
- チラシ
- 広報紙
- パンフレット
各採用媒体も一長一短ですが、若い介護人材が不足している介護業界では、インターネットでも採用は欠かせないため、必ず1つは活用しましょう。
また、先ほど決めた「求職者ニーズ」をIndeedや広報紙に落とし込むことで、効率があがります。
ぜひ試してみてください。
事業所説明資料を制作する
求職者または入職者に向けた資料を制作していない介護事業所が大半です。
求職者に事業所の何をしってほしいか。どんな働き方ができるのかを資料に落とし込み、面接の際に手渡しすることで、求人のミスマッチを減らす事ができます。
面接後のフォローアップ
求人を掲載、面接、選考、採用の流れが一般的ですが、面接後のフォローアップをすることで、選考している期間に他の事業所への流入を防ぐ事ができます。
前向きに採用を検討している場合は、前向きに検討している主旨を面接後、電話で伝えましょう。
採用戦略やることリスト(中途採用)
採用媒体が決定したら、媒体を使用する準備から採用活動の開始~終了までのスケジュールを組みます。
中途採用を仮定し、中途採用やることリストを制作しました。ぜひ参考にしてください。
期間 | タスクリスト |
1ヶ月目 | 求職者のターゲットを決定する 採用ブランディング(ターゲットから戦略化する) 予算を算出する(1人あたりの採用コストを計算する) 採用人数を決める 採用チーム構築 会社の説明資料を作成する |
2ヶ月目 | 求人媒体を決定する 求職者ニーズをもとに求人広告を作成する |
3ヶ月目 | 求人広告掲載開始 面接 面接後フォロー 選考 採用 勤務開始 |
採用戦略を策定し、経営の安定化へ。
いかがでしたでょうか。今回は採用戦略に関して具体的にお伝えしました。
弊社では、職場改善から採用後のフォローアップまで徹底的にサポートしております。
1時間の無料相談を実施していますので、ぜひお問い合わせください。
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