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介護事業所の経営において、「加算を正しく取れているか」は収益性と運営安定に直結します。その中でも ADL維持等加算 は、制度が難解で「名前は知っているが、実際は算定できていない」という事業所が非常に多い加算の一つです。
特に近年は、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出が前提となり、現場・事務・経営の連携が取れていないと算定が難しくなっています。
本記事では、介護経営初心者の方でも理解できるように、ADL維持等加算の定義から算定要件、対象外となる理由、LIFE入力方法、運営指導対策までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること

ADL維持評価とは、利用者の日常生活動作(ADL)が、一定期間のあいだに「維持できているか」「改善しているか」を、決められた評価方法で点数化して確認する仕組みです。
専門的に聞こえますが、経営者・管理者の立場で言い換えると、次のように考えると理解しやすくなります。
「この事業所の介護は、利用者の生活機能をちゃんと守れているかを、数字で説明するための評価」
ADL維持等加算は、この ADL維持評価の結果 をもとに算定されます。
ADL維持等加算は、
といった 「やった内容」だけでは評価されない加算 です。
国(厚生労働省)が重視しているのは、「その介護によって、利用者の生活は実際にどう変わったのか」という 結果 です。
その結果を、事業所ごとの思い込みや主観ではなく、全国共通の基準で比較できる形にするため に用いられるのが、ADL維持評価です。
ADL維持評価では、利用者の次のような 日常生活の基本動作 を確認します。
これらを総合的に見て、「以前と比べて生活機能が保たれているか、良くなっているか」を評価します。
ADL維持等加算で用いられるADL維持評価は、「なんとなく良くなった」「前より元気そう」といった感覚的な判断ではありません。客観的な評価指標(Barthel Index)を用いて、ADLの変化を数値で確認する仕組みが採用されています。
Barthel Index(バーセルインデックス)とは、食事・移動・排泄・更衣などの日常生活動作を点数化し、ADLを0〜100点で客観的に評価する指標です。
ADL維持等加算では、この点数を一定期間ごとに比較し、事業所全体としてADLが「維持または改善」しているかを判断します。

ADL維持等加算を算定するためには、単にADL評価を実施しているだけでは不十分です。
対象サービスであること、評価の方法やタイミングが適切であること、そしてLIFEへのデータ提出が正しく行われていることなど、定められた算定要件をすべて満たす必要があります。
つまり、現場での評価実施だけでなく、評価方法・時期・提出手続きを含めた制度全体の理解と運用が重要になります。
ADL維持等加算は、すべての介護サービスで算定できるわけではありません。
まず前提として、制度上あらかじめ定められた「対象サービス」であることが必要です。
対象外のサービスで、どれだけ丁寧にADL評価やLIFE提出を行っていても、ADL維持等加算を算定することはできません。
そのため、算定を検討する際は、自事業所のサービス種別が対象に含まれているかを最初に確認することが重要です。
ADL維持等加算では、ADL評価を「実施しているかどうか」だけでなく、評価の方法とタイミングが適切かどうかが厳密に確認されます。
評価には、Barthel Index(バーセルインデックス)などの客観的な評価指標を用い、初回評価・中間評価・最終評価を、定められた時期に実施する必要があります。
評価時期がずれていたり、評価方法が統一されていなかったりすると、実際に評価を行っていても「要件未達」と判断される可能性がある点に注意が必要です。
ADL維持等加算は、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出が算定要件に含まれている加算です。
そのため、ADL評価を実施していても、LIFEへの提出が行われていなければ算定できません。
また重要なのは、
が、事業所内の記録とLIFE上の情報で一致していることです。
LIFEへの提出漏れや入力ミスは、運営指導(実地指導)で指摘されやすく、場合によっては返還対象となるため、経営・管理の視点でのチェック体制が欠かせません。
ADL維持等加算には「加算Ⅰ」と「加算Ⅱ」の2区分があり、どちらを算定できるかは、ADL利得の基準やLIFEへの提出状況など、算定要件の達成度によって異なります。
特に2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、加算ⅡのADL利得要件が引き上げられるなど、区分間の実務上の差がより明確になりました。
そのため、「単位数の違い」だけでなく、求められる体制・評価水準の違いを整理して理解することが重要です。
以下の表では、ADL維持等加算Ⅰ・Ⅱの違いを、2024年度改定後の算定要件の観点から比較しています。
| 項目 | ADL維持等加算Ⅰ | ADL維持等加算Ⅱ |
|---|---|---|
| 評価の考え方 | 事業所全体としてADLが一定以上改善・維持している | 事業所全体としてADLが維持されている |
| ADL評価方法 | Barthel Index等による客観的評価 | 同左 |
| 評価の実施時期 | 初回・中間・最終評価をすべて適切に実施 | 同左 |
| LIFEへの提出 | すべての評価データを期限内に正確に提出 | 同左 |
| 算定単位数 | 加算Ⅱより高い | 加算Ⅰより低い |
| 実務上の難易度 | 高い(評価精度・運用体制が重要) | 比較的低い |
| 運営指導での注意点 | 評価根拠・算定理由を厳しく確認されやすい | LIFE提出状況・記録整合性を確認されやすい |
※算定単位数や詳細要件は、最新の介護報酬告示・留意事項通知を必ず確認してください。
専門家の声ADL維持等加算Ⅰを算定するために、特別な取り組みが新たに必要になるわけではありません。ただし、加算Ⅱと比べて求められるのは、評価の精度と運用の一貫性です。
介護コンサルタントである私が支援してきた事業所では、ADL評価自体は実施していても、「評価者ごとの判断基準が揃っていない」「評価結果をどう算定判断につなげるか整理できていない」といった点が、加算Ⅰに届かない原因になっているケースが多く見られました。
加算Ⅰを安定して算定できている事業所の共通点は、ADL評価を“作業”として行うのではなく、「なぜこの点数なのか」を説明できる状態で記録・LIFE提出まで一体で管理していることです。
言い換えると、運営指導でそのまま説明できるレベルまで整理できているかどうかが、加算ⅠとⅡを分ける分岐点になります。


ADL維持等加算の算定要件は、条文だけを読むと「厳しそう」「ハードルが高い」と感じられがちです。
しかし実務上は、個々の利用者ではなく、事業所全体を一つの単位として評価するという考え方を理解することが最も重要なポイントになります。
ここでは、実際の評価イメージをもとに、算定要件の考え方を具体例で説明します。
ADL維持等加算は、利用者一人ひとりのADL改善を求める加算ではありません。
一定期間において、事業所全体としてADLが「維持または改善」しているかを評価する加算です。
そのため、一部の利用者でADLの低下が見られたとしても、それだけで直ちに算定不可になるわけではありません。
例えば、ある事業所で次のような評価結果だったとします。
初回評価時点では、多くの利用者が中等度のADL水準でした。6か月後の最終評価では、高齢化や疾患進行によりADLが低下した利用者も一部いましたが、全体として見ると、ADLが維持または改善している利用者の割合が一定水準を満たしていたケースです。
この場合、「一部の利用者でADLが下がっている」という事実だけを切り取るのではなく、事業所全体としての傾向をもとに算定可否が判断されます。
現場や管理者から、特によく聞かれる誤解があります。
「1人でもADLが下がったら算定できない」「改善していない利用者がいると要件未達になる」
これらはいずれも誤解です。
ADL維持等加算は、全員が改善していることを求める制度ではありません。高齢者の特性上、ADL低下が生じること自体は想定されています。
重要なのは、科学的な評価指標を用い、結果を正しく把握し、そのデータをLIFEに提出しているかという点です。



私が支援した事業所でも、「数名のADLが下がったから今回は無理だ」と申請を見送っていたケースがありました。
実際にデータを整理すると、事業所全体ではADLは十分に維持されており、要件を満たしていた事例も少なくありません。
算定できない原因の多くは、制度そのものではなく「考え方の誤解」だと感じています。
ADL維持等加算は、算定要件を満たしていれば自動的に算定できる加算ではありません。実務上は、「評価はしているつもりだったが、結果として対象外と判断されていた」というケースが非常に多く見られます。
ここでは、ADL維持等加算が対象外とされる代表的な理由を、制度の考え方と実務の両面から整理します。
ADL維持等加算では、一定期間にわたって継続的にサービスを利用していることが前提となります。
評価期間中に長期入院や退所があり、初回評価から最終評価までの比較ができない場合、その利用者は対象外となります。
これは「状態が悪化したから除外される」という意味ではなく、評価自体が成立しないという制度上の理由によるものです。
ADL維持評価では、初回評価が基準点となります。この初回評価が未実施、または評価時期が大きくずれている場合、その後どれだけ丁寧に評価を行っていても、算定要件を満たすことができません。
特に多いのが、「評価は後からまとめて行った」「記録はあるが、評価日が曖昧」といったケースです。
運営指導では、評価の実施日と根拠資料が必ず確認されます。
ADL維持等加算では、Barthel Index(バーセルインデックス)などの客観的な評価指標を用い、同一基準で評価することが求められます。
評価者によって判断基準が異なっていたり、途中で評価方法が変わっていたりすると、「継続した評価」とは認められず、対象外と判断される可能性があります。制度上は、点数の高低よりも、評価方法の一貫性が重視されます。
ADL維持等加算は、LIFEへのデータ提出が算定要件に含まれています。
そのため、評価を実施していても、LIFEに提出されていない場合は算定不可となります。
また、提出自体は行っていても、
といった不備がある場合、運営指導で対象外と判断されることがあります。



ADL維持等加算の対象外判断は、「頑張っていなかったから」ではなく、制度上の要件整理と管理体制の不足によって起こるケースがほとんどです。
評価・記録・LIFE提出が一体で運用されているかを、経営・管理の立場で定期的に確認することが、最大の対象外防止策になります。
ADL維持等加算において、LIFE(科学的介護情報システム)への入力は単なる事務作業ではなく、算定要件そのものです。
評価を正しく行っていても、LIFEへの入力や提出に不備があれば、ADL維持等加算は算定できません。
この章では、LIFE入力の基本的な流れと、実務で特に注意すべきポイントを整理します。
ADL維持等加算に関するLIFE入力は、概ね次の流れで行います。
重要なのは、LIFEは「評価結果を後からまとめて入力する場」ではなく、評価記録と一体で管理されるべき制度ツールだという点です。
参考:科学的介護情報システム(LIFE)操作マニュアル一覧(厚生労働省)
LIFE入力で最も多いミスが、評価日と入力日を混同してしまうことです。
LIFEに入力する際に重要なのは、「いつ入力したか」ではなく、「いつ評価を実施したか」です。
評価日が曖昧だったり、記録とLIFEで日付が異なっていたりすると、運営指導では「適切な評価が行われていない」と判断される可能性があります。
Barthel Indexは、各項目の合計点で評価されますが、実務では単純な入力ミスが意外と多く見られます。
これらは、LIFE上では「入力できてしまう」ため、提出後に気づきにくい点が注意点です。
提出前に、必ず第三者(管理者など)が確認する体制を整えることが重要です。
ADL評価は、「誰が評価したか」も重要な要素です。
LIFE上で評価者の情報が曖昧だったり、事業所内記録と一致していない場合、評価の信頼性が問われることがあります。
特に運営指導では、「この評価は、どの職種が、どの基準で行いましたか」と質問されるケースが少なくありません。
LIFEへのデータ提出が完了していても、それだけで算定要件を満たしたことにはなりません。
重要なのは、
が、一貫した内容になっているかです。
LIFEはあくまで「提出先」であり、運営指導では、事業所内の記録とあわせて確認されます。



LIFEは「入力さえすれば大丈夫」と思われがちですが、実際の運営指導では、LIFEと記録の整合性が重点的に見られます。
入力担当者任せにせず、管理者が一度全体を確認するだけで、指摘リスクは大きく下がります。


ADL維持等加算は、運営指導(実地指導)において「算定の考え方」や「実務の運用状況」まで確認されやすい加算です。
書類上は要件を満たしているように見えても、評価の実施方法や記録、LIFEへの提出状況に不備があると、算定を否定される可能性があります。
この章では、運営指導で実際にどのような点がチェックされるのかを、実務の視点から整理して解説します。事前に確認しておくことで、指摘リスクを下げ、安心して算定を続けることにつながります。
介護事業には、当支援だけでなく、サービス提供体制強化加算など様々な補助がありますので、それぞれの仕組みや要件にきちんと沿って介護事業に従事しましょしょう。
運営指導では、まずADL維持等加算の前提となるADL評価を実際に行っているかが確認されます。
評価表があるだけでは不十分で、算定要件に沿った時期に評価が実施されているか、前回評価との比較が可能な状態になっているかが見られます。
次に確認されるのが、ADL評価の記録内容です。
評価点数だけでなく、評価日、評価者、評価方法が明確に記録されており、第三者が見ても評価の実施状況を説明できる状態になっているかが重要です。記録が曖昧な場合、評価を実施していないと判断されるリスクがあります。
ADL維持等加算では、LIFEへのデータ提出状況も重点的に確認されます。
評価を実施していても、LIFEへの提出が期限内に行われていなかった場合や、提出内容と現場の記録に不一致がある場合は、算定要件を満たしていないと判断される可能性があります。
運営指導では、「ADL評価をしているか」だけでなく、評価・記録・LIFE提出が一連の流れとして適切に管理されているかが確認されます。
一部だけが欠けている場合でも、加算算定が否定される点がこの加算の注意点です。
いいえ、adl維持等加算はすべての事業所が算定できるわけではありません。対象となるサービス種別であることに加え、ADL評価の実施方法・評価時期・LIFEへのデータ提出など、定められた算定要件をすべて満たしている必要があります。
必ずしも改善している必要はありません。adl維持等加算は「改善」だけでなく、「維持」も評価対象となります。評価期間を通じて、事業所全体としてADLが維持または改善していると判断されれば、算定対象となります。
いいえ、adl維持等加算の算定可否は、原則として事業所単位で判定されます。一部の利用者でADLが低下していても、事業所全体の評価結果が要件を満たしていれば、算定できる場合があります。
ADL維持等加算は、「ADL評価をしているかどうか」だけで算定できる加算ではありません。
対象サービスであることを前提に、適切な方法・適切な時期でADL維持評価を行い、その結果をLIFEへ正しく提出しているかまで含めて、はじめて算定要件を満たします。
特に注意すべき点は、ADL維持等加算が成果連動型かつ事業所単位で評価される加算であることです。
個々の利用者の点数変動だけにとらわれず、「事業所全体としてADLが維持・改善しているか」という視点で制度を理解することが重要です。
また、運営指導(実地指導)では、「なぜ算定できているのか」「どの評価結果を根拠としているのか」を説明できる体制が求められます。
評価記録とLIFE提出内容が一致していない場合、返還指導につながるケースも少なくありません。
ADL維持等加算は、正しく理解し、仕組みとして運用できれば、事業所の質の高さを示しながら安定した収益につなげられる加算です。
一方で、制度理解が曖昧なまま算定すると、経営リスクにもなり得ます。「うちは本当に算定できているのか」「運営指導で説明できるか不安がある」そう感じた段階で、一度立ち止まり、評価方法・LIFE対応・記録体制を見直すことが、結果的に最も安全で確実な選択になります。
ADL維持等加算は「評価・LIFE・説明体制」が揃って初めて算定できる加算だからこそ、少しでも不安があれば、早めに専門家に確認することが運営指導対策と安定経営への近道です。なお、当メディアでは、介護事業者に役立つ、補助金等のお金周りの情報から5S活動など運営のノウハウまで様々な情報を公開しているので、各種記事をご確認お願いします。
「運営指導が怖い…」 「加算を取りたいけど、どうやっていいかわからない…」など
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