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ケアプランとは?作成手順をわかりやすく解説【文例あり】

ケアプラン作成方法を文例付きで解説


介護施設で介護サービスを提供する際には、必ず「ケアプラン」を作成します。

ケアプランには、利用者に対する支援方針や生活上の課題、利用する介護サービスの内容、支援の目標などがまとめられています。

本記事では、ケアプランの基本から「現場で使える作成手順と文例」まで、実務目線でわかりやすく解説します。専門家 片山海斗のアドバイスもご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること

  • ケアプランの役割と法的な位置づけ
  • 実務で使えるケアプラン作成手順
  • 実地指導運営指導で指摘されやすいポイントと対策
目次

ケアプランとは?

ケアプランの作成イメージ

ケアプラン(介護サービス計画書)とは、利用者の生活課題を整理し、サービスの種類・頻度・担当を明確にする文書です。

居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネージャー)が作成するのが一般的で、様式や記載要領は厚生労働省の「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」に示されています。

ケアプランは単なる“チェックリスト”ではなく、介護支援の思考過程や関係者間の合意形成を可視化するための重要書類です。
参考:居宅サービス計画書標準様式及び記載要領(厚生労働省)

ケアプランの種類とは?

ケアプランの介護イメージ

「ケアプラン」には、利用者の状態やサービス区分によって複数の種類があります。

どの利用者に、どのケアプランが用いられているのかを正しく理解しておくことが、運営指導対策や請求トラブルの防止につながります。

居宅サービス計画(一般的なケアプラン)

要介護1〜5の利用者が、自宅で介護保険サービスを利用する際に作成されるのが「居宅サービス計画」です。

多くの介護事業所で扱う、最も基本となるケアプランといえます。

特徴

・作成者:居宅介護支援事業所のケアマネージャー
・対象者:要介護認定を受けた利用者
・目的:自立支援を前提に、必要な介護サービスを組み立てること

構成

一般的な居宅サービス計画は、第1表〜第7表の7枚で構成されています。
このうち、第4表・第5表を除く書類については、利用者および家族と共有されるのが一般的です。

介護予防ケアプラン(要支援者向け)

要支援1・2の利用者を対象に作成されるのが「介護予防ケアプラン」です。
居宅サービス計画とは異なり、介護が必要な状態になることを防ぐ「予防」の視点が重視されます。

特徴

・作成者:地域包括支援センター、または委託を受けた居宅介護支援事業所
・目的:生活機能の維持・改善、重度化の防止
・考え方:介護するのではなく、できる力を引き出す支援

構成

「介護予防サービス・支援計画表」と「週間サービス計画表」の2種類で構成されています。

施設サービス計画(施設入所者向け)

特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、施設に入所している利用者には「施設サービス計画」が作成されます。

特徴

・作成者:施設の計画作成担当者
・対象者:施設入所中の要介護者
・ポイント:多職種連携を前提とした支援計画

施設サービス計画では、介護職・看護職・リハビリ職・管理栄養士などが関与するため、サービス担当者会議の記録や、利用者・家族との合意形成の証跡が特に重要となります。

ケアプラン作成の全体像(6ステップ)

ケアプランの作成ステップイメージ

一般的にケアプランは、居宅介護支援事業所へ依頼し、ケアマネージャーが作成します。
利用者本人・家族の意向を丁寧に聞き取り、生活の希望やお困りごとを一緒に整理し、チームで作る計画書です。

作成プロセスでは、医療機関・サービス事業所との調整も必要で、これらを体系的にまとめることで、根拠のあるケアプランが完成します。

以下は、実務で必ず押さえたい6つのステップです。

ケアプラン作成フロー
  • 依頼・初期情報収集

    利用者の生活歴、健康状態、要介護認定の情報、主治医意見書、家族状況などを収集。
    この段階で利用者・家族に面談し、「何を大切にして生活したいか」を丁寧に聞くことが重要。

  • アセスメント(課題分析)

    生活機能(ADL)、認知、栄養、住環境、社会参加などの課題を多面的に評価。
    利用者・家族と一緒に課題を確認し、「どう変わりたいか」「困っていることは何か」を共通認識にする。

  • ケアプラン案の作成

    利用者の希望とアセスメント結果を基に、必要なサービスの種類・頻度・時間・担当者を決定。
    利用者・家族と相談しながら、計画案を一緒に作り上げていくイメージが大切。

  • サービス担当者会議(合意形成)

    医療・介護の関係者が集まり、計画案の妥当性を確認。
    利用者・家族が参加するケースもあり、意向を反映しやすい。

  • 利用者・家族への説明と同意

    最終的なケアプランを説明し、文書で同意を得る。
    サービス内容・時間・費用負担の理解を深めてもらう。

  • 実施とモニタリング(評価→修正)

    計画に基づいて介護サービスを提供し、定期的にモニタリングを行う。
    利用者の状態や生活が変わった場合は、家族やサービス事業所と再度相談し、計画を柔軟に見直す
専門家の声

アセスメントは「なぜこのサービスなのか」を説明する根拠になります。運営指導で問われることが多い箇所なので、評価結果と結論(介入理由)をセットで書いておきましょう。

また、現場では“担当が変わるとやり方が変わる”問題がよくあります。アセスメントと根拠をケアプランにきちんと書いておくことで、品質が維持できます。

ケアプラン関連書類の記載内容一覧

ケアプランは、一般的に第1表から第7表までの7つの様式で構成されています。
このうち、第4表・第5表を除く書類は、利用者とケアマネージャーが内容を共有する重要な資料です。

各書類にどのような情報を記載するかについては、下の表に詳しくまとめています。

名称主な記載内容説明
居宅サービス計画書(1表)基本情報、課題・ニーズ、長期目標・短期目標、総合的援助方針利用者の課題や目標、ケアマネージャーによる全体方針をまとめた中心となる計画書です。
居宅サービス計画書(2表)サービス内容の詳細、頻度、担当事業所、時間帯1表で設定した目標を達成するために、いつ・誰が・どのサービスを提供するかを具体的にまとめます。
居宅サービス計画書(3表)週間サービス計画訪問介護、デイサービスなど、週間のサービス提供スケジュールを一覧化したものです。
サービス担当者会議の要点開催日時・場所、出席者、利用者状態、事業所からの意見、方針確認、決定事項ケアプラン作成・変更時に行う会議の記録で、各サービス事業所の意見と最終決定をまとめます。
居宅介護支援経過支援経過、利用者の状態変化、サービス状況、家族の意向、課題の変化、対応内容、評価ケアマネージャーが行った支援の内容と、利用者の状態・サービス状況を時系列で記録する重要書類です。
サービス利用表週間のサービス予定(曜日、時間、サービス内容)利用者や家族が確認しやすいように、1週間のサービス予定を一覧にしたものです。
サービス利用表(別表)サービス単位数、月間合計単位数、区分支給限度額との比較、利用者負担額支給限度額内に収まっているかを確認するための重要な管理表です。

一方で、要支援の方を対象とする『介護予防ケアプラン』は、
「介護予防サービス・支援計画表」と「週間サービス計画表」の2種類で構成されています。

書類名内容説明
介護予防サービス・支援計画表課題、目標、支援内容を整理介護が必要な状態になることを防ぐための基本方針を整理する書類です。
週間サービス計画表1週間のサービス利用の流れを整理実際の生活リズムに沿って、どの曜日にどのサービスを利用するのかを整理します。

実務で使える文例

では実際にケアプランとは、どういう内容を記載するものなのか、例をご紹介します。

初回ケアプラン(例)

  • 利用者:山田太郎(要介護2)
  • 生活課題:日常の入浴・整容動作で介助が必要。転倒のリスクあり。
  • 目標(短期):2か月で入浴時の転倒リスクを軽減し、安全に入浴できるよう介護スタッフが対応する。
  • サービス:訪問介護(週3回、30分×2)、通所リハ(週1回)
  • 根拠:介護認定調査及び自宅訪問でのADL低下の観察に基づく。医師から入浴時の見守りを推奨。
  • 評価方法:バイタルと転倒有無を月次で記録し、要因が継続する場合は訪問頻度を増加。

月次ケアプラン(例)

  • 先月の実施状況:訪問回数は計画通り実施、軽微な滑りあり。家族と協議し浴室の手すり追加を実施。
  • 今月の目標:入浴中の滑りを解消するため、浴室改修とスタッフの見守り継続。
  • 修正点:訪問介護30分→40分へ増回(※利用者・家族同意あり)
専門家の声

この例文では、「介護認定調査やADL評価」「医師の意見」「月次での評価方法」が明確に記載されており、第三者が見ても支援の妥当性を説明できるケアプランになっています。

「このケアプランは、現場職員が読んで理解できる内容か」
「記録と計画がきちんとつながっているか」
を確認することが、運営指導リスクを下げる大きなポイントになります。

ケアプランの質は、事業所全体の支援の質、そして評価にも直結します。書式を整えるだけでなく、「なぜこの支援なのか」が伝わる内容になっているかを常に意識してください。

ケアプランを作成する際の注意点(運営指導で指摘されやすい箇所)

ケアプランを作成する際は、以下の点が運営指導で指摘されやすいため、十分注意しましょう。

ケアプランをケアマネージャーが独断で作成

初めてケアプランを作成する際は、丁寧に利用者・家族にヒアリングを行ったのに、次月以降のケアプラン作成時には、ケアマネージャーの考えだけで原案を作ってしまい、後々問題になるケースがあります。

「まだ数ヶ月しか経過していないから同じ内容で良い」という勝手な認識は、大きな間違いです。

利用者本人が、今まで出来ていた事が数日後には出来なくなることもあります。
必ず更新の際は、本人・家族に様々な角度からのヒアリングをしてあげることが、質の良いサービス提供に繋がります。

根拠不足

なぜその介護サービスが必要なのかについて、評価結果や利用者の状態と結びつけて説明できていないケースが多く見られます。

「ADLが低下しているため」「安全確保のため」といった抽象的な表現だけでは不十分で、どの評価から、どの課題が導かれ、その結果としてこのサービスを選択したのかまで記載することが重要です。

運営指導では、計画と評価、そしてサービス内容の因果関係が説明できるかが確認されます。

同意書の未保管

ケアプランの内容について、利用者本人および家族の同意を得ていても、書面や記録として残っていない場合は不備と判断される可能性があります

特にサービス内容の変更や時間・回数の修正を行った際は、口頭同意のみで済ませず、同意日や署名、説明内容が確認できる記録を保管しておくことが必要です。同意の証跡は、運営指導時に必ず確認されるポイントの一つです。

頻度や時間の曖昧さ

「週数回」「必要に応じて」といった曖昧な表現は、請求内容との整合性が取れず、返戻や指摘の原因となりやすくなります。

サービス提供回数や時間は、「週3回・1回30分」など具体的に明記し、実際の提供実績と一致していることが重要です。

ケアプランの記載内容とレセプト請求が一致しているかは、指導・監査で厳しくチェックされます。

更新履歴が不明確

ケアプランを見直した際に、いつ、誰が、どの内容を修正したのかが分からない状態はリスクが高いといえます。

変更日や担当者名、修正理由を明確に残していない場合、「適切なプロセスを経ていない」と判断される可能性があります。

継続的な支援を証明するためにも、修正履歴を残し、計画の更新過程が第三者にも分かる状態にしておくことが重要です。

法令遵守(コンプライアンス)の違反事例 3つ

先述のケアプラン作成時の注意点を怠ると、コンプライアンスに引っかかってしまう恐れがあります。

以下のような前例と同じケースに陥らないためにも注意しましょう。

ここでは、法令遵守の違反事例を3つご紹介します。

  • 同意書未取得でサービスを開始

    事例:家族の口頭同意のみでサービスを実施し、文書での同意が保管されていなかった。監査で「利用者の同意確認」が不十分と指摘され、是正指導。
    対策:同意テンプレートを必ず用い、電子・紙で二重保管。

  • 根拠のない頻回請求(タイム記録の不備)

    事例:訪問時間が計画と一致せず、請求データに虚偽が疑われると判断され返戻・調査。
    対策:訪問記録(スタッフ署名・タイムスタンプ)を徹底、ソフト連携で証跡を残す。

  • ケアプランと実施記録の乖離

    事例:計画上はリハビリを週2回としているが、実際の提供記録が残っておらず、報酬算定で指摘。
    対策:実施票と計画の整合性チェックを月次で実施する運用を導入。
専門家の声

ある事業所ではケアプランは作っているものの、アセスメントの根拠が書かれておらず、担当交代で質が落ちるケースがありました。
私たちは『評価シート+根拠記載テンプレート』を導入してもらい、結果として実地指導時の指摘が減り、利用者・家族からの信頼も回復しました。運用は“書く文化”の浸透が鍵です。

よくある質問

ケアプランの作成は必須ですか?

介護サービスを利用するにあたって、ケアプランの作成は必要です。ただし、市町村の判断で例外的な運用があるため、詳細は厚生労働省や自治体の最新の通知を確認してください。

ケアマネージャーが兼務してもいいですか?

兼務自体は可能ですが、業務の分担と実施記録が明確でない場合、運営指導で問題になります。厚労省のQ&Aや各自治体Q&Aで要件が示されています。

まとめ

ケアプランは、単なる介護書類ではなく、利用者の生活を支えるための「支援の設計図」です。

どのような課題があり、どんな目標を設定し、なぜその介護サービスが必要なのかを整理し、利用者や家族と共有することで、初めて意味のある計画となります。

特に介護事業所の経営者・管理者にとっては、ケアプランの記載内容が、運営指導での評価、事業所の信頼性、さらには返戻リスクや収益性にまで影響する重要な要素であることを理解しておく必要があります。

質の高いケアプランを安定的に作成・運用するためには、

  • 利用者の状態を正確に把握するアセスメント
  • サービス選定の根拠を明確に記載すること
  • 利用者・家族との十分なヒアリングと説明、合意
  • 同意書や修正履歴などの証跡を残すこと

といった一連の流れを事業所内で標準化することが欠かせません。

また、近年は介護記録ソフトやケアプラン作成支援ツールなどのICTツールを活用することで、記載漏れや根拠不足を防ぎ、運用品質を高める事業所も増えています。

人の経験や属人性に頼るのではなく、仕組みとしてケアプランを管理する視点が、今後の介護経営には求められます。
ケアプランの質を高めることは、利用者満足度の向上だけでなく、安定した事業運営と持続的な成長につながる重要な経営課題です。

本記事をきっかけに、自事業所のケアプラン運用を見直し、より強い介護経営を目指していきましょう。

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